息をするように本を読む

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と、なんだかだらだら日常のことなども

昭和20年夏、女たちの戦争

2015-02-04 12:52:04 | 著者名 か行
梯久美子 著

戦争は異常事態である。
何もかもに犠牲を強いられ、我慢を強いられる。
その一方で日常生活は存在する。
そんな当たり前のことを、私たちは知らない。

毎日空襲があっても、仕事には行かなければならない。
男たちが戦場に送られ、人がたりない。
就職していないと徴用され、軍需工場に送られたという。

NHKのアナウンサーであった近藤富枝氏は玉音放送のその場に
いたという。
女優・赤木春恵氏は自ら劇団を率い、満州から命からがらの
引き上げを経験している。
国際政治学者・緒方貞子氏は海外経験が豊富で、多くの日本人とは
違う視線をもっていた。

印象に残る言葉は多い。
「奪われたのは身体ではなく、幸せになろうとする意志」
「戦争ってねいっぺんにがらっと変わるわけじゃない。
 じわじわ、じわじわ来るんです」
「すべての美しいもの、すべらかでやわらかいもの、
 優しげな姿をしたものを遠ざけた」

原爆で亡くなった少女が地味なモンペの下に華やかなブラウスを着ていたこと。
著者はそれを不思議に思ったけれど、ここに登場する女性たちは
ごく当然のように反応した。

悲惨な戦場の様子も知るべきだ。
しかし一方で、勝手に銃後と呼ばれ、暮らしを奪われた人々の話も
知っておきたいと思う。

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