台風一過とかかわりがあるのだろうか、7月21日朝、セミが一斉に鳴きはじめた。「ミイミイ」とも「ニイニイ」とも聞こえる。
朝7時半ごろ、玄関からチャイムが鳴った。「はーい」と小浪がいそいそ出て行く。
その日は、鈴鹿市の子育て支援プロジェクトの資格を取った小浪が、地元に住む家族の男の子を
はじめて預かる日だった。
預かるといっても、我が家の前にある学童保育所”飛行機雲”が、夏休みは朝8時から開くので、病院勤めをしているお母さんが30分だけ預かってほしいというのである。
夕方は家まで送ってやる。
その子は、飯野小学校の四年生。孫娘の風友(ふゆ)と同じ学校で、同学年。
その子は、おずおずと、居間にやってきた。小浪は、昨日部屋に飛び込んできたというセミを渡してやる。
「なんというセミか知ってる?」
「ううん」
「クマゼミというのよ」
小浪と男の子は、どことなくぎこちない。ぎこちないところが、初々しくておもしろい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/12/f0/e82199914c62a41d7c69cd356cbbaa3f_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/23/67/013d694b9cadcb2fb8e02009c37f2f6a_s.jpg)
昼前、公園前を通りかかると、子どもたちが樹の下にたかって、虫とり網をふりふり、ワイワイ騒いでいる。セミ取りだ。虫カゴには、生きたセミと抜け殻がいくつか入っている。
高校生ぐらいのお兄さんもいる。
「なにゼミだい?」と聞く。
「クマゼミ」と口を開けずに答えた。
子供たちが「あそこ、あそこ」と叫ぶ。お兄さんは、そこに静かに網をもっていって、「エイ」とやったが、あっという間に逃げられた。お兄さんは、子どもたちにお背を向けて、無言で虚空に目をやった。![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/0b/77/7b27f346121e36baccabc3f3edd3c93e_s.jpg)
朝、我が家に来た子は、サッカーをやっていた。![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/58/38/2a4c624759fffcd47383a3a580455d8a_s.jpg)
樹の下には、セミの幼虫がはい出してきた穴がいっぱい開いている。
「ここが、セミの住まいだったんだ」とぼく。
「知ってる」と子どもたち。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6d/9f/bc55e5911e8f593084a656f732c74c6c_s.jpg)
昆虫記のファーブルは、セミについての不思議をいくつも自問している。
セミの幼虫は四年間、地中地中で暮らす。穴を掘った後、土が相当出るはずだけど、それが外に排出されていないのは、なぜか?
地中のなかで、体内に水をたもっているのは、なぜか?
生存期間4,5週間のあいだ、あんなにも鳴き続けるのは、なんのためか?
自分の子供の頃の夏はどうだったんだろう?
この歳になって、夏の日々をどんなにくらすのだろう。
セミの鳴き声を聴きながら、考える。
この合唱が、セミたちの生きるよろこびの声とききとれるかな?
朝、やってきた男の子は、明日もくるかな?
朝7時半ごろ、玄関からチャイムが鳴った。「はーい」と小浪がいそいそ出て行く。
その日は、鈴鹿市の子育て支援プロジェクトの資格を取った小浪が、地元に住む家族の男の子を
はじめて預かる日だった。
預かるといっても、我が家の前にある学童保育所”飛行機雲”が、夏休みは朝8時から開くので、病院勤めをしているお母さんが30分だけ預かってほしいというのである。
夕方は家まで送ってやる。
その子は、飯野小学校の四年生。孫娘の風友(ふゆ)と同じ学校で、同学年。
その子は、おずおずと、居間にやってきた。小浪は、昨日部屋に飛び込んできたというセミを渡してやる。
「なんというセミか知ってる?」
「ううん」
「クマゼミというのよ」
小浪と男の子は、どことなくぎこちない。ぎこちないところが、初々しくておもしろい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/12/f0/e82199914c62a41d7c69cd356cbbaa3f_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/23/67/013d694b9cadcb2fb8e02009c37f2f6a_s.jpg)
昼前、公園前を通りかかると、子どもたちが樹の下にたかって、虫とり網をふりふり、ワイワイ騒いでいる。セミ取りだ。虫カゴには、生きたセミと抜け殻がいくつか入っている。
高校生ぐらいのお兄さんもいる。
「なにゼミだい?」と聞く。
「クマゼミ」と口を開けずに答えた。
子供たちが「あそこ、あそこ」と叫ぶ。お兄さんは、そこに静かに網をもっていって、「エイ」とやったが、あっという間に逃げられた。お兄さんは、子どもたちにお背を向けて、無言で虚空に目をやった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/0b/77/7b27f346121e36baccabc3f3edd3c93e_s.jpg)
朝、我が家に来た子は、サッカーをやっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/58/38/2a4c624759fffcd47383a3a580455d8a_s.jpg)
樹の下には、セミの幼虫がはい出してきた穴がいっぱい開いている。
「ここが、セミの住まいだったんだ」とぼく。
「知ってる」と子どもたち。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6d/9f/bc55e5911e8f593084a656f732c74c6c_s.jpg)
昆虫記のファーブルは、セミについての不思議をいくつも自問している。
セミの幼虫は四年間、地中地中で暮らす。穴を掘った後、土が相当出るはずだけど、それが外に排出されていないのは、なぜか?
地中のなかで、体内に水をたもっているのは、なぜか?
生存期間4,5週間のあいだ、あんなにも鳴き続けるのは、なんのためか?
自分の子供の頃の夏はどうだったんだろう?
この歳になって、夏の日々をどんなにくらすのだろう。
セミの鳴き声を聴きながら、考える。
この合唱が、セミたちの生きるよろこびの声とききとれるかな?
朝、やってきた男の子は、明日もくるかな?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます