保健福祉の現場から

感じるままに

要介護者や障害者での対応

2021年03月23日 | Weblog
R3.3.23岐阜新聞「「偽陰性」気付かず病院クラスター拡大か 終息宣言、岐阜県が分析」(https://www.gifu-np.co.jp/news/20210323/20210323-54859.html)。<以下引用>
<岐阜県は22日、美濃加茂市の木沢記念病院で確認されていた新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)について、新たな感染者が2週間確認されなかったとして終息を宣言した。入院する前にPCR検査で陰性を確認した複数の患者が感染していた疑いや、食事の介助などを通じた感染の伝播がクラスター拡大の要因とみられるという。県健康福祉部の堀裕行次長は「どこの病院でも(同様の院内感染が)起こり得るとの前提で対応する必要がある」と指摘した。県がこのクラスターの感染拡大要因などを発表するのは初めて。堀次長と、県の専門家会議のメンバーで、ぎふ綜合健診センターの村上啓雄所長が記者会見で説明した。クラスターは、2月2日に最初の感染者が確認され、院内11の病棟全てに拡大。東海地域で最大級となる計231人が感染した。内訳は、医療従事者97人と患者94人、その家族ら40人。22日までに死亡者が26人に上っていることについては、この日初めて発表した。病院は、新規の入院や救急の受け入れを一時停止せざるを得ず、地域医療にも大きな影響を与えた。病院では全ての入院患者にPCR検査を行い、陰性を確認した上で入院してもらっていた。村上所長は、陽性者が陰性と判定されるPCR検査の特性「偽陰性」の可能性を指摘。「病院側が気付かないままウイルスが院内にある状況が数日間あった。(最初の感染に)気付いたときに(感染者は)かなり多数いたことが(クラスター拡大の)要因と思われる」と述べた。また、村上所長は、食事や入浴の介助、痰(たん)の吸引、口腔(こうくう)ケアなど、医療従事者と患者が至近距離で接する機会が感染拡大につながった可能性を指摘。難聴の患者と医療従事者が大声で意思疎通をする際のリスクもあったとした。体調が良くない医療従事者が出勤した例も複数あった。感染拡大の要因などは県病院協会などを通じて県内の病院に周知したという。村上所長は「終わったわけではない。学んだ多くのことを生かして、最大限の注意を払い続けないといけない」と警戒を呼び掛けた。>

R3.3.24朝日新聞「防護服で介助、まるで野戦病院 クラスターの高齢者施設」(https://www.asahi.com/articles/ASP3R4FSCP3HUTFL007.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<新型コロナウイルスの第3波では、高齢者施設がクラスター(感染者集団)の最大の発生源になりました。政府は昨夏から施設での検査強化を自治体に呼びかけてきたにもかかわらず、なぜ発生を抑え込めなかったのでしょうか。「まるで野戦病院」。宮崎市の住宅型有料老人ホーム「はーとねっと弐番館」(利用者36人、職員32人)運営会社の岩切勝美社長は、職員と利用者計30人が次々と感染するクラスターとなった1月の日々をこう表現した。1月12日、深夜だった。「熱はないが味覚を感じない」。施設職員の1人から連絡があった。この職員は14日に陽性と判明したが、保健所からは「陽性になった職員はマスクをしていたため、濃厚接触者はいない」として、他の職員や利用者へのPCR検査はしないと連絡があった。施設では昨年から関係者以外の立ち入りや、職員の夜間会食を禁止するなどの対策をしてきた。それだけに、岩切さんは「感染が広がっているとは思わず、1人でおさまればという感覚だった」といい、保健所の説明を受け入れた。ところが、16日になって新たに別の職員1人が陽性だと分かった。保健所からは、すべての職員と利用者にPCR検査をすると連絡があった。2日後にPCR検査を実施した結果、利用者17人、職員3人が陽性と判明した。岩切さんは「頭が真っ白になった。最初の1人の時からクラスターを疑って全員検査をしてもらっていたら、感染拡大を抑えられたのでは」と悔やむ。20日以上帰宅できず 多くの利用者は無症状だったことから、基本は入院せずに施設内の個室での療養となった。DMAT(災害派遣医療チーム)も施設に入り、一日がかりで、感染拡大の防止に必要な感染者と非感染者の区域を分ける「ゾーニング」がされた。職員は防護服を着てオムツ交換などの介助をしたが、疲労度は大きかった。ゾーンごとの防護服の着脱、消毒、保健所への連絡など、座るひまもなく働いた。>

