徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:松岡圭祐著、『千里眼 The Start』(角川文庫)

2021年06月23日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

千里眼シリーズの最新刊『千里眼の復活』を読んだのをきっかけに同シリーズにはいわゆる「クラシックシリーズ」の後の「新シリーズ」があることを知り、思わずシリーズ全巻を大人買いしてしまいました。

新シリーズ第1巻である『千里眼 The Start』は、岬美由紀の生い立ちと空自を除隊して臨床心理士になる経緯を振り返って描かれます。その際に重要な役割を果たした笹島が、千里眼としてすでに有名になっていた美由紀とある事件をきっかけに再会し、ともに飛行機墜落事故予告について調べることに。

事故予告に関する調査が始まってからはいつもの松岡圭祐テンポでスリリングなストーリー展開となりますが、過去の説明からそこに至るまでは少々回りくどく、繫がりもやや無理があるような印象を受けます。
けれども、クラシックシリーズから年月が経過し、その間の心理学的知見の変化・発展が作品に反映されるとともに、スーパーヒロイン岬美由紀のスーパーぶりがやや抑えられて人間味が増したような設定になっているところは興味深いです。
現状のリアルを踏まえつつ絶妙にフィクションを交えて独自の近未来図を描き出すことを意図した作品だそうです。2007年の作品に描かれた近未来のうち14年後の現在、現実のものとなったのはどのくらいあるのでしょうか。

『千里眼 The Start』をAmazonで購入する

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

歴史小説

書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『ヒトラーの試写室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『黄砂の進撃』(講談社文庫)


推理小説 

水鏡推理シリーズ

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫) 

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)


探偵の鑑定シリーズ

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)


高校事変シリーズ

書評:松岡圭祐著、『高校事変』1&2(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変Ⅲ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変』IV+V(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VI』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VIII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 IX』(角川文庫)


千里眼シリーズ

書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼の復活』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 The Start』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 ファントム・クォーター』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼の水晶体』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『ミッドタウンタワーの迷宮』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼の教室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 堕天使のメモリー』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 美由紀の正体 上・下』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 シンガポール・フライヤー 上・下』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 優しい悪魔 上・下』(角川文庫)

 

その他

書評:松岡圭祐著、『グアムの探偵』1~3巻(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの事件簿 0』

書評:松岡圭祐著、『被疑者04の神託 煙 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『後催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『瑕疵借り』(講談社文庫)


書評:松岡圭祐著、『千里眼の復活』(角川文庫)

2021年06月22日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行


『千里眼』シリーズも12年ぶりの新刊が出ました。
私は5年ちょっと前に『千里眼完全版クラシックシリーズ』12巻16冊 を一気読みしたのですが、実はこれには「新シリーズ」と呼ばれるものが10巻14冊あるんですね。『千里眼の復活』はこの「新シリーズ」の続編なので、その存在を始めて知ったのでした。知ってしまったらもう読むしかないですね(笑)

『千里眼の復活』はコロナ禍後の日本が舞台で、航空自衛隊基地百里基地から仮配備されていた最新鋭戦闘機F-70が盗み出されるところから始まります。このF-70は架空の戦闘機ですが、欠陥だらけなのにトランプ元大統領にほとんど強引に売りつけられたF-35の完全改良版という設定で、1機だけ日本に購入させたことになっています。
F-70は在日米軍普天間基地にも配備されており、そこからも同様に盗み出されてしまいます。このF-70は性能が良すぎて味方でも発見できないほどステルス性に優れ、F-35が束になってもかなわない戦闘機。これが2機、謎の敵の手にわたり、東京と青森が空爆されます。
自衛隊の方ではF-70のデータ流出に関わったと目される情報処理官に対する捜査が行われますが、催眠誘導で消されたらしい記憶を呼び起こすために臨床心理士の嵯峨がことに当たったものの、機密情報が明かされないままでの誘導には限界があったため、彼の提案で元自衛隊パイロットであるこのシリーズの主人公・岬美由紀が担当することになります。これによって国家の危機に深くかかわることになった美由紀が独自ルートで捜査をすることになります。

