保健福祉の現場から

感じるままに

医療保険給付率の自動的調整導入の前に

2018年04月26日 | Weblog
キャリアブレイン「給付率の自動調整「誤解」を生まないように 財務省「負担と給付のバランス」の必要性指摘」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180425132115)。<以下引用>
<財政制度等審議会・財政制度分科会の田近栄治・分科会長代理(成城大経済学部特任教授)は25日の会合後の記者会見で、医療保険の支え手が減ることなどを見据え、「負担と給付のバランス」を取るための具体策として財務省が提案している「給付率自動調整」に対し、単に給付費の総額を管理する仕組みだと「誤解を生まないようにしなければいけない」との意見が委員からあったことを明らかにした。財務省の提案は、保険料を支払う支え手が減り、高齢者が増える中、支え手の負担能力を超えるような医療費の増加があった場合に給付率を調整するというもの。財務省では、それによって医療保険制度の持続可能性を確保したい考えだ。経済・財政一体改革推進委員会の社会保障ワーキンググループに19日に提案したところ、厚生労働省は同日開かれた社会保障審議会医療保険部会で即座に反対の姿勢を示した。
 会見に同席した財務省の阿久澤孝主計官(厚生労働第一担当)は、医療保険制度を持続可能にするための仕組みが必要だという点では、厚労省側も同じ認識だと指摘。制度設計も含めて引き続き議論をする考えを示した。>

