保健福祉の現場から

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災害時のトリアージ

2019年03月19日 | Weblog
朝日新聞「災害時のトリアージめぐり訴訟に 学会は法整備視野」(https://www.asahi.com/articles/ASM3L44VPM3LUBQU004.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<大災害時に、膨大な傷病者の中から治療の優先順位を判断する「トリアージ」で、ミスがあったら――。東日本大震災で亡くなった被災者の遺族が病院を提訴した。トリアージに特別な免責規定はなく、法的整備を検討すべきだとの声もあった中での提訴で、災害医療の関係者には波紋が広がった。日本災害医学会は17日の理事会で、法制化に向けた提言づくりなどを始めると決めた。裁判は、東日本大震災で被災し、搬送先の病院で亡くなった宮城県石巻市の女性(当時95)の遺族が、病院正面玄関で行われたトリアージに過失があったとして、石巻赤十字病院を仙台地裁に提訴。約3200万円の損害賠償を求め、1月に口頭弁論が始まった。訴状などによると、女性は治療不要の「緑」と判定され、避難所への搬送まで院内の待機エリアで待つ間に脱水症で死亡した。しかし、自立歩行や適切な意思疎通ができない要介護5の認定を被災前に受けていたことから、少なくとも中等度の「黄」とされるべきだったと指摘。必要なケアを受けられないまま3日後に死亡したのは病院に責任があると主張する。病院側は取材に「トリアージは手順に沿って、医師か看護師が適切に行ったと考えている。治療不要と判断された人は自宅に帰るか避難所に移ってもらうのが本来のあり方」と説明。当時最大約600人の被災者が院内にいたといい、「乏しい物資の中から、女性に点滴を1本打ったが、精いっぱいだった」と話す。この訴訟を注視するのが日弁連・元災害復興支援委員長の永井幸寿弁護士。災害トリアージの課題を指摘し、立法措置を訴えてきた。「混乱状態の災害時であっても、医療に求められる注意義務を平常時より軽減する規定はない。やむを得ない判断ミスでも責任を問われる可能性がある」 看護師や救急隊員が医師の代わりに担当した場合、治療や搬送の優先順位の判断が「診断行為」とみなされれば医師法違反になりかねないという。「災害時の医療の萎縮を防ぐため、故意や重過失がない場合、責任を問われないといった規定が必要では」 国の判断はあいまいだ。厚生労働省の「災害医療体制のあり方に関する検討会」の報告書(2001年)でも①災害時の状況下の合理的判断であれば一般に法的責任は生じない②救急救命士や看護師などは緊急時のやむを得ない行為(緊急避難)として違法性は問われないのではないか、と現行法の解釈の可能性を示すにとどまる。>

救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_540690.html)でトリアージの位置づけについて明確化された方が良いかもしれない。先般「災害医療コーディネーター活動要領及び 災害時小児周産期リエゾン活動要領」(https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000477426.pdf)が出ているが、大規模災害時の現場での臨機対応が不可欠であり、トリアージに従事されるスタッフに支障があってはならないであろう。今回の「東日本大震災で被災し、搬送先の病院で亡くなった宮城県石巻市の女性(当時95)の遺族が、病院正面玄関で行われたトリアージに過失があったとして、石巻赤十字病院を仙台地裁に提訴」の報道に対して、心を痛めている災害医療関係者が少なくないかもしれない。ところで、消防庁「避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況の調査結果等」(http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/11/301105_houdou_1.pdf)の市町村詳細(http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/11/301105_houdou_1-1.pdf)が出ていたが、市町村間で随分と取り組み格差がみられる。
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