蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

ママ、長い間、ご苦労様

2010-08-07 | 人々の風景
私が勤めていた会社の近くのオフィス街にある、お店。
御年60歳になる美人ママが、30年ちょっと一人で頑張ってきたが、
この度、店を閉めることになった。

この3日間は、閉店謝恩デーで、1000円で飲み放題。
一時は、昼間も喫茶をやっていたが、採算が合わず、夜だけになった。
オフィス街の皆さんは、30年近い顔なじみ。
ママに永年、熱い想いを寄せ、通い続けたK氏も、
そのうち「高嶺(高値)の花はワシには似合わん」と悟り、
K氏に相応な方と結婚された。

Kさんの奥さんも昨夜は、顔を見せた。
「わぁ~、ママ、美人やねえ」と、奥さんは目を円くしていた

私の隣に座った男性と、話をした。
「ここは、長いんですか?」
「長いですね~。20年ぐらいですか・・・」

その人は、装丁の立派な1冊10万円もする、企業本を売っているとか。
怪しげな結社の人??かと思ったが、そうでもなさそう。
しかし、そんなモノ売って、生活できるのかしらん???

そんな失礼なことも言えず、
「へえ~、そうなんですか・・・10万円もする本が、よくまあ売れるんですねぇ?!」
と、間の抜けたコメントを発する。(→やっぱり、失礼??)
ゲゲゲの女房やら、ガロやら、水木しげる、白土三平やらの話をして、お酒のアテにした。

「業界的には厳しいですね・・・今は、どこもですけれどね」
お客さんは社長と呼ばれる人も多いが、社員が一人でも、社長は社長。
どこの誰だか、どんな仕事をしているのか、よくわからないけれど
それぞれの皆さんの仕事と共に歩んできた、このお店、
皆さんの顔や年を見る限り、この店の閉店とそう遠くない日に、仕事人生を終えそうな方々が多い。

「本当はもう少し続けたかったんだけどね・・・」
と、寂しそうなママ。
吹き寄せる不景気風が、店を直撃し、深刻なダメージを与えた。

永年の客が、閉店を惜しんで、最後のお酒を楽しんだ。


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