息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

やっちまったよ一戸建て!!

2011-02-23 13:05:42 | 著者名 あ行


伊藤理佐 著

これもマンガ。なんだけど結構面白い。

当時29歳、バツイチ。職業漫画家、女ひとり。
という住宅取得としてはいかがなものか、という条件の中、こだわりの注文住宅を
本当に建てちゃうまでの物語。

土地を探すまでのドタバタとか。
不動産屋、設計士などなどとのかけひきやら、信頼が育つようすやらが楽しい。
不規則な仕事、ペットは室内飼いの猫2匹。
どう考えても、なぜ一戸建てがいいのかわからないんだけど、欲しくなった著者は
まっしぐらに目標に向かう。
そしてわかんないなあ、と思いながらも、そこに「好きな色」「好きな形」「好きな質感」
をちりばめながら完成していく家に、ちょっとうらやましさを感じたりもする。

ローンのために稼がなきゃ、と焦るあまり、仕事を入れ過ぎて、引っ越し当日も仕事してたり、
一戸建ての冷え込みを甘く見て、一日目からひどい風邪をひいたり。
すごくリアルで、くすっと笑えるエピソードも多々ある。

たぶん、私は家を建てることも、建った家を買うことも一生ないと思う。
家に対する欲がないのと、一戸建てがあまり好きではないからだ。
それでも、このやっちまった感はすごく面白い。そしてその勢いに感服する。

著者はその後結婚、現在一児の母。この家に住んでるのかなあ。
だとしたら、お子様の安全のため、例のふきぬけがふさいであることを祈ります。

猫 問題集はいずこへ?

2011-02-22 10:27:55 | 基本情報技術者受験
テキストに手いっぱいで問題集を忘れていた。
どうにかこうにか一巡したから、猫書き込みドリルをやろうとしたら

ない?

ってどういうこと?

というわけで昨日大捜索を行いました。
自室の本棚、なし。
リビング、なし。
旦那の部屋(なんで?)、なし。
娘の部屋(もっと、なんで?)、なし。
会社のロッカー、なし。

あとしいて言うなら昼間の仕事の事務所? いやそれはない。

え~捨てたとか? 
しくしく、本日再び買いに行ってきます。
それにしても、私って

アホ。

奇談

2011-02-21 11:54:00 | 著者名 や行
行川渉 著

幼い頃の神隠しの記憶をもつ女子大生。
東北にある隠れ切支丹の地を訪ねた彼女が見たものは。

地方、隠れ切支丹、伝説、因習と大好きネタがいっぱい、と思いましたが
ちょっと失望。
この人って「ソウ」の著者なのね、知らなかったです。
つまらないとまでは言わないが、もの足りない。
ここまで、神隠しの土地を語るなら、もう少し踏み込んでほしかった。
それから隠れ切支丹というテーマは面白いのだが、どうにも
うまくオチとつながらないというか。

たぶん、それは私が隠れ切支丹(だった人たち)をとても身近に育ったせいです。
すみません。
こうるさいことを言ってますが、全体としてはまあまあ。
ちょっと怖い、ちょっと伝説めいた、そんな話を求めるなら悪くない一冊。

昭和天皇の妹君

2011-02-20 15:58:35 | 著者名 か行
河原敏明 著

いささかワイドショー的な興味本位のもの、と思われそうだが、
そうではない。

昭和天皇の弟・三笠宮殿下が、実は男女の双子であり、もうひとかたの
女宮は尼君として育てられた。

そんな話をもとに、さまざまな調査が行われる。
母君・貞明皇后は、古いしきたりをとても大切にされており、
そのために、不吉と言われた男女の双子をふたりとも手もとには
おけなかったのではないか……これにはうなずける気がする。
高松宮妃の著書の中で、しきたりどおりに喪に服す貞明皇后を
案じる文章がある。弱い夫を助け、ひとしお祭祀や慣例を重んじたという
なら、周囲のすすめに泣く泣く従ったこともうなずける。
とても子どもを大切にし、他家の子にまで心配りをする方であったと
いうことだから、身を切られるような思いはあっただろう。

あまりにも身分違いの例でお恥ずかしいが、昭和の初め、私の祖母が生んだ
初めての子は双子であったらしい。やはり不吉ということで、すぐに他家へ
もらわれていったという。男女であったのか、男の子二人であったのかまでは
不明であるが、男女であるほうが、因習としては忌まれたようだ。
双子を引き離す、というのは貴賤を問わず、ごく普通に行われていたのだ。

宮様としてきらびやかな人生を送れたはずの尼君は、清くすがすがしい人生を
送られた。折々に皇族との交流もあり、ご自身のお生まれや運命を納得した
うえでのことと思われる。
とくに、「山村御流」という挿花の家元として活動する中に、宮家への
出張教授が含まれていたというのは、一族とのつながりを保つためかと
思わせる。書は「有栖川宮流」これも皇族方の流派として名高い。

きっと、なんらかのつながりのある方だ。
それも深い深い。

でもそんなことどうでもいい、という気になる。
その高貴な心。きよらかな生き方。花への愛情。
こんなにきれいに生きた尼僧があった。それが素晴らしい事実だから。

宮尾登美子のエッセイの中で、人形寺を訪問したくだりがある。
魂がはいって夜な夜なあるく人形を見た話なのであるが、
切手ほどの百人一首はよみ札、とり札すべて手書き。
タバコほどの短冊は手がこんだつくり。
着物も調度品も宮家の姫がそのまま暮らせるようなものが
人形サイズで用意されていたという。
その人形は、皇族の姫が門跡としてくだる寺に伝わるもの。
尼君として生きることを強いられた姫宮に対し、他の皇族方がせめてもと
贈られたのが、この人形とお道具類であったという。

ふと思い出してしまった。

海の底

2011-02-19 12:26:30 | 著者名 あ行
有川浩 著

塩の街」「空の中」とともに自衛隊3部作といわれている。
やっぱりちょっとだけライトノベルで、「塩の街」に比べると
潜水艦の中が舞台なだけに、よりマニア感がある。

桜祭りで解放された米軍横須賀基地。
そこに停泊していた海上自衛隊潜水艦「きりしお」の隊員がみたのは、
巨大な甲殻類が続々と上陸し、人を襲う姿だった。
わずかに救出できた子どもたちと、それを守ろうとする自衛官。
パニックになる親たちと、それに便乗して騒ぐ報道陣。

身動きの取れない潜水艦の中、何の訓練も予備知識もなく閉じ込められた状態。
精神状態も限界に近づく中、米軍と日本政府とのかけひきが続く。

偶然世話役を押し付けられ、一緒に閉じ込められることになった女子中学生、望。
何かとキーパーソンになる彼女だが、女の子一人という苦しい立場を理解し、
助けていこうとする自衛官たちが頼もしい。

ネットで漏れる情報、筋違いの批判、ああ、こんなことってありそうだな、という
エピソードがいっぱいだ。

巨大生物が襲うパニックもの、というと、ウルトラマンシリーズなどを思わせるが、
そこにいる人一人ずつにぐっと寄ることで、リアリティがある物語になった。
好みは分かれるだろうが、私は嫌いじゃないな。