風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

造反有理を超えて

2011-09-15 01:14:52 | 時事放談
 月刊誌「新潮45」を立ち読みしていると、「戦後日本: 失敗の本質」というタイトルで半藤一利さんと岩見隆夫さんが対談され、後藤田正晴さんが10年位前に語ったというエピソードが紹介されているのが目に留まりました。所謂「団塊の世代」(1947~49年生まれ)は今や社会のあるゆる職域で中枢を担うようになった、しかし彼らは「造反有理」、つまり破壊の論理で、建設の論理ではない、皆が皆そうではないのだろうが、自分だったら、官僚であろうと部下であろうと、この世代の人間は使わない(次の世代の人間を使うだろう)、といった趣旨の話でした。ちょっと過激なもののいいですが、後藤田さんは1969年に警察庁長官に就任し、長官時代に、よど号ハイジャック事件を始め、極左過激派によるテロ、ハイジャック、あさま山荘事件、爆弾事件などの対処に追われたことの恨みつらみを割り引くにしても、ここ二年間の民主党政権が、「団塊の世代」を少し広げて「全共闘世代」(1942~49年生まれ)によって混迷の度を深めてきたことと符合して、感慨深く思いました。
 「造反有理(ぞうはんゆうり)」とは、中国語で「造反に理有り」(謀反にこそ正しい道理がある)の意で、「革命無罪」と並び中華人民共和国の文化大革命で紅衛兵が掲げたスローガンだと、Wikipediaで解説されます。毛沢東が、1939年、スターリン生誕60年祝賀大会で語った言葉「マルクス主義の道理は入り組んでいるが、つまるところ一言に尽きる。造反有理だ」に由来し、日本でも1960年代末の大学紛争期以降、全共闘や日本の新左翼が自らの暴動やテロ活動を正当化するスローガンとして使われた、とあります。
 そして過去二年間の民主党政権を率いたのは、鳩山さん(1947年生まれ)と菅さん(1946年)をはじめとして、平野官房長官(1949年)、仙谷官房長官(1946年)、千葉法務大臣(1948年)、川端文科相(1945年)、赤松農水相(1948年)、山田農水相(1942年)、直嶋経産相(1945年)、中井国家公安委員長(1942年)など、全共闘世代がほぼ半数を占めました(小沢さんも1942年生まれ)。クセのある顔ぶれが並びます。民主党の「政権交代。」の実態は反自民、つまり自民党がやって来たことなら何でも反発し反対する「造反有理」を地で行くものだったと言えます。
 ところが野田政権で全共闘世代と言えば、藤村官房長官(1949年)、川端総務相(1945年)、小宮山厚労相(1948年)、山岡国家公安委員長(1943年)など、もはや少数派で、次の世代に移りつつあるようです。しかし欧米の政治シーンを見れば、オバマ大領領(1962年)をはじめ、イギリス・キャメロン首相(1966年)やクレッグ副首相(1967年)、ドイツ・メルケル首相(1954年)、フランス・サルコジ大統領(1955年)やフィヨン首相(1954年)など、既に世代交代は進んでいます。日本でも遅まきながら新たな展開が期待できそうな予感が・・・。
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