長谷川よしきのブログ

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地方議員研修会に出席して(エルおおさか)

2017年08月04日 | ブログ


第16回 地方議会議員研修会  (2017年8月3日~4日)
「人口減少を踏まえて地域の将来像を考える」に参加して <長谷川美樹>
主催: NPO法人 建設政策研究所 関西支所
会場: エル・おおさか(大阪府立労働センター)

初日の8月3日(木)は13時から始まった。京都大学大学院経済学研究科教授の岡田 知弘氏による「『人口減少』と地域づくり ~現場から学ぶ~」と題しての記念講演。

1.はじめに 
① 「時代と足元の地域を大きくとらえる」として、大災害とグローバル化の時代の現在、すでに各地で起きている大災害や確実に襲うといわれている震災・火山災害。
 住民の命と基本的人権の回復・尊重と、いざという時の災害に備える対策が重要。
これらの重い課題が、国だけでなく地方自治体とその首長・議員、住民に突きつけられている。
② 地域から物を見ることの重要性
「人間生活の再生産」という根本的視点からとらえることが重要。
人間生活の再生産=ジン減社会の再生産と生命の再生産から「人口」問題をとらえる。
*その国や地域にする一人一人の生活があり、この視点がない「人口対策」は、時として効果を生まないだけでなく害悪にもなる。
*グローバル化・人口減少・関税の引き下げ(TPP、EPAなど、海外市場への開放)
③ 「地域」とは、特定の自然条件を基礎にした「人間の生活の領域」であり「基礎細胞」
  *地域から見ること=地域➡集落➡市区町村➡都道府県➡国➡アジア➡世界
  つまり、地域があって初めて国や世界があり、その逆ではない。
  その「地域」とは、「ひと」が歩いて生活する500メートル以内が多い。
  この狭い生活地域をいかに持続させるか=再生産を続ける
 *現代では、経済のグローバル化のなかで両者が大きくかい離。
④ 誰が地域経済、住民の暮らしを担うのか。
  中小企業・農業・協同組合・自治体職員が地域経済の最大の主体である。
⑤ 国や地方自治体が誰のためにあるべきかが鋭く問われる時代となっている。

2.「人口減少」・「自治体消滅」論=増田レポート
*典型的な「印象操作」である
①  なぜ「2005年~2019年の人口動態だけをとらえているのか?
②  数字だけの扱い・・・なぜ20~30歳代の若年層人口が半減する自治体が「消滅可能性都市」なのか?
③ 自治体ごとの定住政策や地域づくりの努力による傾向変化をみていない
④ 過去の国土交通省推計においても10年後の「集落消滅」数については外れた地域が85%ある
⑤ そもそも若い女性人口が半減したとしても、自治体も地方も消滅しない
⑥ 菅官房長官と調整した上での増田レポートの発表(日経新聞2014年6月22日)・・・増田氏は菅氏と調整して、新成長戦略策定豆のタイミングでの公表を狙った!
⑦ 「増田レポート」では、地域経済衰退・人口減少の原因を分析していない

3. 地域を「活性化する」「豊かにする」とは、どういうことか?
   ① これまでのほとんどの開発政策は、結果的に失敗に終わっている
大企業による大型開発・公共事業では、ゼネコンが受注(地元の企業が下請けとして受注しても十分な利益が出ず、地元に還流できず)で、本社がある東京へ利益が吸い上げられている。
② 企業誘致に成功したとしても、結局同じ状況。
③  「地域が豊かになる」とは、「住民一人一人の生活が維持され、向上する」こと。
 自治体の合併で、公共施設・福祉施設・銀行やATMが無くなり、結局「生活が壊され」、生活の豊かさが壊されている。
④  地域発展の決定的要素・・・地域内再投資力の量的質的形成がポイント
地域にある企業、農家、協同組合、NPO、地方自治体が毎年、地域に再投資を繰り返すことで、そこに仕事と所得が生まれ、生活が維持・拡大される。

4. 地域づくりの具体例から学ぶ
九州: 由布院、 長野県:栄村、 宮崎県:綾町など

5. 現場での取り組みからの学び
① 市役所のトップからみた「選択と集中」ではなく、生活領域の地域で日々生活する一人一人の住民の視点に立っているかどうか。
② 本来の「コンパクトシティー」は、500メートル以内の歩いて暮らせる生活の質が保たれるかである。・・・日本で進められているのは、人口減少に向けて効率よく集中した施設にしていくこと。生活が不便になる人を生み出す。  
③ 全国市長会の調査(2015年)によると、「人口増加自治体の最大の要因は、地域コミュニティーがしっかりしていること」=安心・安全なまちづくり


 
8月3日(金)、2日目の研修は、「農村として『千穂創生』にどう向き合うか」<自治体として取るべき姿勢と対応策を考える>と題して、NPO法人ローカル・グランドデザイン 理事である坂本 誠氏による講義を受けた。

1.「地方創生」がもたらすもの・・・「地方創生」の罠
① 本来地方が独自に考え、計画策定していくものであるのに、まさに中央集権への回帰の減少となっている。(地方分権会価格からの逆行となっている)
2016年3月末までと期限を区切って自治体に計画策定を求めた。
都力義務とはいえ、交付金と紐付けられ、実質的な義務付けとなっている。
・ 明確なトップダウン・・・国➡都道府県➡自治体
国~県~自治体・・・国が閣議決定を行い、「国総合戦略」を定め、いずれもそれを「勘案して」とうたわれている。
⓶ 財政面の集権大使がとられている
  交付金配分の決定権を国が握り、その使途にも強力な指導をしている。
⓷ 自治体として自立的に管理すべきなのに、「KPI」方式をもとめている。
*かつて小渕内閣が行った「ふるさと創生」(1989年~89年)で全国の自治体へ一律1億編をばらまいたが、その使途については、各自治体の創意工夫に任せた(検証はなかったが)。
 しかし、今回の「地方創生」では、再び中央集権となっている!
これにより、自治体は計画策定に追われ、疲弊と国の顔色をうかがうこととなっている。