R3.3.24朝日新聞「クラスター収束は最短1カ月 早期検査カギ 医師が助言」(https://www.asahi.com/articles/ASP3R4S0YP3MUTFL00H.html?iref=pc_extlink)。<以下一部引用>
<高齢者施設での新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生が続いている。高齢者は重症化しやすいため、施設側は感染対策を徹底し、政府も対策に力を入れてきたが、広がりを抑えられていない。クラスターが起きた施設に助言をしている飯塚病院(福岡県)の的野多加志・感染症科部長に、現状や必要な対策を聞いた。――高齢者施設でのクラスターは1131件(3月15日現在)発生し、飲食店や医療機関よりも多くなっています。なぜ発生が多くなるのでしょうか 「高齢者施設は病院のように治療するところではなく、日常生活をする場所だ。家庭内での感染が防ぎにくいように、感染が広がりやすい環境にある。そこに第1波、2波と比較にならないほど市中感染が広がった第3波が来て、結果としてウイルスが入り込むことにつながってしまった」 ――施設で感染を確認したら、まず何をするのでしょうか 「高齢者施設で感染が発生すると、感染拡大を抑えるため、かつては厚生労働省のクラスター対策班が派遣されていたが、いまは各地方で専門のチームがつくられている。私は福岡県がつくるチームの一人として現場に入っている」 「施設でまずすることは、現状の把握だ。火だねはどこか、感染した人がフロアをまたいで移動していたのか、といったことを確認し、リスクが見込まれる集団に徹底してPCR検査などをする。そうすると、『このフロアが危ない』といった全体像が見える。この作業と並行して、リスクに応じたゾーニング(区分け)や防護服の利用をしてもらう。もともとは生活空間なのでゾーニングに向いていない、個室が少ない施設もあり、臨機応変の対応が必要だ」 ――職員の不安も大きいのではないですか 「今まで見たことのない防護服を着て介助する負担は相当大きい。例えば、自分の職場で、ここから先は防護服で仕事をしてくださいと言われたら大変でしょう? 現場は災害状態のようになって情報が錯乱し、職員が混乱したり、不安になったりということも起こる。スタッフによっては家族にうつさないように家に帰れない人や、車で泊まる人もいた」 「マンパワーの問題もある。高齢者施設は、ただでさえぎりぎりの人数で運営しているところが多いため、濃厚接触者になった職員を休ませて、それを補塡(ほてん)するということも難しい」>

