
寒気が去って本当の春の日が来た。桜のつぼみがふくらみ、スイセンの花があちこちで開いている。非常事態宣言下ではあるが、今日は手術からの回復が順調な妻を連れて、人がこまない温泉を楽しむ。そこに咲く春の花をたづね、妻にとって二月ぶりの温泉を楽しむ。コロナから身を守る、最良の方法のような気がする。
ワーズワースの水仙を謳う詩がある。一語一語、その詩をかみしめる。家族が連れ立って水仙の花を摘んで、花束にして贈りものにする。日本では許されていないが、世界中の人々の春の楽しみ方である。
谷また丘のうえ高く漂う雲のごと、
われひとりさ迷い行けば、
おりしも見いでたる一群の
黄金色に輝く水仙の花、
湖のほとり、木立の下に、
微風に翻りつつ、はた、躍りつつ。 (ワーズワース「水仙」)
