5月12日~13日、「まちづくり常任委員会」として、佐賀県の2か所へ視察に行ってきました。
1つは、株式会社の指定管理となり「集客」の効果が上がってマスコミでも有名になった武雄市図書館。2つは地域ブランドを大学・地元企業・行政の「協働」で作り出している取り組みに学ぶ。
初日に訪問した武雄市図書館では、職員の方に案内していただきました。
しゃれた建物を入って感じたのは、「いったいどこへ来たのだろう?」でした。入り口近くに陳列されていたのは、新刊書の販売。その右手は、スターバックスのコーヒースタンドバーとコーヒーの挽き売り(?)袋の陳列。新刊書に並んで、ペンやおもちゃも売っている。その向こうに続く場所には更に新刊書や週刊誌などが販売されていました。その右手にはコーヒーを飲みながら読書ができるようになっており、新しいスタイルの「売り」の場所でした。
建物の外には「武雄市図書館」となっていましたが、1階部分の入り口から続くのは、蔦谷書店の売り場ばかり。そしてコーヒースタンドとコーヒーなどを飲みながらの読書スペース。
それが終わるころに「図書館」としての書棚が並んでおりました。その奥が図書館としてのスペースで、棚が並び、また読書スペースもありました。
書棚の最上段付近には、「Dictionary」とだけ表記した一見、辞書、または百科事典風のものがズラ~と並んでいました。高いところだったので、踏み台を持ってきて、どんな辞書だろうと手にしたところ、何と本ではなく、本に見せかけた、1枚の紙で作った「辞書」でした。
職員の方になぜ、そんなことがなされているのかと尋ねたところ、「見栄え」をよくするためらしいと答えてくださいました。本ではなく、本に見せかけたものを並べる必要があるのでしょうか?
所蔵の20万冊のほとんどが開架図書ということですが、高い書棚は私のような背の低い者には踏み台に上っても手が届きませんでした。
図書の検索という点では、あちらこちらにタッチパネル式の検索装置が置かれており、便利です。ただ、検索と同時に「購入」の表示も同じスペースで表示されているため、気に入った本が購入できるようにもなっており、考え方を変えれば「便利」でしょう。
2階に上がるとそこはすべて図書館としての開架図書となっていました。
一通りの説明をいただき、玄関近くへ戻ってきて、玄関付近のCDやDVDコーナー(玄関から入って左側)は、すべてレンタル(お金を払って借りる)コーナーでした。
「武雄市図書館が指定管理制度導入により、新しい図書館に生まれ変わったこと」についての市民アンケートでは、「大いに満足」が31.9%、「満足」が51,2%となっており、高い評価を受けていることを表しています。
開館時間は午前9時~午後9時まで、開館日は331日(2013年度実績)です。
この結果自体は素直に受け止めるべきと考えます。ただ、この状況がいつまで続くのでしょうか?
人口5万人の市で、図書館利用者は2013年1年間で92万人を超えています。(利用者の割合は、市内居住者が56.4%)
図書館で働く職員は全体で56名(本屋雑誌の販売、コーヒーの販売、レンタル商品の貸し、図書館業務のそれぞれの仕事)のうち、図書で働く人は、10数名ですが、コーヒーを売る人も図書の行身にもかかわるとのことで、司書資格を持っている人は14名(司書率25%)とのことでした。
昨年1年間で図書の購入は約1万冊。しかし、CDなどの購入はほとんどなく、有料のレンタルで貸し出しているとのことでした。
図書館利用登録者状況では、登録者数34,349人(2014年3月31日)のうち、市内居住者は35.1%、市外居住者は64.9%となっています。
観光スポットのように、玄関外では、記念写真を撮っている人たちがおられました。
多額の税金を投入して改築し、しかし、1階の玄関から入って左側のすべてのスペースが有料のレンタル業務で、企業としての営業の場所。玄関から入って右側の奥に続く主要なスペースが本・雑誌だけでなく、関連(?)おもちゃなどを含めた販売スペース。
確かにアンケート結果では、市民の満足が高いとなっていますが、多額の税金投入で改築された場所が、企業の利益を上げる場所ともなっています。
翌日は、神埼市を訪問しました。神埼市は8年前に2町1村が合併して人口3万3千人の市として誕生しました。
山林・原野が66%、田畑が28%、宅地は5%で、温暖多雨の季節で、麦(大麦、ビール麦)の収穫後の6月後半に田植えが始まる「2毛作」です。丁度今は、麦(どちらの麦だったのか?)が黄金色に輝いていました。
神埼市では、西九州大学と地元企業、そして行政の3者による「神埼市地域実行委員会」を設立して、地産地消コラボ弁当「神埼のめぐみ」を開発して、春夏秋冬のイベントなどで販売されています。
5年前に「食育プランアンケート」を取ったところ、郷土料理や伝統料理など、地域や家庭で受け継がれた料理・味で、必ずしも十分に伝えられておらず、また朝食の欠食、偏った食事、食習慣の乱れ、食料自給率の低下など、「なんとかしなくては!」と3者が共同の取り組みが始まりました。地元の特産品(そうめん、アスパラガス、イチゴなど)を使った商品開発やブランド化がなされ、成果を上げています。
これらを通して、観光客の誘致を図り、市の地域産業の活性化を図るとともに、市の魅力アップが図られています。
今後の三田の地域産業の活性化を図るうえで、農産物の利用、生産、商品開発とブランド化、販売をどのようにしていったらよいのか、一定のヒントとなりました。