基本的対処方針(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)のR3.3.18方針(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210318.pdf)p14「厚生労働省は、感染症やクラスターの発生状況について迅速に情報を公開する。」とある。「厚生労働省の3月1日時点のまとめでは、累積のクラスター件数は高齢者施設が1089件で最も多く、飲食店が972件、医療機関が920件。高齢者施設は昨年10月26日時点で215件だったが、現時点では5倍に増加している。4週間ごとの発生件数で見ると、12月~1月は238件、1~2月は296件と全体の2~3割を占める。」(https://www.asahi.com/articles/ASP3872LGP38ULZU006.html?iref=com_apitop)と報道されているが、「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」(https://covid19.mhlw.go.jp/)の基本統計に経時的なクラスター発生状況が掲載されても良いように感じる。厚労省「国内の発生状況など」(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1)に掲載されていた「全国クラスターマップ」(https://www.fnn.jp/articles/-/25319)(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200403/k10012365481000.html)は昨年3月末でストップしたままでリンクすらできなくなっている。R3.3.18「新型コロナウイルス感染症対策本部」(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r030318.pdf)のp95~「緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染症への対応(案)」p9「認知症、精神疾患、透析患者等の特別な配慮が必要な患者の受入体制の強化を図るとともに、医療機関における院内感染防止・発生時の感染制御の強化、治療法の標準化・均てん化の推進、後遺症の実態把握を併せて図る。」とある。R3.3.9「介護施設・事業所等における新型コロナウイルス感染症対応等に係る事例の共有について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2021/210309_2.pdf)が出ているが、R2.7.9群馬県「住宅型有料老人ホーム「藤和の苑」における新型コロナウイルス感染症集団発生の検証について」(https://www.pref.gunma.jp/02/d23g_00298.html)やR2.7.15「“崩壊”は介護現場で起きていた~コロナで12人死亡 実態は~」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200715/k10012516461000.html?utm_int=detail_contents_news-link_001)、R3.1.20「医療法人社団慶友会吉田病院でのコロナクラスターの経過」(https://www.keiyukai-group.com/yoshi-hp/uploads/sites/2/2021/01/af444edae7f265802fb47e3e26143939-1.pdf)、R3.3.2NHK「国内最大規模のクラスター 埼玉の病院で何が 調査報告書」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210302/k10012894381000.html)のような大規模医療・介護クラスターが発生すれば一挙に医療負荷がかかるであろう。市中感染が普遍化しており、どれだけ院内・施設内感染対策を徹底していても、医療機関・介護施設での散発例は起こりえるという認識が必要で、R3.3.18「新型コロナウイルス感染症対策本部」(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r030318.pdf)のp95~「緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染症への対応(案)」p7「高齢者施設の従事者等への積極的検査」「高齢者施設等の感染制御、業務継続の支援」「高齢者施設における研修やシミュレーションの実施」は重要であろう。なお、R3.3.18「新型コロナウイルス感染症対策本部」(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r030318.pdf)のp95~「緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染症への対応(案)」p9「治療法の標準化・均てん化の推進」について、R2.11.20読売新聞「レムデシビル、WHOが「治療効果なく推奨せず」…厚労省は投与方針変えず」(https://www.yomiuri.co.jp/medical/20201120-OYT1T50122/)と報道されるように、我が国では「レムデシビル(ベクルリー®)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00021.html)が最優先されているようにみえる。「⽇本感染症学会提⾔ 今冬のインフルエンザとCOVID-19 に備えて」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2012_teigen_influenza_covid19.pdf)p9「インフルエンザは早期診断に基づく、早期治療を⾏うことを推奨」であるが、新型コロナでは、たとえ、持病を有する軽症後期高齢者であっても、「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第7版(2021年2月1日)」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_210201.pdf)p2「慎重な経過観察を行いながら開始時期につき検討」なのであろうか。R3.2.2「新型コロナウイルス感染症の治療薬に対する治験等の実施について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000732600.pdf)で、「在宅又は宿泊療養施設における被験者に対する治験薬等を投与すること等に係る留意点」が示されており、R2.5.11朝日新聞「アビガン、福岡で早期投与可能に 軽症者も、医師会発表」(https://www.asahi.com/articles/ASN5C5VLGN4ZTIPE01V.html?iref=com_apitop)のような「早期診断・治療」は期待できないであろうか(特に高齢者、基礎疾患有者)。しかし、観察研究である限りは、制約が大きすぎる。R2.11.27Web医事新報「[緊急寄稿]これからの新型コロナ対策はどうあるべきか─universal masking,PCR検査,そしてアビガン 菅谷憲夫」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15981)の「ファビピラビルを院内感染,施設内感染対策にも使用することを考慮すべきである。」は、今後、「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/tebiki25.pdf)p10「施設内感染伝播が発生している場合には、適切なリスク評価のもと、早期の抗ウイルス薬予防投薬なども考慮されうる。」、「疥癬対策マニュアル」(https://www.maruho.co.jp/medical/scabies/manual/manual04.html)の「内服薬 原則的に確定診断がついた患者に投与する。その患者と接触の機会があり、疥癬様の症状がある方に予防的投与することがある:イベルメクチン 約200μg/kgを空腹時に1回、水で内服する。」のように、クラスター発生の医療・介護施設等での予防投薬はどうなのであろうか。ところで、基本的対処方針(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)のR3.3.18基本的対処方針(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210318.pdf)p32「都道府県等は、患者が入院、宿泊療養、自宅療養をする場合に、その家族に要介護者や障害者、子供等がいる場合は、市町村福祉部門の協力を得て、ケアマネジャー、相談支援専門員、児童相談所等と連携し、必要なサービスや支援を行うこと。」について、自治体向け事務連絡(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00214.html)で明確に示されても良いであろう。R3.2.5「病床ひっ迫時における在宅要介護高齢者が感染した場合の留意点等について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2021/210208_3.pdf)、R3.2.16「在宅で生活する障害者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合の留意点等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000740623.pdf)は家庭内感染が前提であってはならない。
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