
ベランダの鉢に、芽の出始めたカサブランカの球根を植えた。畑仕事を卒業してしまったので、せめてベランダで発芽から花の咲くのを楽しもうという考えだ。買ってきた球根の説明書きは、植えつけの適期は5月とある。これは霜にあたるのを注意せよ、という注意であろう。寒くとも、暖かくとも、人はこんな言葉をきっと吐く。「記憶ではこんな春はなかった」。5月の別れ霜まで、農家の人たちは、ひどい霜害にやられた記憶がいつまでも頭に残る。「もう60年も前のことだけど、3月の25日に橇に乗ったことがあったなあ」
カサブランカの隣のプランターに、「20日ネギ」の球根を埋めた。これは成長が早く、芽がぐんぐん伸びて、20日経つと、30㌢ほどになり収穫して食べると説明書きにある。鉢もプランターも水やりを忘れて、用土を乾燥させてはならない。数年前、ブルーベリーの苗木を鉢植えにしてある。毎年、たくさんん花をつけるが、実がならない。雄花との交配がうまくいかないせいだと思っていたが、剪定が必要なことが分かった。たくさん伸びた小枝を落し、鉢から伸びる幹を2本にして、花を咲かさないで1年育てることにした。剪定した短くなった枝についた芽がふくらんでいる。
「時がみちて法則にかなえば、蕾はひらき、芽は伸びる。そのとき、君は謙虚な気持ちになって、人間の無力をさとり「忍耐がすべての知恵の母」だ、ということがわかるだろう。」(チャベック「3月の園芸家」)そうして、庭には様々な芽の大行進が始まる。