財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300425/04.pdf)p6「5歳以上の後期⾼齢者の⾃⼰負担について2割負担とすべき」、p7「介護保険サービスの利⽤者負担を原則2割とするなど、段階的に引き上げていく必要」と違って、p10~11「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」は異質な感じである。財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p82「医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の活⽤(考えられる例)〇医療費の伸びが⾼く住⺠の保険料負担が過重となる場合における診療報酬1点単価の調整 〇⼊院医療費の地域差是正等の観点からの、特定の病床が過剰な地域における当該⼊院基本料単価の引下げ 〇調剤業務の需要に⾒合わない供給増(薬剤師や薬局数の増加)が⽣じた場合の調剤技術料の引下げ」「【改⾰の⽅向性】(案) ○ 都道府県における医療費適正化の取組みに資する実効的な⼿段を付与し、都道府県のガバナンスを強化する観点も踏まえ、医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰すとともに、今年度から開始する第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活⽤していくための枠組みを整備すべき」とされ、医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204021.pdf)p98「高齢者医療確保法第14条(診療報酬の特例)の運用について」では「① 医療費適正化計画の枠組みにおける第14条の規定については、都道府県において医療費適正化計画の目標の達成に向けて保険者・医療関係者等の協力を得ながら取組を行い、その取組状況の評価の結果を踏まえて、都道府県と協議した上で、厚生労働大臣が判断するプロセスとなっている。このため、各都道府県においても、医療費適正化計画に関する取組の実績を分析し、これを評価した上で、既存の診療報酬や施策、取組の予定等を踏まえて、適用の必要性について検討していく必要がある。② その際、各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論も踏まえて、第14条の規定の適用の必要性について検討していく必要がある。③ 厚生労働省においては、都道府県の意見を踏まえ、中医協における諮問・答申を経て、診療報酬全体の体系との整合性を図りながら、医療費の適正化や適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められるかを議論した上で判断していく必要がある。」とある。「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300425/04.pdf)p10~11「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」以前に、「高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用」はないのであろうか。また、「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p64「薬剤自己負担の引き上げ」、p65「受診時定額負担の導入」、p67「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行」等はどうなるのであろうか。例えば、社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p54「医薬品の高額化(抗がん剤の例)」が出ているが、東京新聞「高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000115.html)では「肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。(中略)胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。」を認識したい。肝炎治療費公費助成(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/080328_josei.html)でも超高齢者の方々が少なくない。肝炎医療費助成対象者数調(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/h26josei_taisyou.pdf)で年齢階級別の情報公開がされれば、80歳代、90歳代への高額薬剤使用の実態がわかるであろう。「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000137851.pdf)では、市町村のがん検診には年齢上限が設定されていないが、健康日本21(第二次)推進専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=208248)の目標項目一覧(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000196941.pdf)では「75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)」とあり、「がん検診の受診率の向上」では「がん検診の受診率の算定に当たっては、40歳から69歳まで(子宮頸がんは20歳から69歳まで)を対象とする」を少し考慮しても良いように感じる。また、社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p65「受診時定額負担の導入;少額の受診に⼀定程度の追加負担を求めていくべき」とあるが、平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p54「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の対象範囲の拡大;特定機能病院及び許可病床400床以上の地域医療支援病院」「病床数500床以上を要件としている診療報酬の取扱いの見直し;当該基準を400床に変更する。」の要件を引き下げる方が自然と感じる。中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000183841.pdf)p114「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養 (200床以上の選定療養取扱い)」を勘案すべきである。それにしても全く不思議なのは、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「社会保障改革の推進に向けて(参考資料)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0412/shiryo_01-2.pdf)p4「基準病床と比べた既存病床数の割合(精神病床) ~全ての都道府県で過剰~」、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)p23「都道府県人口10万人当たり精神病床数と1人当たり年齢調整後入院医療費に対する精神及び行動の障害の寄与度」、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の意見」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p7「精神病棟に入院する必要がない患者が在宅復帰できない状況の改善に向け、障害福祉サービスと連携して適切に対応することが求められる。」などが出ているにもかかわらず、財政制度等審議会財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p31~32「改革工程表上の主な制度改正等検討項目」では「精神科病院の構造改革」がないことである。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での機能別必要病床数では精神病床は除外されている。また、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。4年前の長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=141270)の取りまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051135.pdf)で示された「病院の構造改革」のためには、精神病床について、一般病床や療養病床と同様の施策を実施し、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)を積極的に投入すべきであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdf)p9~10「精神病床における入院患者数の推移」、p11「精神病床における入院患者数の推移(在院期間別内訳)」、p13「精神病床における退院患者の平均在院日数の推移」を踏まえれば、精神科病院の構造改革は避けられないであろう。「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000118658.html)の論点(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000118649.pdf)には、精神病床のさらなる機能分化(病床機能の検討、精神病床の必要数)が提示されており、行方が注目である。精神科病院の構造改革のためには、①地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の機能別必要病床数は精神病床にも拡充すること、②「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)を活用し、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は精神病床にも拡充することが必要であろう。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)では圏域別の慢性期入院患者数が出ているが、慢性期の精神病床については、今後、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/28513.pdf)p17「療養病床入院受療率の地域差解消」と同様な取り組みが考えられるかもしれない。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の「精神疾患」に関して、精神疾患の数値目標(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159905.pdf)には、地域移行に伴う基盤整備量もあり、これは市町村の介護保険事業計画、障害福祉計画とも絡んでくる。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築支援情報ポータル」(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/)の資料(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/meeting01data/sysbuildermeeting01_ref1-2.pdf)p38~39「市町村計画における地域移行に伴う基盤整備量の調整」はどうなっているであろうか。平成30年度から、医療費適正化計画は医療計画と同様に6年計画になったが、精神障害者の社会的入院解消は医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188600.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138072.pdf)でも打ち出されるべきである。また、精神障害者の社会的入院解消は「生活保護医療扶助の適正化」の観点からも必要であるが、平成29年度全国厚生労働関係部局長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/tp0115-1.html)の社会・援護局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-01-03.pdf)の医療扶助適正化は、後発医薬品の普及、頻回受診の適正化、生活習慣病の予防・重症化予防だけである。財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)は精神科病院には興味がないのであろうか。とにかく、「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300425/04.pdf)p10~11「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」の前に検討すべきことがある。
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