このストーリーは、日本の離島が中国やロシア勢に売却されてしまっていることの問題点を浮き彫りにします。現行法では日本の土地の売買に買い手の国籍制限や使用目的制限などがなく、外国勢が無人島を購入してそこに軍事拠点を作ったりすることを阻止できない現状です。日本領土なので、日本の法支配は受けますが、完全私有地であるため、所有者の同意なく警察権力が介入することはできず、監視もできないという都合の悪い状況です。
実際に軍事拠点が作られているかどうかはもちろん不明ですが、可能性として領土内に敵の拠点を抱え込むリスクがあるのは確かです。
本作には言及されていませんが、水源を含む土地も外国勢にどんどん売り渡されている現状は国防の観点からだけでなく、国の将来の存亡にかかわる資源問題です。きちんと危機感を持って対策を講じないと、少子高齢化による人員不足、経済力低下、兵力低下で最低限の自衛すらままならない状況に陥るのではないでしょうか。
この作品はそういう意味で政治批判的な「警鐘」と解釈できます。

『千里眼の復活』をAmazonで購入する

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

歴史小説

書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『ヒトラーの試写室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『黄砂の進撃』(講談社文庫)


推理小説 

水鏡推理シリーズ

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫) 

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)


探偵の鑑定シリーズ

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)


高校事変シリーズ

書評:松岡圭祐著、『高校事変』1&2(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変Ⅲ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変』IV+V(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VI』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VIII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 IX』(角川文庫)


千里眼シリーズ

書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼の復活』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 The Start』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 ファントム・クォーター』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼の水晶体』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『ミッドタウンタワーの迷宮』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼の教室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 堕天使のメモリー』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 美由紀の正体 上・下』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 シンガポール・フライヤー 上・下』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼 優しい悪魔 上・下』(角川文庫)

 

その他

書評:松岡圭祐著、『グアムの探偵』1~3巻(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの事件簿 0』

書評:松岡圭祐著、『被疑者04の神託 煙 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『後催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『瑕疵借り』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『マジシャン 最終版』&『イリュージョン 最終版』(角川文庫)


書評:松岡圭祐著、『特等添乗員αの難事件 VI』(角川文庫)

2021年06月19日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

万能鑑定士Qの事件簿 0』同様、『特等添乗員αの難事件』シリーズの最新刊が今年の2月に発売されていたことを完全に見逃していました。
現在進行中の『高校事変』シリーズは「続刊予約」で自動購入にしていましたが、『特等添乗員αの難事件』シリーズは2014年に発行されたV巻で完結したと思っていたので、まさか7年ぶりに新刊が出るとは驚きました。
ファンにとってはV巻から時間が7年跳んでいるわけではなく、スムーズにつながっているので違和感がなく、それでもなお現在のコロナ自粛などの状況が反映されているところが「最新」という感じがします。
一方で、前作を知らない人にとってもスムーズに入りやすいように工夫されていると思います。ヒロインの浅倉絢奈が、婚約者の執事に一風変わった花嫁修業を受けていることや、その内容であるところのラテラルシンキングやロジカルシンキングの話に興味を覚えたら、シリーズ前作を読んでください的な書き方のように思いました。
適度にこれまでの設定や経緯が説明されているので、7年も経って色々忘れていた記憶が徐々に蘇って来てちょっと懐かしいという気がします。
さて、VI巻のストーリーですが、絢奈が韓流芸能観光が問題となっている韓国ツアーに添乗することになります。政治的状況から失敗が許されないツアーであるにもかかわらず、一癖も二癖もありそうな9人のツアー客を連れて行くことになります。景福宮のフリータイムで参加者の1人が倒れ、絢奈が駆け付けると別人に成り代わっていました。倒れた女性はある芸能事務所の練習生ユジョンで、病院まで付き添っていた絢奈の同僚が事情を聴く間もなく事務所の部長とやらにほとんど強制的に引き戻されてしまいます。絢奈たちは行方不明になったツアー参加者を探し続けますが、韓国警察も旅行会社も大人一人が勝手な行動をしただけと取り合わず、状況が掴めないままとりあえず他の参加者とともにツアー続行します。ところがショッピングタイムでは女性客2人が異様なほど爆買い。それが実は同じツアー参加者のK-POPファンと思われる母娘を恐喝してそのクレジットカードを使ったものだったことが判明します。後にこの母娘も失踪してしまい、ツアーバスは東南アジア系のいかにも危険な臭いのする男たちに囲まれるという感じに謎のハプニングが次々に起こって息つく暇もなくスピーディーにストーリーが展開していくところが松岡圭祐ならではの筆致というところでしょうか。
韓国の政治と芸能界の裏の腐敗を抉り出すようなストーリーですが、「人の死なないミステリー」というモットーは堅持されているので読後感もさわやかです。




にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

歴史小説

書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『ヒトラーの試写室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『黄砂の進撃』(講談社文庫)


推理小説 

水鏡推理シリーズ

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫) 

