かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

嵐の一夜

2017-10-23 11:05:42 | 家族あれやこれや

台風21号が東海地方に接近している。

何日か前から雨が降り続いている。

22日夕方、娘がやってきた。

「ああ、もうあのセゾン小林、あぶない」

アパートの南側の水路が連日の雨で増水して、あふれて、

前庭が浸水したら、床上浸水はまぬがれない。

「今回、そんなことになりそうなの」というわけだ。

娘のアパートとわがマンションは、目と鼻の先だけど、

アパートは水路に面していて、前庭には芝生をはって、

いってはなんだけど、ボロアパートにしては優雅に

暮らしている。ときに、そこでBBQしたり、お月見したり。

 

「ああ、今晩はこっちで寝たらいいわよ。布団ならいろいろ

出したらあるから」と妻。心強い。

「じゃあ、晩ごはんは食べて、その後来るわ」と娘。

「オーケー」

ベットで休んでいたぼくに聞こえてきた。

 

わが家の夕食は、豚のしゃぶしゃぶ。タレに注意すれば、

減塩しやすいメニュー。

鍋物はいい。なんか、ほっこりする。

そとは、雨が相当降っているらしいが、部屋の中は静かなもの。

 

8時を過ぎたら、衆院選の開票のニュースがテレビではじまった。

台風情報も間に挟まる。

娘ら8時過ぎても来ないので、妻がラインした。

「そうよ、ふゆがレストランのバイトに行っていて、迎えに

行って来たところなの。今から行くわ」ということだった。

また、何でこんなとき、バイトに行くかね。

分からんでもない。

子どものころでも、台風が近づいているなんて、ラジオで

聞いていると、怖さと、それと同じくらい好奇心というか

ワクワク感があったのを思い出す。

そんなときって、ジッとしてられないような気持ちになるんだよな。

ふゆがどんな気持ちだったかは分からないけど。

 

9時近く、娘一家がやって来た。

さっそく、寝場所づくりがはじまった。

ダイニングキッチンのテーブルを端に寄せて、床にマットを

敷き、あちことから集めた敷布団をしきつめた。

けっこう、広い。こんなふうに使えるんだ。

孫のふゆと晴空は、修学旅行の寝る前をほうふつとさせる

はしゃぎたいけど、じっとしていたいけど、でもやっぱり

はしゃいでしまう。ケラケラ笑いながら、ママに絡んだり、

姉と弟でじゃれていた。

 

居間はそのままにしたので、テレビで開票のニュースも

それぞれやってきたり、出て行ったり、「そこ、座りたい」とか

言いながら、見ていた。

「晴空は、政治のことは分からないと思うけど、戦争するのはいやだ、

というのよね」と娘。

「怖いんだって」

 

ぼくは、10時過ぎまで、すこし頑張って起きていたが、ベットに

退室。

そのうち、それぞれ床に就いていったようだ。

 

だんだん風も出て、嵐になっているようだ。

マンションの部屋のなかには、そういう音は聞こえてこない。

耳を澄ませていると、わずかにその様子が想像できた。

娘や孫たちとの一夜。

かけがえのない一夜かも。

 


家庭医とは?総合診療医とは?

2017-10-23 07:50:37 | 理想の暮らしを語る会

何年か前から、人生の最終期はどうなるだろうと有志の人たち

とずっと語り合ってきた。

かかりつけ医をもつようにと言われているが、なんか街のお医者

さんとは、近しい感じがしていなかった。

最近、「家庭医というのがあるんだって!」と聞いた。

「えっ、そんなのって初耳」知らなんだ。

聞いていくと、日本では、家庭医というより、ずいぶん前から

総合診療医として、行政から位置づけられているという。

”かかりつけ医”は、医師会が言っている名称で、どう違うかは、

市井のぼくらには、はっきり分からない。

調べると、総合医療学という医療分野があり、三重県には、

三重大学病院に竹村洋典教授がおられて、家庭医療学の研究、

総合診療医の養成など幅広く実践されているという。

 

いま、お医者さんといえば、どこかが不調になったとき、先ず

何科に行けばいいかと、考えていることに気づいた。

幼少のころの町のお医者さんという、何かのどかで、そのお医者

さんにいったら、行っただけで安心するようなところがあった。


いつの間にか、そうだなあ、病院と自分が縁遠くなっているな、

と思った。

 

総合診療医は、不調な臓器を対象とする前に、”患者その人”と

向き合うという。

町の中に、デンと坐って、病気ことだけでなく、何か心配なことや、

なにかはっきりしないことを相談にのっていく、そんなお医者さんの

イメージになるのかな?

