2015年4月から実施予定の「子ども・子育て支援新制度」について、その内容と自治体行政の課題について、地方議員を対象としたセミナーが神戸市にある県民会館で開催され、参加してきました。
主催は、「月間 保育情報」誌を刊行している「保育研究所」。東海地方から西を中心に自治体議員が参加されていたようです。三田市議会からも、我が会派の3名の他に、2名の議員が参加していました。
三田市でも新制度実施に向け、子ども審議会が開催され、これまで傍聴をしてきましたが、大変複雑であることと、その割にはあまりにも時間のない中で、ややもすると不十分な議論で「審議」がされています。
今日のセミナーの内容は、以下の4つの内容で講義を受けました。
①子ども・子育て支援新制度の枠組み、政省令の概要、条例提案状況
②新制度の給付と財源、公定価格、施設の種類、移行問題
③保育の利用 認定と利用調整、保育料の徴収
④市町村・地方議会の課題・・・事業計画と認可・確認の基準
でした。
この「子育て新システム」の目指すところが、真に子供中心の子育て、憲法・児童福祉法にのっとった制度というより、国の財政から子育てに関わる予算をどれだけ削減するのかが中心の流れとなっています。次々と変更や追加提案がなされる中で作られた「新制度」のために、非常に複雑で分かりにくいものになっています。これまで審議会の傍聴や、雑誌・研究書など読んできましたが、それでもなかなか理解が難しい。この9月議会には子育て関連の条例提案がなされ、早来年度実施されようとしていますが、子育て中の父母に、どれだけ制度の中身を理解していただけるのか、はなはだ疑問と言わざるを得ません。
よくもこれだけ複雑な制度を考え付いたなと思いますが、ベースは「介護保険制度」の保育版。自治体による保育の実施(現物給付)から、介護保険のように、「現金給付」へと大きくその基本が変更されています。
保育にあたっては、自覚のある保育士が保育するというこれまでから、僅かな研修さえ受ければ、保育できる(家庭的保育)や、その中間の保育者の5割が資格者であればよしとするなど、子どもの安全を二の次にしたものとなっています。
この間の保育に関わる方々の運動などを通して、児童福祉法24条1項が復活し、自治体の保育実施義務を残しましたが、実際は、保育における自治体の実施責任を曖昧にし、財政負担を回避しようとする狙いが実例をもとに説明されました。
新制度では、子どもが等しく保育を受けられるのか、受けられるような制度へ拡充するために、条例策定までに問題点の指摘と提案が必要です。