みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0400「○○恐い」

2018-12-05 18:27:56 | ブログ短編

 町内(ちょうない)の連中(れんちゅう)が集まって、恐(こわ)いものについての話になった。お化(ば)けだの、ヘビだの、うちのかみさんだって奴(やつ)もいた。その中でも、忠八(ちゅうはち)はあり得(え)ないものをあげた。
「俺(おれ)は、シュークリームってやつがダメだ。あの丸くてフワフワしてるのを見るだけで、身体(からだ)が震(ふる)えてくるんだ」
 忠八が帰った後、残(のこ)った連中が顔を見合わせて、誰(だれ)が言うともなく、
「ひとつ、あいつを懲(こ)らしめてやろうじゃないか」
 という話になった。町内の連中は、忠八に欺(だま)されたり、ひどい目にあっていたのだ。
「どうだろう。シュークリームを山ほど買って、あいつの家に届(とど)けさせよう」
 そんなことを話し合っていると、町の顔役(かおやく)がやって来た。さっそく顔役にそのことを話すと、顔役は言った。
「そいつはダメだ。忠八は甘(あま)い物には目がないんだ。俺の家へ来るたびに、やれ饅頭(まんじゅう)を食わせろ、今日はおはぎだ。まあ、うるさいのなんの」
「しまった。また欺されるところだった。なんて奴だ!」
 みんなが悔(くや)しがっていると、ひとりの男が呟(つぶや)いた。
「じゃあ、食わせてやろうじゃないか。ただし、ワサビをたっぷり練(ね)り込んだやつをな」
<つぶやき>人を欺したりすると、とんでもないしっぺ返しがあるかも。やめましょうね。
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