津村節子 著
戦争に翻弄された一人の少女が過ごした日々がみずみずしく語られる。
著者の実体験が記録されたものだけに、実在の企業や研究所が登場し、
当時の人々の抱いた想いや暮らしが垣間見える。
多くの人がさまざまな体験記を記しているが、本書はその中でも
静かでおだやかな雰囲気がある。
それは主人公が少女であること、そして戦争末期の厳しい時期に
小林理学研究所の研究補助員として、時間的にも精神的にも
ゆとりがある状況であったからだろう。
それでも、思い描いていた未来は実現不可能なものとなり、親しかった
人は戦いへと赴く。そして、日常の中に空襲があり、目の前で人が
死んでいく。
この静と動の格差は恐ろしいほどで、それが戦争というものなのだろう。
戦うために研究を、と奨励されても、材料もなく機材もない。
これは武器も同じことで、そのバカバカしさには言葉もない。
よく山へ入って松根油を掘らされた話や、あらゆる金属を供出した話を
聞いたことがあるが、わずかな油や混在した金属でいったいどんな
飛行機を作り、飛ばそうとしていたのか。
バカバカしいという気持ちはきっと大切なのだと思う。
一丸となってバカバカしいことをやらざるを得なかったからこそ、
戦争は維持されたのだから。
戦争に翻弄された一人の少女が過ごした日々がみずみずしく語られる。
著者の実体験が記録されたものだけに、実在の企業や研究所が登場し、
当時の人々の抱いた想いや暮らしが垣間見える。
多くの人がさまざまな体験記を記しているが、本書はその中でも
静かでおだやかな雰囲気がある。
それは主人公が少女であること、そして戦争末期の厳しい時期に
小林理学研究所の研究補助員として、時間的にも精神的にも
ゆとりがある状況であったからだろう。
それでも、思い描いていた未来は実現不可能なものとなり、親しかった
人は戦いへと赴く。そして、日常の中に空襲があり、目の前で人が
死んでいく。
この静と動の格差は恐ろしいほどで、それが戦争というものなのだろう。
戦うために研究を、と奨励されても、材料もなく機材もない。
これは武器も同じことで、そのバカバカしさには言葉もない。
よく山へ入って松根油を掘らされた話や、あらゆる金属を供出した話を
聞いたことがあるが、わずかな油や混在した金属でいったいどんな
飛行機を作り、飛ばそうとしていたのか。
バカバカしいという気持ちはきっと大切なのだと思う。
一丸となってバカバカしいことをやらざるを得なかったからこそ、
戦争は維持されたのだから。
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