海外のニュースより

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「中国、フランスで城ごと葡萄園を買う」

2009年07月27日 | 国際経済
フロンサック発:シャトー・リシュリューほどフランスに根をもったものは見つからないだろう。
ルイ13世の大臣だったリシュリュ-枢機卿は、1632年に有名なブドウ畑を購入し、自分の愛妾をこのシャトーに住まわせた。一世代後に、シャトー・リシュリューのワインは、ルイ14世治下のヴェルサイユ宮殿で開かれた宴会の定番になった。それ以来、シャトー・リシュリューとその古い遺産は、ボルドーの北東20マイルのドルドーニュ川に沿っているフロンサック地方の誇りだった。
しかし、フロンサックでも時代は変わった。香港と北京に根拠地をもつ中国の不動産会社は、先月、大金を投じて、この葡萄園を買い取った。ブドウ畑とお城と歴史的由緒込みで。
取引は、この一年間で二度目である。別の中国の会社は、2008年にここからちょっと南にあるシャトー・ラトール・ラグエンスを買い取った。この会社は、数百万ドルを投じて、二流のワインを最高級品に変え、建築後500年経ったシャトーを富裕な中国人の結婚式場に変えた。
両方の事例で、中国人バイヤーは、的確にフランスにふんだんにあるものを求めた。つまり、歴史と優雅さと伝統とノウハウである。金持ちの中国人企業家の新しい世代は、結局、毛沢東の共産主義と文化大革命で自分の国では根こそぎにされた階級と由緒と遺産とを買うためにフランスに来たのだ。
「先祖に対する思い、それが彼らにとってに本当に大事なものだったわ」と、シャトー・ラトール・ラグエンスとその修復を管理するために、青島にあるロンガイ国際貿易会社に雇われているソフィー・ルッソフは言った。「彼らがこのシャトーに関心を持ったとしたら、それはそれが長い歴史を持っているからよ」と彼女は言う。もっとも、それが金をもうける良い方法のように見えるとは言及しなかったが。
ワイン生産者の報告では、両方の事例で、中国人投資家は彼らが新たに手に入れたボルドー・ワインを自国の新しい金持ちに売り込むという計画を立てた。この地方の不動産業者は、不動産の購入価格はどちらも数百万ドルしただろうと推定している。しかし、人生でワインを含めてより上品なものを知り始めた13億人の中国人がいれば、ボルドーで地歩を築いた中国人は、緑色のビンには黄金があると結論したのだ。
ワイン製造業コンサルタントのステファン・ツツジによると、ボルドー地方で、三番目の中国系会社がシャトーを買おうと嗅ぎ回っている。(後略)
[訳者のコメント]中国特派員のエドワード・コディー記者が書いた『ワシントン・ポスト』の7月26日の記事です。
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