風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

小池劇場・続

2017-10-06 03:20:48 | 時事放談
 小池劇場とのタイトルを続けるが、小池都知事は舞台装置を回しただけで、陰の主役は前原誠司・民進党代表だったかも知れない。民進党を言わば解党し、小池新党への合流について、小池都知事と合意があったものと勘違いして、全会一致への流れを作ったのは、とりもなおさず前原代表だ。そのため、民進党議員からは小池都知事に騙されたとの恨み節が聞こえたらしいが、世の中はそれほど甘くないのであって、ただの泣き言でしかない。その結果、前回の蜘蛛の糸の寓話になぞらえれば、公衆の面前で糸を切られて恥をかくくらいなら、糸にすがるのは止めて、自ら立ち上がる人が現れた・・・ことによって、ヌエのように正体不明だった民進党が、穏健保守の小池新党とリベラル新党にきれいに整理されることになった。有象無象で混沌とした政界にあって、解散・総選挙により「政権交代。」の民主党(当時)政権を終わらせた野田佳彦・前首相の決断に負けず劣らず画期的なことだったと思う。
 実際のところ、民進党で主義主張を明らかにせずにただ長いものに巻かれていただけの無名の議員サンたちの多くは、運よく別の長いもの(小池新党)に巻かれたかも知れないが、うるさ型の有名どころは良くも悪くも出処進退が注目された。リベラルの旗幟鮮明なため、小池新党の公認を得られる見込みがなく、そうかと言って独立独歩に自信がなくて数に恃む人は、原則として5人以上が集まって政党に所属して衆院選に出馬しさえすれば、比例代表で復活当選する可能性も出てくることから、設立されたリベラル新党の「寄らば大樹」(ではなく今にも折れそうな樹だと揶揄するのは控えよう)を求めた。そんなリベラルには馴染めず、小池都知事の「排除の論理」(とは如何にも大仰だが)にも反発し、自信があって自ら恃むところが大の人は無所属を貫くことが出来た。
 先ずはリベラル新党である「立憲民主党」を立ち上げたのが枝野幸男・元官房長官である。なかなかの硬派なネーミングで(ちょっと古色蒼然として、はっきり言って大時代だ)、どうでもいいことだが「希望の党」と言い「立憲民主党」と言い、センスを感じさせないと思うのは私だけであろうか。それはともかく、小池新党が容認を求める安保法制について「私たちが積み重ね、目指してきた理念や政策とは異なる」と批判し、民進党が共産、社民両党などと進めてきた選挙協力を「継承する」と明言した点で、まさに民進党リベラルの正統なる後継者と言えよう。これに、長妻昭・選対委員長、赤松広隆・元衆院副議長、阿部知子・前衆院議員、福山哲郎・元官房副長官、辻元清美・元国土交通副大臣、近藤昭一・元環境副大臣らが続いた。菅直人・元首相は街頭演説で、「枝野氏の呼び掛けに応えて立憲民主党に参加することを決意した」と高らかに宣言したらしい。別に菅氏に呼び掛けたわけではないと思うが、菅氏にとっては「渡りに舟」だっただろう。
 前回ブログでも触れた野田佳彦・前首相は、「内閣総理大臣、民主党の代表、民進党の幹事長を務め、歯を食いしばって励まし続けてきた仲間がたくさんいる。中には『希望の党』に入らない方もいる。リスクはあるが、応援するには無所属の立場の方が動きやすい」「無所属なら、自分の従来の主張も思い切り発言できる。過去に責任を持ちながら、未来を語っていきたい」と述べて、堂々としたものである。前原代表に「『希望の党』に行けない人を十分ケアすべきだ。民進党議員がとてものめないような政策合意は十分こなれたものにしてほしい」と注文をつけて、未熟な合流構想の後始末をつけるよう求めた岡田克也・元代表も、小池新党とは安全保障や消費税に関する考え方が違うと述べる一方、リベラル新党についても「リベラル派が入ると聞くが、やや政策的にぴったりしない」と述べて、無所属を選んで潔い。江田憲司・前代表代行も、「小池新党とは政権交代を成し遂げる点では一致するが、仲間が選別されている状況を目の当たりにして行くわけにはいかない」「しがらみのない立場で選挙を戦い、選挙後は再編に身を投じる」と述べて無所属を選んだ。公認申請が難航しそうな安住淳・元代表代行は、結局、公認申請を提出せず、「新しい党のイメージを出すためには私や野田(佳彦)さんのような、どこを歩いていても民主党だというような人間がいるのはよくない」「(小池都知事は)都会の人。俺は田舎の人だから情があるからね。ただ、ああいう風にバリバリっとやる人がいるのもいいんじゃないですか。ああいうスピードについていけない部分がある」などと本音を覗かせつつ、無所属を選んだ。素朴なところは悪くないが、政治家としてどうだろう。
 そして小池新党である「希望の党」である。玄葉光一郎・元外相は、「民進党は左に寄りすぎた。もう少し右にシフトしないと政権交代可能な受け皿にならない」と釈明に追われたのは、分からないではないが、今まで民進党として何故一つの党でやって来たのか問われても仕方ない。小池氏本人は「リセット」「しがらみのない政治」といったワンフレーズ・ポリティックスを展開するのはいいが、本当の「保守」を理解しているのか、その語感とのギャップが気になる(言わずもがなだが、本当の「保守」なら、一般論として「リセット」だの「しがらみのない」だのと言い切ることはないだろう、革新でもあるまいし・・・)。
 人それぞれの人間模様・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする