2月13日(水)午前9時30分に山口市役所を訪問・視察をおこなった。
山口市が進めている、「市民、事業者、行政が協働しみんなで創り育てる」交通政策について学ぶためである。<o:p></o:p>
早速、地域振興部交通政策課長の原田憲明氏、交通政策担当主任主事の守川洋氏から説明を受けた。
山口市はH17年10月に1市4町合併、H22年1月に阿東町を編入し、面積1,023k㎡、人口20万となり、非効率な都市構造となっている。また、高齢化率は24%にもなり、社会福祉費の増加へと。さらに強いマイカー依存の非線引き都市(都心スプロール化)となっていることで、中心市街地の衰退、生活インフラ整備・維持コストの増大、農山村の人口減少や生活機能の低下へとなっている。これらにより、行政主体のバス運行は財政負担の限界ともなる一方、移動手段のない地域から不公平感といった不満になり、「わが地域にもコミュニティバスを導入してほしい」といった市民の声が増大してきた。
こうしたことから、H18年4月には庁内で「山口市交通対策推進協議会」を立ち上げ、1年半で計7回の会議を開き、市民交通計画を決定。さらに、計画の検討段階から市民を巻き込んで考えていく必要があると判断し、H18年5月を第1回に「山口市交通まちづくり委員会」(外部組織)でこれも1年半で8回の「公共交通のあり方」を検討した。
この間、市民のアンケート調査、パンフレット市内全世帯配布、市内11会場で地域検討会、地域勉強会(のべ50回開催)、山口タクシー協会との意見交換会(のべ3回開催)、中間案に対する市民に県の募集、商工会議所・商工会との意見交換会(のべ4回開催)、まちづくり審議会(のべ15回開催)と、事業者をも巻き込んでの検討を重ねた。
こうしたことができたのも、「基本理念」として「市民の移動手段は、交通事業者や行政だけでなく、市民とも一緒に、みんなが協働して創り育てる」をもち、「みんなで役割分担をして長続きする公共交通体系を創っていこう」と市民とともに、行政が一緒になって努力をしてきたからである。
課長さんは、こんなことを言われた。『市民の皆さんが一生懸命汗を流してくださったからできたことです』
確かにそう思える。と同時に、毎回の検討会、地域勉強会等、実に多くの会に市の職員が参加する等、市職員も同じほど「汗をかいた」でしょうと述べると課長さんは、否定されず、微笑んでおられた。その後も、H19年からH23年まで、何と424回の地域勉強会が開催された。驚くほどの努力である。<o:p></o:p>
しかも、努力の内容が素晴らしい・・・・・
「地域勉強会で心がけていること」として、<o:p></o:p>
① 住民が集まりやすい日時を設定していただく<o:p></o:p>
② 検討する際には、「案を2つ以上」提案し、参加者と一緒に議論する<o:p></o:p>
③ 方針を理解いただく必要があるときは、第3者(公共交通委員会委員)に参加していただく<o:p></o:p>
「整備方針」は、「機関交通」としての鉄道や路線バスを都市核への明日セ須利便性や速達性を向上させ、「コミュニティ交通」はバス・タクシーなど地域の特性やニーズに合った手段を確保し、地域をきめ細かく回り、地域の中心地や機関交通に接続、「連続性の確保」として、乗り継ぎや結節点については、商業施設・医療機関等を活用しながら、憩いの場となるよう配慮し、待ち時間・移動距離・運賃などが小さくなるよう工夫。<o:p></o:p>
これら公共交通政策を進める上でのいくつかの特徴点:<o:p></o:p>
① 利用する動機づけとなる事業の実施「先ずは乗ってみよう!」<o:p></o:p>
市民を対象に公共交通習慣やパーク・アンド・ライドなどを実施し、市民意識の高揚を図る<o:p></o:p>
② 地域での検討会を重ね、応募(5地域)による実証運行がなされる(追加3地域が可能性あり)<o:p></o:p>
③ 本格運行の条件が柔軟<o:p></o:p>
収支率を30%(地域内に病院や商業施設がない場合は、25%以上)以上、乗車率を30%以上へとハードルが低い。しかも、この基準は、3年間で1回でもクリアー出来ればよい
④ 散在する小集落では一般タクシーを共同利用し、タクシー利用権をH20年から交付する実証実験をしている(乗り合わせるほど、お得)<o:p></o:p>
⑤ 全市で取り組む「ノーマイカーデー」
チラシを全戸配布(半額券、10%割引クーポン券の刷り込み)、地元企業や、商工会議所などへの協力のもと、毎年取り組み<o:p></o:p>
2011年度、地域公共交通活性化・再生優良団体 大臣表彰受賞されたが、このような取り組みがなされている決定的な要因は、市長自身がその政治姿勢、市民生活を支える基本的なスタンスと政策を持ち合わせておられることと言えることが明確であった。<o:p></o:p>
三田市においても大いに参考にできるであろう。<o:p></o:p>
山口市役所にて