数日前、孫の晴空(はるく)が咳き込んで夜寝れなかった。
学校を休んで、病院に行くと娘から聞いた。
小児喘息と診断され、薬をもらってきた。
夕方、娘宅に晴空の様子を見に行った。
娘と孫娘の風友(ふゆ)二人だけでご飯食べていた。
晴空は、一人炬燵にもぐって、うつらうつらと横になっていた。
ときおり、咳がつきあげてくるらしい。
痛々しく感じる。
「晴空、どうだい?」
「うん・・」と返事して、目を開けて見上げてきた。目が合う。
なんとも、愛らしい。
翌日も学校休んだ。
娘は薬ではなく、足湯で咳がおさまらないか、考えた。
晴空が苦しがるので、病院からの薬を飲ませたら、咳が
おさまって、動きはじめてという。
朝、知人宅にいたら晴空から携帯に電話。
「おじじ、部屋にいる?」
「他所の家にいるんだよ」
「いつ、戻るの」
「昼すぎだな」
晴空は「うん」といって、電話を切った。
わが家にもどっていたら、晴空から電話。
部屋にいるといったら、「遊びにいく」という。
「ああ、おいで」
すぐ、やってきた。
「何して遊ぶ?」と聞くと、「サッカー」という。
もう、外で遊べるのかあとおもった。本人は動きたそうだった。
「ボールとってくる」と出て行った。
しばらくして、戻ってきて、「やめた」という。
「じゃあ」と、カルタとか折り紙とかひっぱりだした。
結局、切り抜き式の紙飛行機のシートがあったので、「これ、
つくろうぜ」とハサミとか用意していたら、「ちょっと自転車に
乗ってくる。出来たら言って!」と飛び出した行った。
紙飛行機をつくることになった。
晴空は、ときどき外から「じいちゃん、出来た?」と聞いてくる。
出来たのを飛ばすが、うまく飛ばないと、「また、来る」といって
どこかに行ってしまう。2機つくったが、見ただけ。
暗くなって、いつの間にか、お母さんのところに帰ってしまった。
作った2機の飛行機はわが家の居間のテーブルの上。
晴空は、好きなように振舞っている。
お爺になにも気を使っていないように感じる。
晴空は、ぼくの回りで何かをすることで、それだけで満足してる
のかなあ。
今朝、集団登校で子どもたちが寄ってるところに、晴空の様子を
見に行った。
晴空はちょうど集合場所にランドセルを背に前屈みで集合ポイント
に向かっていた。
「おーい、晴空!」と声かけた。
晴空は、ぼくの声ほ聞いたとはおもうが、何のリアクションもせず、
くるりと、今出てきた家の方に戻りはじめた。
スタスタと、家にむかって、一直線に戻っていく孫の姿は、はっきり
本人の意志のもとに、何かに向かっていく、きっぱりとしたものだった。
その孫の姿に威厳を感じた。
晴空の様子を、娘の家に見にいったら、晴空は「上着をとってほしい」
と娘に言っている。
娘は「今日は、なくてもいけるよ」と答えていた。
晴空「じゃあ、いい」
集団登校のグループはもう歩きはじめていた。
晴空は、それを追って行くことになる。
「いっしょに、行こうか?」とぼく。
「いい、自分で行く」と晴空、きっぱりと。
「行ってくるうー!」と晴空。
「行っといで」とぼく。
晴空「ママあー!」
ママ「いってらしゃい!」
清々しい。
咳でくるしんでいる孫を、ぼくは自分勝手に心配している。
孫は、ぼくに関係なく、気を使うことなく、じぶんの意志を
出し、考え、そしてきっぱり行動している。
爺からなにかしてもらったとか、心配してもらった、みたいなもの
がない。
ママから「いってらっしゃい」と言ってもらって、満足して、飛び
出せる、かけのないもの、そこで生きている。
シンプルだよな。