かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

やっぱり不思議だよなあ!

2012-07-24 09:25:04 | サイエンズスクールのある暮らし

 隣人の船田武さんは、ぼくより何歳か年上、サイエンズスクール鈴鹿の

会員仲間だ。

 会員ブログというのがある。

 彼は、日々のこと、まめに書いている。

 何日か前、「柳亭痴楽綴り方狂室」なる、古い落語の一節をブログに

載せていた。

 「上野を後に池袋、走る電車は内回り、私は近頃外回り、
 彼女は奇麗なうぐいす芸者(鶯谷)、にっぽり(日暮里)笑ったあのえくぼ、
 田畑(田端)を売っても命懸け、思うはあの娘(コ)の事ばかり・・・」

 

  東京山手線の各駅をもじったもの。 

 柳亭痴楽の、カエルが押しひしがれたような顔とあの、粘っこい、しわがれて

いて、それでいてその口調についひきずりこまれてしまう、うきうきした

楽しいリズム・・・

 

 船田さんのなかで、なにかがあって、こんな昔の落語がでてきたのだろう。

そんなことは、お構いなしに、じぶんの感慨がわっと出てくる。

 

 山手線ではない。こちとらは、京浜東北線である。

 鶴見駅の前にある商店街のなかで生まれ、育った。

 NHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」は京浜東北線蒲田が舞台。

 鶴見・川崎・蒲田の沿線は、子どものころのじぶんのなわばり。

いまでも、雑然としていて、人いきれがして、それで親しく、くつろげる、

そういう下町風情というか、情緒が頭をもたげる。

 下町風情といったものが、そこにあったわけでもないのにね。

 

 船田さんとは、30年前、職場がいっしょだった。

 周りから、「そっくりだ」と言われていた。

 言われるまで、気が付かなかった。よく見ると、たしかに似ている。

顔つきだけでない。身振り、立ち居振る舞い、しゃべり方、照れたときの

態度、意識すると、不思議だなあとおもっていた。

 

 何年かして、二人は離れ離れになった。

 そっくりの片割れは、こんどは、”フーテンの寅さん”に似ていると

言われた。

 たしかに、葛飾・柴又、帝釈天の前の団子屋さん、あの家の佇まい、

どこか懐かしい。すぐ裏庭に通じて、お隣に接している。

 商店街のなかの、ガラス屋で暮らした場面が髣髴とする。

 大学時代から、寅さんのファンだった。じぶんが、似ているなんて、

おもったこともない。

 

 船田さん=じぶん=フーテンの寅さん、世の中にはこんなことがある。

 

 その船田さんと、30年後のいま、ふたたび、目と鼻の先の隣人として

いわばいっしょに暮らしている。

 やっぱり、不思議だよなあ。

 

 この間、月一回のマイライフミーテイングのとき、青年期、東京の調布で、

キャバレーをやっていたときのことを話していた。

 「真似乞食だった」と言っていた。

 どんなこと?・・・そのとき、周囲の事情から、いろいろなこと知りもしないのに、

あたかも知っているかのように、背伸びしていた。じぶんの意志とか気持ちとか

本心なんて、どこへやら、周囲に気を遣いながら、やってきた・・・?

 彼はもう70歳に近い。

 思い出話をしているというより、いまのじぶんをどう見ていくのか、社会が

どう映っているのかを、そんなことだしながら、見ているようだ。

 

 いまの彼を見ていると、なにか「歳を食ったとかいって、まあいいいかあと

のんべんだらりと暮らしているだけでいいの?」といった自問にさそわれる。

 こころの豊かさを真正面からさぐっている?

 

 外形がそっくりだからといって、こころのなかまではわからない。

(この世の不思議な縁を記念して、船田さんの奥さんがパチリ)


 それにしても、なんだか、やっぱり不思議だなあ。

 外形だけでなく・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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