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坂井 今、先生が話されてた昔の話、互酬経済ですか、それに関連するかと思うんですが… 今日その明治学院の辻先生のゼミにいて、今、大学を休学して、サイエンズアカデミーに学びに来ているタッキーってこに、ちょっと話を聞いてたら面白いこと言ってました。彼、そのゼミでフィリピンとか世界のあちこちに行ってるんです。
そうすると、最初はその貧しい子たちの支援みたいなボランティアという形で行ったそうなんです。でも実際に現地に行ったら明らかに、フィリピンの子たちの方が…
内藤 幸せそう、なんじゃないですか。
坂井 そうなんですよ。それで彼の中で、“あれ?”っていう疑問が出てきたそうなんです。
それで彼が面白いなと思ったのは、ちょうどあの「保育園落ちた、日本死ね」とかいうのありましたよね。国会でも、すごく野党が追及したり、日本の保育はどうなってるんだってマスコミも取り上げて、ちょうどその頃と重なってていろいろ見えてきたと。
彼が行ったところは、貧しいフィリピンのスラム街みたいなとこで、保育園なんてものは勿論ないと。それじゃあ、子どもたちどうしているかと言ったら、中学生くらいの子が小さい子たちを何人も引き連れて、道端で遊んでいたり、いろんな家々行ったりして、気ままに暮らしていると。そして来られた方の家の人はと言うと、別に見たことない子どもでも、そのタッキーが連れ行くと、「なんか元気な子が来たね~」って迎えてくれて、子ども達はひとしきり家の中で遊んでいく、そんな空気なんだそうです。
だから、「保育園落ちた、日本死ね」っていう、そういう心の状態と、お金は無くて貧しいんだけど、そうやって子ども達でお互い協力し合って、街の人からも見守られて生きていている状態と、まあどっちが幸せかな、みたいなことが心に残ったそうです。
内藤 そりゃそうですよね。面白いなあ、現場で見えてくるんですね。
ただ、そういう豊かさの価値が、GDPに対するものとして、世の中に出てこないですよね。だから逆にそんなものは全部GDPに換算するように、外食にし、保育園にしましょうとか、外に何でも回せば豊とか。そういうのが戦後の市場経済至上主義みたいなものでしょ。それでGDPが上がって豊かになったって政府が喜ぶ。
本末転倒だけども、そうなっちゃうからね。お金に依らない本質的な豊かさね、こちらの方をね、客観化できるといいですけどね。
小野 そうですね。そういう辺がね。これまでとは違う指標でね、何かね表せたら……
内藤 やらないといけないですよ。もう実態があるんだから。
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内藤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
例えば、福祉予算で250万つぎ込んでそれだけの成果だったら、もう十分元が取れてる、という説得性があるわけです。金の世界だけでも説得できないとね。
それなかったら逆に、社会的弱者への予算は不効率ということで、切られますね。
小野 そうしないと説得力が無い、課題として一つありますよね。その辺りが自分たちがここでやってる、「かなり豊かな感じ」とか、「自由自在に人とモノが行き交っている感じ」がすごくあるんですけど、表現のしようが無くて。
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( いつ最終回になるのか分かりませんが、毎回楽しみにして読んでいます。
内藤先生は、どんな良い考えでもそれがだれでもそうだなと納得できる
根拠が大事だとしていました。その立場は変わらないけど、こころの分野
の計量化(普遍化)に関心が深まったように感じました。
もともとそれをしたいと思ってやってきた。これからはもっと一緒に
やれるような気がしました。 予想では正常な人間関係の社会ならば
そんなに難しくはないと思っています。 宮地 )