アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

女殺油地獄

2005年09月14日 | 文楽

2005年9月 国立小劇場

女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく) 作:近松門左衛門
徳庵堤の段/河内屋内の段/豊島屋油店の段/同 逮夜の段

”逮夜の段”を観るの初めてっ!
どんなラストが待っているのか興味津々。

近松門左衛門69歳という最晩年の作品で、
文楽(人形浄瑠璃)の為に作られた。
初演は、享保6年(1721)大坂竹本座。
長らく上演が途絶えていたところ、坪内逍遥らの研究もあり
明治42年に歌舞伎として初上演。
昭和27年にラジオ放送。
昭和37年にやっと文楽として復活を遂げる。

主人公大坂天満の油屋河内屋与兵衛の人生、
どこで歯車が噛み合わなくなったのか。
或いは、最初からこうなる運命だったのか。

母が貰った後添えは店の番頭。
新しい父は、与兵衛をついつい甘やかす。
兄は、自ら店を持つまでになり、
妹は、母と新しい父の子供。
与兵衛だけが、取り残された気になったのではなかろうか。
若さというパワーを持て余し23才にして親掛かり。
女にちょっとモテル顔。油屋の次男坊。
いつしか悪い友人と連れ立って歩くようになる。
そこから先は、もう誰もが想像する通り、転落して行くローリングストーンズ~。

~豊島屋油店の段~

与兵衛は、借金の返済で崖っぷちに立たされていた。
明日の朝までに一貫目用意しなければならない。
最後の頼みの綱は、同業豊島屋の女房お吉ただ一人。
しかし、なかなか首を縦に振ってくれない。
やがて…
明かりが消えた深の闇。鼻をつんざく臭いはお吉の血なのか、
流れ出た油か。耳に届く荒い息使い…。
…何も…動かない…。
与兵衛は、血と油と汗だらけの手で、
震えながら戸棚から金を掴み取り、店を後にした…。

最大の見せ場は、油でツルツルの床を滑る場面。
舞台の端から端まで、まるでスケートみたい。
しかも、人形の身体を真横に倒して、足をグイーッッと伸ばし、
人形遣いと共にシャーッと…。摩訶不思議なリアリティ。
歌舞伎の場合は、油に見える液体(寒天とふ糊)を流して滑る。
こちらはスローモーションで美しい。
緩急どちらの世界も堪能しなくちゃ!

~逮夜の段~

お吉の35日の逮夜(忌日の前夜。または葬儀の前夜)
なんと!与兵衛は豊島屋へやってきた。
お悔やみ言ってるよー。鉄面皮な男っ。
逃げ回って追い詰められてボロボロになってる所をホールドアップ!
ってんじゃないのー!?
あんなに油と血だらけのまんま、誰が匿ってくれるっていうの?
親か!?愛し方間違ってるっっ!!
罪は与兵衛にだけあるんじゃない。親も同罪だっっっ!!!

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。