 

竹村洋典教授を、”理想の暮らしを語る会”の中井正信さんと研究室に

訪問した。

多忙のなか、真摯に対応してくださった。

竹村さんが語られる”総合診療医”(家庭医)のお話は、世界各地の

総合医療に現状から、日本での進み具合、大学病院での各分野に

すすむ研修医への教育、三重県での実践例、一志病院や名張病院の

取り組み。

とくの名張では、”まちの保健室”として、住民の自治で開設している

など、など。
とてもじゃないけど、受けとめきれない。

それでも、地域包括ケアシステムが、市井の住民にとって、身近に

なっていく、竹村さんの夢をもっと知っていきたいと思った。

家庭医って、どんなものだろう、総合診療とはどんなものだろう?

そんな簡単に「そうか」とはならないなと思いながら、

研究室をあとにした。


思いつきデート

2017-10-21 19:23:49 | 家族あれやこれや

台風21号が日本列島に近づいてきている。

雨がシトシト降っている。

鈴鹿の街になるのか、津の街にあるのか、その境目に鈴鹿大学がある。

その近くに、ミモーザという喫茶店がある。

週のうち、水、木、金の3日だけ営業している。のんびりしている。

娘とその喫茶店でデートした。

カーナビ見ながら、娘が運転した。

ふと、子どものころ、娘を乗せて、運転していたこと思いだした。

だから、どうということはない。

 

娘と二人きりでお出かけは何年ぶりだろう。

「デートしないか」ラインでぼくが誘った。

「いいよ」と娘。「金曜がいいな」

ぼく「何時?」娘「13時30分」

思いつきのデートが、何となく、ごく当たり前に決まった。

 

喫茶店は、木のあしらえの家屋で、店内の机やカウンターは

むくの板材を使っている。椅子、洒落た木の椅子。


坐ったカウンターの外は、樹木が植えられていて、重なった

葉が、外からの淡い光で陰影をつけて、眺められる。

「うん、落ち着くね」と二人。

 

このお店、ずいぶん前に、木工所をやっている油田洋一郎さん

から聞いていた。行ってみたいと思いながら果たせなかった。

油田さんの妹奈々子さんは、いまブラジル暮らしをしている。

「5年ぐらい前から来て見たいと思っていたんです」

メニューを聞きに来たママさんに声をかけた」

「そうですか、ここははじめて15年になりますよ」とママさん。

ママさんといっても、もう68歳だと聞いた。

「ここは、建築家の須賀幹夫さんのはじめての作品で、そのとき

家具は油田さんにつくってもらったのよ」

そうか、そういう話、油田さんから聞いていた。

とすると、それから、15年も経つんだ。

 

娘はコーヒーとチョコレートケーキ。

ぼくは、安曇野リンゴジュースとシフォンケーキ。

デートってたって、何か特別に用件があるわけではない。

ポツン、ポツンと思いついたことをしゃべっていた。

こんな時間いいもんだなあ、と思った。

娘はどうだったかな?

 

「いまは、ずいぶん楽に暮らせているなあ、って思う。

お弁当屋さんの配達は楽しい。無理せんときと声かけて

もらってる。気持ちにゆとりが出来て、子どもたちが学校

に行っている間、自分の心がいろいろ動いているの、そのまま

見る(?)のって、面白い」と娘。

「心の動きをそのまま見るって、てかあ」

「サイエンズゼミ、出てるでしょ。面白い。少し前に、子どもの

家の集中検討会があって、そのとき、心の状態が”理に適った

姿”と入ってくる瞬間があって、それから、それってどういうことか、

見ていくのが面白くなって」

「うーん、そうかあ」

「いろいろな気持ちが出てくるけど、それをダメだとしないで

みていきたいなあ」

「うーん・・・」

 

喫茶店の外は、雨が垣根の葉に当たって、滴となって光っている。

何かしら、ほのぼのとした気持ちに満たされていた。

 

