津の海は、真夏の太陽のもと、蒼い海原がうねり、白波が岸に打ち寄せていた。
津なぎさ港に白亜のフェりーが着岸。
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デッキが下される、迎えにきたとき、一番ドキドキする瞬間・・・
今回は、兄弟(?)の船田さんと迎えに来た。
はじめに、ユ・サンヨンさんと目が合う。これで、落ち着く。
ユ・サンヨンさんとは、20余年のつきあい。
通訳で、付き添ってくれている。
今回の来訪は、8月22日~24日まで、韓国ミネサクラブのメンバー5名。
一人ひとりと、あいさつ。
もう、正午を過ぎている。。
なには、ともあれ腹ごしらえ。港のターミナルで、おふくろさん弁当の
スペシャルをいただく。
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ユ・サンヨンさんは、この7月、「人の本性に適した社会」という本を韓国で
出版した。
今年のはじめから、原稿をもって、いくつかの出版社を回り、さいごに
ミネサクラブの出版部に出会った。
原稿の内容を理解してもらって、出版にいたった。
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ユ・サンヨンさんは、3年前、それまで暮らしていた共同体を離れた。
鈴鹿にあるサイエンズ研究所の活動に共鳴して、韓国でもサイエンズに
基づく人間や社会の究明、その実践活動を始めた。
今は、仁川(インチョン)に近い、江華島に家族とともにペンションを開き、
人との出会い、サイエンズによる社会づくりを実在させてきた。
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そのなかで、出会ったのが、出版元のミネサクラブの人たち。
まことに、不思議といえば、不思議。
ユ・サンヨンの本のなかにあるアズワンコミュニテイを是非、訪ねてみたい、
と今回の来訪になった。
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津なぎさ港から、40分。鈴鹿サーキット近くにあるサイエンズスクール
研修所に落ち着く。ここに、4日間滞在する。
夕食の前、自己紹介やら、ミネサクラブのこととか、アズワンコミュニテイー
の概要を出し合った。
韓国ミネサクラブの人たちの自己紹介。
イ・ワンキョさん 51歳
韓国ミネサクラブの代表。
「ミネサクラブというのは、どういう意味ですか?」
「”未来にむけて前へ進む”というハングルを略した造語です」とイ、さん。
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ーーミネサクラブは、1996年に設立しました。物質と精神の両立を
究明してきた。
人の内面の意識やその根源を観てきた。その内容を月刊誌で
会員に公開し、講座を開設して、それを体験する機会もつくって
きた。専門会員500人、一般会員1000人。いま、個の内面世界
の解決にとどまらず、内面を探求し合う、”教育”(?)共同体づくり
に着手しはじめている。鈴鹿での経験を学びたい。
カン・ホギさん 57歳
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ーー25年、事業を手掛けてきた。実は、若いときから共同体を妻とやって
きたんです。キリスト教をベースにしていた。あるとき、じぶんのなかに
宗教性を超えた本質的な問いが芽生えた。共同体に尽くすことが、
じぶんや家族の満足につながっているのだろうか?
それで、共同体を離れた。失敗の体験だった。ミネサクラブで、その
原因をさぐっている。「人の本性に適した社会」を読んで、親しい間柄と
というところに関心がある。コミュニテイーにも、希望があるんじゃないか?
オ・テホさん 57歳
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ーー”テホ”という名前は、”大きな虎”という意味です。”おおいに、吠える”ので
許してください。食べ物のフランチャイズ会社のオーナーをしています。
事業面の満足だけでは、何か足りないものがあります。ミネサのホルロス
研究所のプログラムコースにも参加しました。
いまは、資本主義的な面と社会主義的な面の両立は可能か、そこに
関心がある。
「ホルロス研究所のプログラムコースというのは、どのように行われて
いるのかな?」
イ・ワンキョさん「二泊三日のコースを、二か月かけて、二回受講します。
そのあとは、一週間ごとに、インターネットなどで、連絡をとりあいます。
コースの会場は、ソウルから離れた田舎にあります」
チェ・スンヒ 41歳
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彼は、ホルロス研究所で、コース開設の実務的な仕事をしている。
ーー日本が大好きなんです。子どものときから、日本の漫画の
ファンです。
人って、お金や欲望から、なかなか離れられないんじゃない
ですか?アズワンコミュニテイーが、科学的に、固定がなく、
そのことを実際の暮らしのなかで、どう解決しているのか?
知りたい。
キム・ミヨンさん 65歳
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今回、来訪のなかの紅一点。
--心理相談の仕事をしている。瞑想もやっています。ミネサのプログラム
コースにも参加しています。出版された本を読んで、内容がお釈迦さま
の言われていることに通じていると感じました。実際が、どうなっている
か、ぜひ観させてほしい。
5名の一人ひとりから、静かだけど、アズワンコミュニテイーの実際へ
の関心の高さが伝わってきた。
小野雅司さんが、「アズワンコミュニテイ鈴鹿」というリーフレットのうち、
”アズワンコミュニテー鈴鹿 ストーリー”のページを読んで、すこし解説
しはじめた。
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ストーリーでは、「2001年、有志が集い、新しい社会の試みがスタート
した」とある。
いつもの探訪DAYだと、この辺は割合、説明すると、だいたい次に
行ける。
ミネサクラブの人たちはそうはいかなかった。
「小野さんは2001年、なぜそれまで活動していた共同体から
離れたのか?」
「離れるときの、もっとも本質的なテーマはなんだったか?」
「小野さんが新しくはじめるというとき、新しいの核心はどこか?」
ほんというと、そのやり取りは、いまとなっては、よく覚えていない。
小野さんに向けられて問いかけというのにとどまらない。
残っているのは、そのように考えるもとはどんなものか?と
どこまでも問いかけてくる”熱いもの”だ。
まあ、だんだんお互いが分かり合えてきてから、おもむろに本題に
入りましょう、といったスタイルではない。
どんどん、内面の深みに下りて、どうなっているのか、自身をみつめる
事態になっていた。
その夜は、歓迎の夕食会。
お寿司や手作りの料理など。
ことの流れで、新しい人も参加しているので、ちょっと詳しい自己紹介を
もう一度・・・
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とはいっても、一人ひとりの話から、話題がどんどん内面の出来事を
各自が振り返る流れになっていく。
型にはまっていない、というか、これほど、近しい間がらが、この食事会で
どうして出来たのか、あとでおもうと、不思議。
「夫婦のことでは、ずいぶんしらべてきています」とぼく。
「冷蔵庫を開けると、いつもいっぱいで、ごちゃごちゃ。妻には、なんとか
ならんのか、と責めていた。検討する機会のとき、そのじぶんの実例を
出してじぶんの中を観察した。観ていくと、じぶんの感覚に過ぎないものを、
”こうだ”と決めつけている自分に気づいた。みんなから、おおいに笑われた」
たまたま、同席していた妻への問いかけ。
「奥さんは、どうおもったのか?」
「責められたというのが、なくなったというけど、なにがかわったのか?」
「その変わったというところは、なにか悟りというようなことがあったのか?」
けっこう、鋭い問いかけが、和やかなうちにも、ちょっぴり耳を澄ますような
空気のもとで繰り返された。
妻は「悟りといことはわからないけど、そんなところを探っています」と
応えていた。
いちばん若いチェさんが「ぼくんところの夫婦も、同じことしてます」と
親しそうに握手をしてきた。大笑い。
さあて、明日からどんな感じになるだろう。
歓迎夕食会は、和気藹々、しかも究明を楽しむ空気のなかでお開きに
なった。
(つづく)