保健福祉の現場から

感じるままに

産科医勤務環境

2016年01月05日 | Weblog
M3「「妊娠・育児中以外の医師にも配慮を」、日本産婦人科医会」(https://www.m3.com/news/general/388221)。<以下引用>
<日本産婦人科医会はこのほど、2015年度の「産婦人科勤務医の待遇改善と女性医師の就労環境に関するアンケート調査報告」を公表した。1施設当たりの勤務医師数は増加傾向にあるものの、妊娠・育児中の女性医師が多いため、当直勤務や勤務状況の改善はほとんど見られず、通常勤務の医師への配慮が乏しいことから「産科離脱に至る危険のある状況」と指摘し、改めて強い危機感を示した。日本産婦人科医会は、改善策として、育児中の女性医師の力の活用や、当直勤務への配慮が重要だと指摘した。調査結果では、小学生以下の子どもを育児中の女性医師は、ほぼ半数が当直免除を受けていた。報告書は、本人のキャリア育成のためにも、チーム制などの勤務の工夫を導入して常勤を続け、育児中も当直やオンコールを担当することが必要だとしたほか、厳しい当直勤務の改善策として、当直翌日の勤務緩和の導入や、それができない場合には外来休診日の設置を提案。さらに、「突然の医師のバーンアウト・産科閉鎖よりもまし」であるとして、「診療規模の縮小」も考慮すべきだとした。「分娩・手術手当の導入や増額の交渉」も必要だとしている。アンケートは、産婦人科勤務医の勤務状況と女性医師の就労環境に関して、日本産婦人科医会が2007年度から毎年実施。2015年度は同年6月から8月にかけて、全国の分娩取扱施設のうち有床診療所を除く1074施設を対象に調査を行った。有効回答は781施設(72.7%)。1施設当たりの常勤医師数は2007年度(4.5人)から年々増加傾向にあったが、今回は6.3人で2013年度からほぼ横ばい。常勤医師1人当たりの分娩数は前年度(82.9件)から79.9件に減少した。女性医師数の割合は常勤医師で40.9%と初めて40%を突破。男女合わせた非常勤医師数は調査開始から初めて減少に転じたが、高齢や妊娠・育児、大学院などの理由で、常勤先がないフリーの医師が36.3%を占めた。1人当たりの勤務時間は減少傾向で、当直を除く1週間の勤務時間は平均47.4時間となったが、1カ月の平均当直回数は5.8回でほぼ横ばい。外科の3.0回、救急の4.2回を上回った。当直翌日の勤務緩和を導入する施設は増加傾向にあるものの25.2%と少数派で、体制があっても、100%実施できているのは7.2%にすぎず、77.8%の大多数の施設が実施率は半分以下と回答した。女性医師のうち、妊娠中・育児中の医師の割合は42.9%で2014年度の52.3%から減少。妊娠中の勤務緩和は47.1%の施設が導入している。育児中の女性医師の勤務状況は、44.2%が夜間当直なしで勤務、27.0%が時短で勤務、25.0%が勤務緩和を受けながら夜間当直をしており、勤務緩和なしで夜間当直をしているのは23.3%だった。妊娠・育児中以外の男女医師に対して、勤務緩和や給与格差、昇進などへの配慮をしていると答えたのは22.8%だった。当直を除く1週間の勤務時間には地域差が見られ、長かったのは、青森(54.2時間)、福島(57.0時間)、富山(53.7時間)の3県。1カ月の当直回数は山形(8.5回)、福井(8.8回)、愛媛(8.4回)の3県で多かった。勤務緩和の導入率は、妊娠中は石川県(8.3%)で低く、岩手県(85.7%)で高かったほか、育児中は宮崎県(12.5%)で低く、神奈川県(61.5%)で高かった。女性のフリー医師が多いのは、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県の7都府県で、全体の55.6%を占めた。日本産婦人科医会は、常勤医数の増加や勤務緩和体制の促進などの改善も若干見られるものの、育児中の女性医師の半数は当直をしていないため、「通常勤務の医師への配慮はほとんど実現していない」と現状を分析。過酷な勤務状況が続いており、フリーの医師や育児中の医師の力の活用が重要だと強調した。>

医療従事者の勤務環境(http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/)に関する改正医療法の規定(http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/iryouhou_20150407.pdf)は認識したい。各都道府県の「医療勤務環境改善支援センター」(http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/information/#Info05)(http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/information/pdf/27houkoku_02.pdf)の活動はどれほど知られているであろうか。厚労省資料「看護職員確保対策について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000107369_11.pdf)p14「各都道府県における医療勤務環境改善支援センターの設置状況 (平成27年11月2日現在)」では41都道府県で設置済みとあるが、勤務環境改善対象は看護職員だけではない。しかし、産科医に関しては、絶対数そのものが問題である。周産期医療体制のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=292852)の資料「MFICUの施設基準・入院基準・地域格差等に関する検討」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000105603.pdf)p10「都道府県別MFICUの病床数(対出生1000)(総合・地域周産期母子医療センター合計)推測値との比較: 地域格差(平成26年厚生労働省医政局調査)」では「診療報酬で加算が取れているMFICUが0.89床/1000出生以上の都道府県数:16」で格差が大きい。p13「地域によっては搬送の工夫が必要(広域搬送等)」とされている。資料「産婦人科医師の動向と確保について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000101499.pdf)p11都道府県別の「10年後の分娩施設医師数増減の試算」が出ているが、都道府県内でも地域格差が大きいように感じる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では周産期医療は柱の一つ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000096049.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000096051.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000096053.pdf)であり、「周産期医療の医療体制構築に係る現状把握のための指標」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)は医療圏ごとで継続的に把握・共有されるべきであろう。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p50~病床機能報告の「公表しなければならない項目」には、助産師数、分娩件数、院内の出生、ハイリスク分娩管理加算、ハイリスク妊産婦共同管理料Ⅱがあり、都道府県公表の病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000095664.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)で医療機関ごとに出ているのでみておきたい。なお、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000080284.html)と並行して進められている「公立病院改革」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)について、少子化対策として、各公立病院での「産科」希望が少なくないかもしれないが、それぞれの地域において、自治体の枠を超えてでも「ある程度リスクの高い出産に対応できる医療体制」を確保することこそが最低限必要と感じる。「分散化」よりも「集約化」を優先したい。この際、産科医の確保には地域枠医師や自治医大卒医師の活用が積極的に図られてもよいのではないか、と感じる。少子化対策の一環として周産期医療体制(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=292852)がしっかり位置づけられ、強力な施策が推進されるべきである。診療科偏在及び地域偏在の是正対応には、改正医療法で法定化された各都道府県の地域医療支援センター(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/index.html)の果たす役割が小さくないであろう。また、正常妊娠・分娩は助産師、助産所の活用を積極的に図るべきであろう。平成26年度衛生行政報告例(https://www.e-stat.go.jp/)第7章医療5によれば、全国での助産所2822施設でうち分娩取扱施設は400施設に留まっている。例えば、産科医がいない病院でも、産科医がいる医療機関と連携した助産師外来が増えてもよいように感じる。周産期医療体制のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=292852)の資料「助産師の果たすべき役割と連携体制について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000101498.pdf)、「周産期医療体制における 助産師の活用」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000101585.pdf)もみておきたい。
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