2.煽られる自治体間競争
 ① 縮小するパイの奪い合い、少数の「勝ち組」と多数の「負け組」が発生している。
  「増田レポート」が使われ、自治体間競争が煽られている。
②  結果として、自治体間の給付競争へとなっている
教育・福祉など対人サービスを「顔が見える」関係の中で提供することが効果的であり、効率的である。住民に最も近い自治体の役割が重要。
*自治体の優遇策を「あて」にして移住する若い世代・・・これでよいのか?
 移住者・もともとの住民と共に自分が住む自治体・生活をどうしようとすることが大切!
③  国による「地域間競争」の罠・・・誰がルールと勝敗基準を設定するのか?
プレイヤーとしての自治体が国の居総条件に沿った「回答」を出さざるを得ない。
④ 見落とされた「旧町村部」
「平成の大合併」で新しい自治体では数値的に平均値では改善が図られては来ても、一方で合併させられた「旧町村部」では、公共施設・福祉施設・店舗などがなくなり、生活が困難になることで、一層の人口減少を起こしてきている。<三田市に置き換えたら、どんなことが見えてくるのか?>
3. 「地方創生の罠」に陥らないために
 ① 急いで計画策定するのではなく、地域を最もよく知っているのは住民自身であり、その住民の声を十分に効き、本当に必要であるかどうかを判断していく。
 ② 「人口」増加策ではなく、その地域にする人「人間」を幸福にするための地域社会を作っていくことが大切であり、目的であるはず。

4.農村の直面する課題・・・農村政策の展開とその限界
 ① 人口問題では、農村ではこれまでコミュニティーを高齢者が支えてきた。その農村で、高齢者が増えるのではなく、頭打ちとなってきている。今後はむしろ高齢者の減少となり、、地域コミュニティーの担い手の減少を意味することとなる。
 また、基本的に家・土地のある農村の高齢者と都市における高齢者の経済的貧困が引き起こす高齢者同士の格差が問題となってくる。
 さらに、年においては社会関係が農村に比べて希薄が問題。(農村においては、時にうるさすぎると思われる人間関係・社会関係がセーフティ・ネットにもなっている)
③  若年層の東京圏への集中・滞留・・・2000年~2010年で若者の東京集中が顕著
*2000年代の地方(特に農村)における雇用環境の悪化と所得減が大きな原因
  農業人口の減少・・・高齢化による引退が多数
  建設業の縮小撤退・・・公共事業の縮減
  清掃業の撤退・・・海外への流出・三大都市圏への回帰
  公務関係の雇用減・・・特に合併自治体で顕著・・・若年層採用の減

5. 農村の未来に向けて今私たちができること・・・自治体としてなすべきこと
  ① 「地域運営組織」による自律力(マネジメント力)の回復がポイント
    旧村・小学校区など、複数集落を包含する単位に
    ・社会システムの再構築(小さな単位での新たなコミュニティ)
    ・政治システムの再構築(小さな役場)
    ・経済システムの再構築(小さな農協)
   *阿波村の実践例など
   *全国の約400の自治体で「地域運営組織」が設置・運営されてきている
         もともと集落が小さいところで進んでいる。
  ② 留意点
   「行財政改革」を理由とした、行政による地域コミュニティの更なる動員とならない。
     安上がりの行政の一環として、行政主導でする目られることの内容に。
   *本当に住民にとって「地域運営組織」を必要としているのか?
   *「事業運営」に目が向いているのではないのか?
   ➡ 「合意形成」を十分に図ることが最も重要=「運営協議会」で合意形成を!

   *「人口」増加策ではなく、「人間」を幸せにするための地域社会づくりが重要
    「人口」は統計的概念であり、「人口」に目を向けるのではなく、その地域に住む一人一人の「人間」に目を配ることが大切!
  高知県梼原町松原地区の例・・・山間部における事例
  鳥取県南部町東西町ニュータウンの例・・・都市近郊における事例

③ 「地域づくり」の大原則に立ち返る
・ 住民が互いの役割を認知し合える関係づくり
・ 住民それぞれの存在が認められる場づくり
・ ・・・住民一人ひとりが、地域にみうからの個性や能力を活かせる居場所がある、またその地域で自分の存在が認知され、実感できる状況をつくる

④  移住・定住対策の在り方
*「優遇策」や「補助金ありき」ではなく、移住する人のライフプランを一緒に考えて充てる体制づくり
    ・・・移住して住む人がこの先20年先を見据え、「移り住んで安心」となれるよう、資産・家計を含め、 Financial Planner資格を持つ市職員が親身になってライフプランを考えてあげることで、信頼を持っていただける。
*地域の将来を一緒に気付いていく仲間を募るという姿勢が重要
   「自分たちの地域をこのようにしていきたい」、そのために「こういう人を求める」の観点が重要なポイント

*農村における経済対策
  ①「多業」(もともと農村は農業・林業・季節労働など多様な収入源・いわゆる「百姓」)
    ・・・同時に複数の仕事に携わる働き方を考える(農業だけの収入では困難)
      生活できる、見通しが持てる収入が必要。

*地域づくりに取り組む際の「心がけ」
   「変わらないこと」(地域で育んできた風土は変わらないし、変えてはならない)と
   「変わり続けること」(常に自己変革をすること、完成はない)の両立を考えること。

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