海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「名誉殺人では大抵、金が問題」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2012年08月11日 | イスラム問題
(前略)
ヒュルヤ・オザクチュルクの論文『トルコにおける名誉殺人』は、犯人との科学的なインタビューに基づく最初の科学的研究である。それは少し前に、イスタンブールの『オリエント研究所』の『ペラ・論集』に掲載された。その際、彼女はこれまでの研究ではテーマとされなかったある認識に到達する。「名誉」は、それに物質的な存在が依存しているから重要なのだ。別の古葉で言うと、若い女性が死ななければならないわけは、それで以て、家族が物質的損失を蒙らないで済むからである。
オザクチュルクは、犯人の言葉に基づいて「名誉」の概念をいろいろな次元に分類した。「セレフ」(家名の名誉)、「ナムス」(女性の性的純潔)そして「イティバル」である。これまでの研究では、重点は、「セレフ」と「ナムス」に置かれていた。家族の名誉は、女性の純潔に依存しており、それがけがされた場合には、血で以てあがなわれなければならない。オザクチュルクによれば、これまで等閑視されてきた「イティバル」という概念は、決定的な次元を持っていて、それが殺人を犯させるのである。「イティバル」は、「信用」という意味を持っている。
「信用」あるいは「信頼」を失った者は、もはや取引はできない。「おまえが信用を持っているなら、保証人がなくても、どこでも買い物ができる。なぜなら、おまえにには信用が与えられるからだ」と犯人の一人は、著者に述べた。この男の名前は伏せられているが、年齢は40歳、クルド人でスンニー派のムスリムである。年齢60歳、クルド人、スンニー派のムスリムである別の男は、「イティバルがあれば、その人に商品を与えても構わない。私は一銭も払わないで、200頭の羊を手に入れたよ」と言った。
名誉ある男とは、自分の家族の純潔を守り、それによって「イティバル」を持っている男である。反対に、その家名を汚した者は名誉を失い、信用を失う。そういう男は、経済上の不利を蒙る。なぜならば、しばしば、当該の家族の経済的暮らしは、小売りか農業に依存していて、その際人的な接触に頼っている。名誉を失うと、それが崩壊すルのだ。名誉を失った人は、子供たちを有利に結婚させることもできない。
オザクチュルクによれば、この経済的な側面が、なぜ名誉殺人が行われるかということの理由である。
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「政治局は、谷開來を使って薄熙来を閉め出す」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2012年08月10日 | 中国の政治・経済・社会
(前略)
谷開來は、普通の女性ではない。彼女は、国際的に名声のある弁護士であると同時に、問題になっている薄熙来の妻である。薄熙来は、今年、4月、規律違反で、政治局と常任委員会から除名された。その直前に毒殺疑惑を理由として彼女は告訴された。この大衆に人気のあるカリスマ的な政治家の事件にはいろいろな側面があって、彼女に対する告訴はその一つの面に過ぎない。犯罪や腐敗や権力乱用のどんな影も、中国の政治エリートの上に落ちてはならないのだ。特に10月に開かれる共産党大会の前には。そこでは、次の十年間の党指導部が選ばれることになっている。
 しかし、まだ解明されていない幾つかの問題がある。「なぜ、裁判は、薄熙来が住んでいた重慶で行われないのか?」、「なぜ、裁判は公開されないのか?」、「なぜ被告人あるいは被告弁護人の告訴に対する反論はないのか?」谷開來の裁判は、左翼愛国主義的な護民官薄熙来を手早く、音を立てないでお払い箱にするための手段に過ぎないように見える。薄熙来は、100万都市重慶の共産党書記長として組織犯罪を撲滅する一方、毛沢東以来の共産党的な歌や文化財の再活性化を行った。しかし、彼の大衆に訴えるやり方は、北京の党指導層の気に入らなかったのだ。
 確かに暴力団犯罪に対する彼のやり方は、人権を無視していた。弁護士や企業人たちは、役所の拷問を非難している。毛沢東語録や紅衛兵の歌は、彼らに文化大革命当時の悪夢を思い出させた。要するには、薄熙来には、支持者もいたが、反対者もいたのだ。腐敗と職権乱用と脅迫とが薄熙来の家族を巡って絶えなかった。そこに家族と親しかった英国人ニール・ヘイウッドの毒殺容疑が持ち上がった。薄熙来の片腕で重慶の警察を指揮していた王立軍がアメリカ領事館に逃げ込んで、谷開来がヘイウッッドの毒殺を使用人に依頼した件を暴露した。裁判所が選んだ弁護人は、谷開来が「殺人容疑を否定しなかった」と述べた。彼女には、10年以上の労働刑か、死刑が予想されている。

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「エジプトの新内閣は、テクノクラットが支配的」と題する『ワシントン・ポスト』の記事。

2012年08月02日 | イスラム問題
カイロ発:エジプトの国営メディアは、水曜日、この国の新しい内閣の概略をも暴露した。それを見ると、モルシ大統領が多くの選挙民が希望していたダイナミックで政治的に多様な統治チームを作るのが嫌なのか、できないということを示唆している。
水曜日に公表された18名の候補者の名簿は、低姿勢を取るテクノクラットと追放されたムバラク元大統領の下で勤務していた官僚を含んでいる。政府は木曜日に30名の閣僚の名簿を完成すると声明した。
モルシ大統領は、労働者の抗議と経済問題がここ数週間の間に緊急事態になったのに、組閣するのにこれほど長い時間をかけたという理由で、批判の的となった。
これまでに公表された氏名の中で、「モスレム同胞団」の「自由と正義の党」と緊密な結びつきを持つ人物は二人しかいない。「同胞団」が新内閣の閣僚に比較的僅かな痕跡しか持たないということは、内閣が積み上げた反発が、政治のイスラム化を恐れるエジプト社会の部分から生じるだろうと言うことに大統領が恐れたことを示唆している。ノーベル平和賞の受賞者エルバラダイや、去年革命後に登場した大政党の高位のメンバーのような優れた人物がこの名簿には載っていない。首相を打診されたのは、前の水資源省大臣のヘシャム・カンディルであった。エジプト人選挙民は、この国の新しい指導者が象徴的な重要性を持つことを期待していたのだが。(後略)
[訳者の感想]「同胞団」に近い閣僚がふたりしかいないというのは意外でした。
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