息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

ノロイ 小林雅文の取材ノート

2013-05-20 10:14:50 | 著者名 は行
林巧 著

失踪した怪奇現象研究家はノートを残していた。
そこに書かれていたのは、ある村で行われているという呪いの儀式。
この取材過程を書き起こす形で書かれた作品。

映画とほぼ同時期に発売されたので、そっちの印象が強かったのかもしれない。
私は当然文章を読みたい派であるから本にしたのだった。
もう結構前だけど。

しかし!
すっきりしない。
解決しないで呪いは続く……というのは悪いとはいわないが、それはそれで
あとを引くテクニックがほしいところだ。
ただ、中途半端に終了では、単に不満と物足りなさが残る。

十分に怖いし、いろいろな伏線がだんだん集まり、形になっていく過程は好きだ。
関係なさそうなものがつながった!という瞬間はとても爽快だし、
研究への興味から取材が深入りしていくという心理にも共感できる。

呪い。
ただ人が心に思うことから始まるからこそ怖いものだ。
ものとしても、時間としてもつながる必要がない。
何も知らない人が見れば、何の関係もなさそうなできごと。
それが強い強い思念によってつながっていたら……考えただけでゾッとする。
そして方法を選ばないほどにどうしても人を呪いたいと考える可能性は
誰しもないとはいえないのだ。

現実味がないようで、そこにありそうなできごと。
ばかばかしいようで、信じられるあれこれ。
これも人間のこわさを描き出している。

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