息をするように本を読む

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華族たちの近代

2011-06-03 11:15:33 | 著者名 あ行
浅海雅男 著

いいおうち、立派な家柄、という代名詞にもなりそうな“華族”。
きらびやかな特権階級が生まれた背景と、そこにまつわるエピソードを
盛り込んだ物語。

華族といえば当然ながら、天皇家につながる一族がまず挙げられるわけだが、
それに加え、勲功・軍功華族としてのちに地位を与えられた人も多い。
明治時代といえば大きな変革の中、大勢の意気盛んな人物が跋扈したような
印象があるが、実は人材は枯渇していたという。
名誉と金、この二つを手にできる華族というごほうびをちらつかせながら、
優秀な人材を確保しようとしていた様子がうかがえる。

この本では「華族になれなかった人々」「華族になりたくなかったひと」などの
切り口で、華族に求められたものや選ばれる条件、そこにまつわる縛りなどが
説明される。具体的な歴史上の人物の名も多く、近代の歴史の流れを違う
角度から見るようで面白い。

いずこにも特権階級はあり、もつ役割がある。
しかし、それが時代に合わなくなってきたり、カリスマ性を失った場合、
存続は厳しいこととなる。
日本の華族制度とはまさにそんな歴史をたどった気がする。
果たしてあの戦争がなかったらこの制度は続いていたのか。
それはそれで難しかったと思えるのだ。

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