哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

送別の和歌2

2010-01-28 10:10:10 | 時事
 今週のAERAで、現代に生きる我々に元気をくれる歌として「古今和歌集」を特集していた。取り上げる趣旨は自分とは違うが、和歌について話題になっていることは、微笑ましいものを感じる。

 さて、以前に紹介した「送別の和歌」だが、さらにその前に、本社へ転勤する社員に送った百人一首の歌があるので、紹介しよう。


24 このたびはぬさもとりあへず手向山もみぢのにしき神のまにまに


 この歌は、あの菅原道真が作者である。今や学問の神様であり、この歌を詠んだ当時は出世の絶頂にあったときだそうだ。国内の最高学府を出ていて、今回本社統括部門に栄転する社員に、おめでとうの意味を込めて送ったものだ。

 あわただしい旅の出発であったため、神に捧げる「ぬさ」が用意できなかったので、とりあえず美しい紅葉の枝を手向けましょう、というような意味らしい。紅葉の美しさを婉曲に誉めているのが技巧的すぎるらしく、また自らの立身出世を喜んでいる様子が鼻につくようなところもあるようだ。

 しかし、まさにご栄転の人には、大変相応しい歌かと思う。華々しい気分をさらに高揚(紅葉)させる歌、といってしまうと単なる駄洒落か。