ミドリノツヅリ

ベランダで育てている植物たちについての覚書。
と、文鳥のこと。
その他のこともたまに書きます。

若冲画譜

2009年12月16日 | その他
最近、二冊の本を手にしました。
「目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』」(小学館)
「近代図案コレクション 若冲画譜」(芸艸堂)
どちらも若冲初心者の(というより日本の絵を見るのは初心者といってよい)私にはちょっとした衝撃で「若冲ってこんな凄い絵を描く人だったのか!」と驚かされるものでした。なのに興味を持つのが随分遅かったな、と…。2007年の相国寺の若冲展のときは、あまり興味がなくて、なんだか騒がれているみたいだけどなあ…という感じで流してしまったのです。場所も京都だったし。
「目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』」のほうはとにかく絢爛豪華な鳥たちが印象的でしたが(どこをどうしたらあのように極彩色な鶏が描けるのか、とか。雪の表現も素晴らしい)、「若冲画譜」は植物と虫の絵を楽しめる贅沢な一冊です。こちらは「動植綵絵」ほど緻密にびっしりと描き込まれた画面ではないので、情報量の多さにくらくらするようなことがないというか、わりと素直に眺めることができる本でした。コウシンバラやハマナシといったバラも登場します。知らない植物の名前もいろいろありました。
「若冲画譜」には信行寺の天井画と、白黒の拓版画「玄圃遥華」「素絢帖」が収録されています。これを見て、特に白黒拓版画のほうでなのですが、描かれている植物たちにずいぶん虫食いが多いことに気づきます。
私は日本の絵についてはあまり知識もなく(だったら西洋の絵には詳しいかというとそんなことはないのですが)、若冲についてもろくろく知らずに三十年以上も生きて来たことを今頃悔やんでいるところですので、この「虫食い」描写の多さについてなにも正確なところを知っているわけではありません。おそらくやはり好きこのんで「虫に食われている植物」を描いたのか、とは思いますが、とてもリアリティを感じます。わざと極端に虫食いの葉ばかり選んで描いたのか、リアルに描いた結果虫食いばかりになったのか、そのへんのところは分かりませんが。
まあとにかくぱっと見て虫食いばかりの絵が続きますと、素朴な感想としては「いやあ、そうですよねえ、そりゃ虫食いありますよねえ、薬剤使わないとやっぱりこれくらいは…」という感じなのでした。化学薬品をなるべく使わずに育てているとかならず虫は食いに来るのだ。オルトラン粒剤もカダンセーフもなかった昔、それはやっぱり虫は盛んに食ったのではないか…と思って、なんだか親近感のようなものを感じてしまったりして。江戸時代には園芸は盛んだったようですけど、当時、害虫駆除はどうしていたんでしょうか。やっぱり何かしらの虫よけ剤はあったのかな?とは思いますが、そういう事情について、機会があったらちょっと調べてみたい気がしました。
まあ虫食い描写が多い理由はともかく、これらの本によって、ひとが若冲の絵に魅了される理由がわかったのでした。
いつか本当に、本物を見たいものです。

コメント    この記事についてブログを書く
« 桃香その他 | トップ | 取り込み完了 »

コメントを投稿