4月26日(土)午後2時から4時半まで、神戸勤労会館にて神戸大学名誉教授・二宮厚美氏による講演会があり、参加してきました。
日ごろの三田市政を通して、地方自治のあり方が大きく損なわれてきていることを実感していただけに、大変興味ある講演でした。住民の暮らしを守り、福祉の充実を追及しなければならないはずの地方自治体が、数字に表れたことの評価、実態をじっくりと受け止めた対策を取ろうとしないことなど、「自治体の本来の在り方とは?」に疑問を持っていました。
地方分権、国と自治体とは対等(憲法)のはずが、決してそのようになっていない実態と国の在り方についても、本質が置き去りにされている現状に疑問を持たざるを得ないのではないでしょうか?
二宮先生のお話は、少々高度な内容のため、消化不良を起こしそうになりながらも具体的な事象を示しての内容はわかりやすいものでした。
大阪橋下市長によるポピュリズムを装いながら、その実住民の声を抑え込む手法、極端な右翼思想による安倍政権の危険な方向が民主主義の崩壊を一層拍車をかけていることなど、国政のみならず、地方自治体の在り方まで崩壊させようとしていることなど、わかりやすく話されました。
中でも印象的だったのが、「二つの解釈改憲プラス、アベノミクス」をめぐる国民的対決点でした。
その一つは、「憲法9条の解釈改憲による行きつく先が『戦争国家化』」
秘密保護法、道徳教育、日の丸・君が代の強制など、また教育委員会の解体など国家による統制強化は地方自治と衝突することになる点。
その二つは、「憲法25条の解釈改憲に行き着く『税・社会保障一体改革』」
「憲法25条にもとづく社会保障」から「共助・連帯としての社会保障」への転換を図ろうとしている点。
社会保障を「自助」「共助」を基本とすることで、国・自治体の義務を放棄しようとしています。「互いの助け合いを法制化」する「保険原理」(これは「収支均衡を図る)によって、医療と介護の分野で徹底しようとしています。=医療と介護の充実を求めるのなら負担増も当然とする保険原理を導入し、国の役割から自治体や個人の責任へと転換。
これは、安倍政権による「復古的国家主義」と一体になった「19世紀的救貧思想=自助を基本にした生活」を求めています。20世紀に確立した「人権としての社会保障」を捨て、「共助・連帯としての社会保障」へ歴史の逆戻りとなろうとしています。
その三つは、アベノミクス第3の矢「成長戦略」による福祉国家の解体へ
「日本を企業が世界で一番活動しやすい国にする」としたアベノミクス。すべての業務で「派遣化」=3年過ぎればすべての仕事を永久的に派遣を認める。
また、「ホワイトカラー・エグゼンプション」=残業をいくらしても残業代を支払わなくてよいとする働かせ方へ。
さらに、福祉・教育への企業の参入を認め、そこで営利追求を認める。「教育特区」により、企業が小学校や中学校運営に参入させ、企業の利益追求を認める。
このように、「企業の自治体への参入」を認め、一層促進する。=三田市でもすでに「指定管理者制度」や請負などで進められています。
これによって、自治体の民主主義がなくなろうとしています。
*市民の福祉・教育が企業活動の対象となってきています。(これまでの成長産業の分野に期待が持てず、企業が本来利益追求の対象とはならない分野に参入してきています)
三田市の目の前で起きている事象を日常的にみているなかでの二宮先生のお話は大変分かりやすいものでした。