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)


探偵の鑑定シリーズ

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)


高校事変シリーズ

書評:松岡圭祐著、『高校事変』1&2(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変Ⅲ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変』IV+V(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VI』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VIII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 IX』(角川文庫)


その他

書評:松岡圭祐著、『グアムの探偵』1~3巻(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの事件簿 0』

書評:松岡圭祐著、『被疑者04の神託 煙 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『後催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『瑕疵借り』(講談社文庫)


書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの事件簿 0』

2021年06月19日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

2016年に『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉』で終了したはずのシリーズから昨年最新刊が出ていたのですね。完全に見逃していました。

『万能鑑定士Qの事件簿 0』の舞台は2009年、凛田莉子がチープグッズから独立した直後で、まだ自分自身に自信が持てず万能鑑定士Qという名前の重圧に喘いでいた頃の話なので「ゼロ」の番号がついています。
都内で発見されたバンクシー作とおぼしきステンシル画の真贋判定に強引に巻き込まれてから、あれよあれよという間に舞台は熱海、グアム、そして福岡へと広がっていきます。熱海では複製博物館のようなところでなぜかゴッホの真作 と思われるものを発見し、グアムではホテルで開催されていた地元文化(の勘違い)を示す展示品の中になぜか漢委奴国王印の本物の輝きを発見し、福岡市博物館に問い合わせるものの一笑に付されてしまいます。しかし、後に本物の漢委奴国王印を保管しているはずの福岡市博物館ではすり替わった贋作が発見されます。この一連の事件の裏で糸を引いているのは誰なのか、そして何が本当の目的なのか、ワクワクするミステリーです。しかも人が死なない。
グアムでは3巻以降なかなか新刊が出ていない『グアムの探偵』シリーズのヒガシヤマ親子が登場し、莉子をサポートして事件の解決に貢献します。こちらも早く新刊が出て欲しいものですね。



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

歴史小説

書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『ヒトラーの試写室』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『黄砂の進撃』(講談社文庫)


推理小説 

水鏡推理シリーズ

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫) 

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)


探偵の探偵・探偵の鑑定シリーズ

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)


書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)


高校事変シリーズ

書評:松岡圭祐著、『高校事変』1&2(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変Ⅲ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変』IV+V(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VI』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VII』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『高校事変 VIII』(角川文庫)


その他

書評:松岡圭祐著、『グアムの探偵』1~3巻(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの≪叫び≫』(講談社文庫)

書評:松岡圭祐著、『被疑者04の神託 煙 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『後催眠 完全版』(角川文庫)

書評:松岡圭祐著、『瑕疵借り』(講談社文庫)


レビュー:大今良時著、『不滅のあなたへ 』全15巻(講談社)

2021年06月08日 | マンガレビュー


『不滅のあなたへ 』はアニメが今話題になって気になっているのですが、ネットフリックスなどを見ていないのでひとまず原作を読むことにしました。
1巻2巻がKindleで無料で読めるので試しに読んでみたら、その幻想的な世界観に惹き込まれ、現在出ている全15巻を大人買いして一気読みしてしまいました。
物語は1つの球体が地上に投げ込まれることから始まります。この球は、ありとあらゆるものの姿を映しとり、変化することができます。これがオオカミになって意識を獲得し、あてどなく歩いているうちに少年に出会い、その少年が死ぬとその姿を映しとって人間になります。この姿で人間社会に入っていくまでには少々時間がかかりますが、しばらくしてマーチという少女に会い、彼女に「フシ(不死)」の名前をもらい、人間としての行動と言葉を獲得していきます。不死身であることと変身できるという特性から人間社会の様々なことに巻き込まれていきますが、そのうちに優しい人間性を身につけて行くところが魅力的ですね。「痛いのが嫌」というのと、近くの生き物の痛みや感情をわがことのように感じ取ってしまうのが理由ですが。
巻を追うとフシの元の球を投げ込んだ謎の黒い人物が登場し、さらに彼の世界を保存するという計画を阻止しようとしているらしいフシを狙う(フシが獲得してきたもの・記憶を奪う)敵も登場し、永遠に終わらない戦いが展開していきます。この敵(後に「ノッカー」と命名)が地中に潜んで静かに成長し、いきなり出て来るというホラー設定なのと、主人公が人間の形も取れる時間を超えた存在なのとで全体的にホラーファンタジーという感じですが、時の流れが人間のそれではない悠久の世界の中で展開する様々な出会いがドラマチックで面白いです。

15巻セット(紙書籍)をAmazonで購入する