哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

病気と健康

2012-02-06 10:11:55 | 時事
インフルエンザに罹患した。普段からあまり外へ出かける方ではないのだが、先日乗った高速バスが原因だろうか。もう熱も下がったので、もういいだろうとは思うが、周りに感染させない配慮が必要だから、気を使う。

病気になると、健康であることのありがたみもわかる、とよく言うが、この点に関しては、池田晶子さんも同じことを言っている。しかし、そこから先は、やはり池田さんらしい謂いになる。


「そも健康とは、病気がない状態のことを言うのだろうか。だとしたら、病気とは何か。もしも病気とは、何らかの病名のことだとすれば、病名とは人間がつけたものであって、自然のものではない。病名をつけられて不安になったり安心したりするのは、したがって不自然である。不自然であることは不健康である。健康とは、自然であることという、これもまたひどく当たり前のことになるのではなかろうか。」(『41歳からの哲学』「人生を渡るための舟ー健康」より)


だから、年を重ねて弱っていくのも、病気になってしまうのも、健康で自然な流れにあることになる。病気を治そうとする治癒力も自然に備わっているのだから、結局生体というものが生成と破壊のバランスの上に成り立っているように、老化や病気も自然である状態の一形態とは言える。ガン細胞も、通常細胞の変異であるから、同じように自然の一形態であろう。しかし、病気に対して医学の進歩は様々な治療を通じて、人間を延命するよう効果を高めてきた。少しでも元気で長く生きたいという欲望を叶えてきたわけである。我々もその恩恵を受けてきた。さて、その恩恵をどのように生かすか。それが一番重要なのであろう。