息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

すぐそこの遠い場所

2014-12-18 10:57:20 | 著者名 か行
クラフト·エヴィング商會

のどかであたたかで、ちょっと頑固で不思議。
そんな独特の世界観をもつユニット・クラフト·エヴィング商會がつくる
幻想的な一冊。

クラフト·エヴィング商會の先代・吉田傳次郎が「見るたびに中身が変わる」と
言っていたというアゾットについて解説した辞書。
孫である現在の主人は、幼いころにあこがれ続けたこの本を翻訳した。
……という設定なのだが、ごく自然に取り込まれてしまう。
アゾットとは架空の国だが、どことなく懐かしく切なくそれでいて
驚きに満ちている。

登場するものたちはどれも繊細で魅力的なのだが、
なかでも好きなのが「雲母印本」。
ページをめくればさらさらと崩れ去るはかない本であるという。
そしてそれを読むための特殊な能力をもつ人々がいるという。
その中にはたったひとことしか書かれていないものもあり、
驚くほどの文章が秘められたものもあるという。

いくら読んでも飽きない気がするのは、吉田傳次郎の言葉どおり
中身が変わっているからなのかもしれない。

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