☆・・・『相棒』シリーズと『名探偵コナン』の映画シリーズは、ソフトなサスペンス好きの母親を毎年 観に連れて行くことにしている。
考えると、この両作品、それぞれに「縛り」がある。
「コナン」は、自分の正体を、周囲の者や敵に隠さなくちゃならず、回りくどい捜査になる。
「相棒」も、警察機構の中で厄介者になっているので、捜査が、警察システムの中では間接を置いたものにならざるを得ない。
だが、そんな面倒くささが、作品の好まれる味になっているのも、両シリーズ同じ。
さて、「相棒 Ⅳ」だが、前作はイマイチの出来だったが、今作は実に良く練られた脚本だと思った。
粗筋が出来たら、多くの人の目を通し、ディスカッションを重ね、決定稿に至った印象だ。
登場人物(特に犯人たち)のそれぞれに深い感情と、そして「歴史」を持たせ、右京の推理と、冠城の捜査が敵を明らかにしていく。
作品にチラホラしていたオリンピックの経過が、クライマックスに結実していく様などは、パズルがはまる感じで心地良く、
右京が病室で携帯をかけるのだが、その数分前の画面のはしに、さり気なく「携帯使用可」の貼り紙がしてあるなんてのも細かくもうまい。
ヒロインの少女を、無意識のテロにかどわかす白人が、あたかもメフィストフェレス的に黒マントを翻してヒロインを翻弄する様などは、さしてメインでもない役に濃いキャラ付けしているなぁと感心した。
(2017/02/14)