哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

選挙は人気投票?

2007-06-10 02:33:30 | 時事
 前回のコメントで寅次郎さんの書かれていた通り、マスコミでは何かについて参院選の話題です。池田さんはかつて、選挙どころか政治に関心がないと書かれていました。


「そもそも民主政体というもの自体を、私は信用していない。全員が平等に自分たちの代表を選び、全員で国政を運営するなんてことが可能であるとは思われない。我々はそれほど賢いものか。人は自分にふさわしい代表しか選べない。その証拠に、見よ、選ばれるのは、芸能人であり、スポーツ選手であり、あるいはその他「知性溢れる」政治家たちである。・・民主制というのは、そこに参加する全員が、同じくらい賢いのでなければ必ず堕落するというのは、ギリシャの時代にすでに出ている結論である。」(『知ることより考えること』P.95)


 選挙で選ばれる客体が、選ぶ主体と同レベルにすぎないというのは、確かにそうかも知れません。汚職をした政治家を選んでいるのも、金を稼ぐが勝ちとする選挙民と同じではないか、というようなことも池田さんは以前書かれていたと思います。

 民主制には代表民主制と直接民主制があるので、本当に大衆が賢い政治家と同レベルにならなくてはいけないのは後者でしょう。日本でも他国でも採用されている代表民主制というのは、政治の技量がない一般大衆が、専門家たる政治家を代表に選んで政治を託そうとするものです。だから代表民主制では、素人が専門家を選ぶことになるわけですが、かといって政治に関して何の素養もない人が、自分たちの代表者をどうやって選ぶのでしょうか。

 現実の選挙では、「テレビで見たことがあるので名前を知っている」とかそんなレベルで投票されるから、タレント候補が担がれるわけですね。政策重視とかいう掛け声が上がっても、選挙時は増税策を避けるとか、その場しのぎ程度の政策しか提示されないのですから、所詮その程度で左右される程度の選挙なわけです。


 池田さんが書いておられる通り、選ぶ側の一般大衆も一定程度は賢くならなければ、やはり民主制は堕落しそう(既にしている?)な気がします。

 引用した文章の後の方には「やっぱり自分が賢くなる方が先なのである。」とあります。