かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

セミが鳴きはじめた日に・・

2011-07-22 11:16:02 | 鈴鹿川流域の暮らし
 台風一過とかかわりがあるのだろうか、7月21日朝、セミが一斉に鳴きはじめた。「ミイミイ」とも「ニイニイ」とも聞こえる。

 朝7時半ごろ、玄関からチャイムが鳴った。「はーい」と小浪がいそいそ出て行く。
 その日は、鈴鹿市の子育て支援プロジェクトの資格を取った小浪が、地元に住む家族の男の子を
はじめて預かる日だった。
 預かるといっても、我が家の前にある学童保育所”飛行機雲”が、夏休みは朝8時から開くので、病院勤めをしているお母さんが30分だけ預かってほしいというのである。
 夕方は家まで送ってやる。

 その子は、飯野小学校の四年生。孫娘の風友(ふゆ)と同じ学校で、同学年。
 その子は、おずおずと、居間にやってきた。小浪は、昨日部屋に飛び込んできたというセミを渡してやる。
 「なんというセミか知ってる?」
 「ううん」
 「クマゼミというのよ」
 小浪と男の子は、どことなくぎこちない。ぎこちないところが、初々しくておもしろい。



 昼前、公園前を通りかかると、子どもたちが樹の下にたかって、虫とり網をふりふり、ワイワイ騒いでいる。セミ取りだ。虫カゴには、生きたセミと抜け殻がいくつか入っている。
 高校生ぐらいのお兄さんもいる。
 「なにゼミだい?」と聞く。
 「クマゼミ」と口を開けずに答えた。
 子供たちが「あそこ、あそこ」と叫ぶ。お兄さんは、そこに静かに網をもっていって、「エイ」とやったが、あっという間に逃げられた。お兄さんは、子どもたちにお背を向けて、無言で虚空に目をやった。
 
 朝、我が家に来た子は、サッカーをやっていた。

 樹の下には、セミの幼虫がはい出してきた穴がいっぱい開いている。
「ここが、セミの住まいだったんだ」とぼく。
 「知ってる」と子どもたち。


 昆虫記のファーブルは、セミについての不思議をいくつも自問している。
 セミの幼虫は四年間、地中地中で暮らす。穴を掘った後、土が相当出るはずだけど、それが外に排出されていないのは、なぜか?
 地中のなかで、体内に水をたもっているのは、なぜか?
 生存期間4,5週間のあいだ、あんなにも鳴き続けるのは、なんのためか?

 自分の子供の頃の夏はどうだったんだろう?
 この歳になって、夏の日々をどんなにくらすのだろう。
 セミの鳴き声を聴きながら、考える。
 この合唱が、セミたちの生きるよろこびの声とききとれるかな?

 朝、やってきた男の子は、明日もくるかな?


 

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