みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0419「めんどくさい」

2018-12-27 18:44:39 | ブログ短編

 会社(かいしゃ)の給湯室(きゅうとうしつ)でお茶(ちゃ)の用意(ようい)をしていた和枝(かずえ)。急に上衣(うわぎ)を引っ張られてビクッとして振(ふ)り返ると、そこには後輩(こうはい)の海月(みつき)が立っていた。海月は困(こま)った顔をして和枝を見つめた。
 和枝は、またかと思いながら、「どうした? 何かあったの?」
 海月は和枝の間近(まぢか)まで寄(よ)って来て小さな声で、「どうしたらいいか、分かんないですぅ」
「ちょっと、近いよ」と和枝は海月から離(はな)れると、「仕事(しごと)のことだったら後で…」
「違(ちが)います。彼のことで…。あたし、先輩(せんぱい)が言ったように、昨日(きのう)、告白(こくはく)したんです」
 和枝は告白しちゃえばって、軽(かる)い気持ちで言ったことを思い出した。まさか、本当(ほんと)にするなんて。「ああ…、そうなんだ。それで…、やっぱりダメだった?」
「それが、いいよって。彼も、あたしのこと気になってたみたいで…」
「良かったじゃない」和枝はホッとして、「そうか、両思(りょうおも)いだったんだ」
「良くないです」海月は顔を曇(くも)らせて、「彼、全然(ぜんぜん)連絡(れんらく)とかしてくれないし…。あたし、ちゃんと電話番号やアドレスも教えたんですよ。これって、どういうことだと思います? もし、こっちから連絡とかしちゃったら、がっついてる女って思われたりするのかな。それとも、彼から何か言って来るまで待った方がいいですか? 先輩、教えて下さい!」
「いや、そんなこと言われても。私、あなたの彼のことまったく知らないし…」
「じゃあ、今度、彼に会って下さい。先輩の目で、あたしにふさわしい男かどうか――」
<つぶやき>面倒(めんど)くさい子はどこにでもいるのかもね。温かい目で見守(みまも)ってあげましょう。
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