風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

果物の王様・ドリアン

2020-06-13 12:44:23 | グルメとして
 いよいよ関東も梅雨入りし、朝からしとしと雨が降る鬱陶しい天気だが、マレー半島ではドリアンのシーズンでもある。
 マレーシア・ペナン島に駐在していた頃のことだから、かれこれ10年以上も前に遡るが、毎年、この季節になると、同僚とダウンタウンでドリアンを売る屋台を訪れて、舌鼓を打ったものだ。これを私たちの間では「ドゥリアン・パーティ」と呼んだ。日本人の言い方ではドリアンだが、現地ではラテン語風のDurian(ドゥリアン)が通じる。
 まあ、日本人にはギョッとする話かも知れない。果物の王様と言われながら、航空会社もホテルも持ち込みを禁止にするほど、現地でもそのニオイの強烈さを警戒する。が、初めて口にしたときは、正直なところ戸惑った。屋台で食べるドリアンは新鮮で、特段の嫌なニオイはなく、クリーミーで、実に美味だったからだ。要は保存すると発酵が進んで強烈なニオイを発して制御できなくなるだけのことで、新鮮なドリアンはニオイとは無縁なのだ。しかしアルコールが苦手な家内は、ドリアンも苦手なようで、発酵が進むものに特有の発酵クセといったようなものがある。しかし酒好きの私は苦も無く、食べる内に、これがまたクセになって恋しくなる。
 ドリアンは、俗説では、アルコールとの食い合わせが悪いとされる。アルコールに反応して、腹内で異常発酵してガスが発生し、死に至らしめるというものだ。そのため、ドリアン・パーティの日には恐れをなしてアルコールを控えたため、俗説の是非を確かめることは出来なかった。
 そんなドリアンは一つではない。日本におけるリンゴと同じように、さまざまな名称が付されて品種が豊富なことには驚かされる。さながら国民的果物風だ。その一つひとつを覚えられるほど食べる機会はなかったが。
 当時、タイでニオイのしないドリアンが開発されたと聞いた。これも品種の一つなのだろう。そりゃドリアンらしさと言うか、強烈なニオイがあってこそ、新鮮なものを求めて食べる楽しみを奪うようなもので、意味がないと思ったものだが、果たして需要があったのか、寡聞にして知らない。
 何故、今頃、ドリアンかというと、マレーシアの知人が、つい最近、ご飯にドリアンを載せた写真をfacebookにアップし、「ドリアンとご飯、シンプルな幸せ」(中国語で「榴蓮配飯、簡単幸福」)とコメントしていたからだ。これに醤油(多分、魚醤だと思うが)をぶっかけて食う人もいると聞いたことがあるが、これこそギョッとする楽しみ方ではないだろうか(笑)。幸か不幸か、それを直接目にしたことも試したこともない。
 近所のスーパーには、ドリアン風味のキャンディーが売られていた。悪趣味かも知れないが、日本への土産にしようと画策して、ついぞ果たせなかったのは、今もって悔やまれる。マレーシアを旅行する方は是非、探してみて欲しい。
 所詮ドリアン、されどドリアン、である。

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