帰路は、「カーナビなしでも行けるだろう」と娘。

「あれ、こっちじゃないか」

「あれ、行き過ぎた」

「ここ戻ったら、行けるはず」

4,5回車の向きを変えたりしながら、なんとか自宅に戻ることが

できた。

「デート、またしたいね」

「うん」と娘は言った。

 

 

 

 

 

 


表現の秋

2017-10-18 08:53:08 | アズワンネットワークのある暮らし

病院の帰りに、白子サンズの鈴鹿ステーション絵画展を

観てきました。

岩田隆画伯に寄ってきて、絵を描くことを楽しんでいる

人たちの展示機会なんですね。

岩田画伯の「鈴鹿川」が奥行きがある叙景が心を落ち着かせ

くれました。

(写真は上手く撮れませんでしたが)

船田さん夫妻に会いました。

船田さんは、吉田順一さんの絵を見ていました。

船田さんの「アケビ」の絵は良かったです。

つい、記念写真撮らない?」と声かけてしまった。


どんな時にも命輝く

2017-10-16 11:23:59 | 理想の暮らしを語る会

どんな時にも命は輝く
 ~最期まで暮らし続けられる地域を目指して

講師 秋山正子さん
(看護師になって、在宅ホスピスの訪問看護からはじめた。

 訪問看護の会社を立ち上げ、地域に”暮らしの保健室”を開設、

 近所の方々の健康相談をはじめる。今は、がん患者と家族の

ための相談支援センター”マギーズ東京も開設している)


10月15日桑名市大山田コミュニテイプラザにて。
冷たい雨が降っていた。


講演では、わたしたち市井に暮らす者、「人生の最期をどう

捉えているか」「人の支えが要るようになったときの生き方

とは?」「医療ってどういうことだろう?」「看護とは?」

「介護とは?」などなど、秋山さんの実践例から、いっぱい

のテーマを問いかけてもらったように感じた。



秋山さんは、患者さん一人ひとりを大事だと見るところから

かかわっている。

小学校の講演会で、2年生の男の子から、「なんで人の気持ち

がわかるんですか」と質問された。

秋山さんは、その人が「どんなことを考えている人かな」

「今どんなこと感じているかな」と、一生懸命感じようと思って、

その人に寄り添っていこうとしているかな、と答えている。

(暮らしの保健室、東京戸山ハイツ商店街のなかにある)


秋山さんは、高齢化についても、行きがたさを感じている人も、

問題視はしていない。

まず、気持ちを聴くところからはじまる。

行政はその問題解決のために地域包括ケアシステムなどの対策を

提唱し、進めている。

秋山さんは当面、その仕組みを知って、最大限活用し、その人が

最期をその人らしく迎えられるよう心身ともにケアしている。

複雑に分化している医療、看護、介護を、患者や家族の意志や

気持ちに添えるように、多職種連携に最善を尽くしている話には、

頭が下がった。

このような実例をいくつも詳しく語ってくれて、分かりやすかった。

一人暮らしでも、在宅で看取ってもらえる!

その人や家族や地域の人たちが持っている気持ちを知りさえすれば、

テーマにある「どんな時ににも、どんな人も、命は輝く」と、

人を大事にする地域になれると思った。



秋山さんは、実際に向き合いながら、「人間とどういうものか?」

「人の幸せな生き方とは?」を探っているように見えた。

そのために、地域社会をどうなっていいか見つめている。

伝わってくるものがあった。


秋山さんが実現している実践例が、「誰でもこれならやれる」

というものなら、その心と仕組みが他に伝わっていくのかな

と思いました。



人の最期のプロセスは、”魂の危機”という捉え方がある。

医療では出来ないことでも、看護ではそれを受けとめることが

できるという。そのためには、それが出来るチームが要るというのである。
秋山さんたちが進める活動や暮らしは、そういうチームをつくっていると感じた。


講演の最後の質疑で、この企画の主催者の善西寺の矢田住職が、

「いくつもの団体を立ち上げ、チームをまとめていくには、

どこをポイントにしていますか?」と秋山さんに問うた。

秋山さん「まとめないんです。一人ひとりのよさを認めあって、

自立したお互いですすめています」

どういうことなんだろう?もっと、知りたくなりました。


雨はまだ降っていました。でも、帰りの足取りは軽かった。