海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「日本の野菜は、放射能で汚染されている」と題する『グリーンピース』の記事。

2012年10月12日 | 日本の政治と経済
2011年4月7日にインターネット上に発表された少し古いが重要なニュースです。
日本で行われたグリーンピースの専門家の独自の計測の結果、福島県内の立ち退き範囲外にある南相馬市で収穫された野菜が高度の放射能を帯びていることが分かった。住民が曝されている健康リスクと日本政府の欠陥のある情報政策とは重大である。
1)警戒区域外での測定
「国際グリーンピース」の専門家チームは、半径20キロと定められた警戒区域の外で、独自に放射能測定を行った。
その結果、ホウレンソウと他の種類の野菜から、明らかに政府発表よりも高度の放射能が検出された。ホウレンソウでは、1キログラムあたり、7万から8万ベクレルの放射能量が検出された。日本の文科省の調査では、この放射能量のうち20%から30%はセシウム137から出ているとされている。もっとも日本政府の公表した人体に対する安全な放射能量の限度は、野菜1キログラムあたり、500ベクレルと定められているのだが。
(中略)
2)日本政府は、情報提供を怠っている。
われわれが汚染されたホウレンソウを見つけた畑の女性の所有者は、自分が収穫した野菜類が健康に危険なほどの放射能を出しているという情報はどこからも貰っていないと言った。
3)安全性の保証は十分でない。
南相馬市のあちこちで放射線量を測定した結果、場所によって1時間あたり4.5マイクロシーベルトの放射線量が確認された。
これは南相馬市内にある公的測定機関の公表している1時間あたり0,7マイクロシーベルトを遙かに超えている。
グリーンピースの専門家たちは、「半径20キロの警戒区域の外側でのわれわれの測定値は、重大な健康障碍につながる」と述べている。しかし、現在、警戒区域より外の地域では、人々は自分の家で普通に生活している。
4)警戒区域の範囲は、拡大されなければならない。
われわれの測定値に24時間で曝されただけで、安全だとされる年間被曝量限度の最大値に達する。
「この被曝量から見て、福島第一原発の周囲の警戒区域の範囲は、もう一度考え直されなければならない」と専門家ヤン・ファン・デ・プッテは述べた。
(訳者の感想)
「ウイキベディア」で調べたところ、「ベクレル」というのは1秒間に何個の原子核が崩壊しているかを表す単位で、シーベルトは、放射能を持つ物質が1時間に出す放射線量だそうです。一年半前に確かにこんな記事を読んだなという記憶があります。当時、政府が情報操作をしたようだという疑念は晴れません。
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「日本、TPPに参加」と題するThe Economistの記事

2011年11月18日 | 日本の政治と経済
(前略)
「日本はTPPに参加することに関心がある」という野田首相の11月11日の声明は、非常に大胆な動きであった。署名することは、日本における劇的な変化を意味するだろう。この国は、米に800%の関税をかけ、日本に送られるアメリカ車1台に対して、日本車65台を輸出しているのだから。野田首相の動きは、また、TPPの展望を変えることもできるだろう。世界の指導的な三つの経済の内、二つが結びつくことによってだけでなく、他の国々に衝撃を与えるからだ。彼が関心を表明するまで、カナダとメキシコは傍観していた。故意か故意でないか分からないが、野田首相は、重商主義的日本を、労働以外のすべての自由な動きがテーブルに載っている貿易協定の中心に突っ込んだ。
 巨大な障害が野田首相の前に立ちはだかっている。彼は去る9月に民主党内で争いあっている会派の調停者としての役割を自分でかって首相になった。これらの会派の多くは、TPPに反対している。
多数の国会議員を後援している農業団体は、それが日本から米の伝統を奪うだろうと主張している。医師たちは、日本の評価されている医療制度のリスクを警告している。社会主義者たちは、TPPをワシントンが主導する中国に対する非難だと見ている。中国自身は、東アジア貿易協定を成立させようと思っている。
ホノルル会議以来、野田首相は、自分のメッセージを薄めることで、抗議を申し立てている人々に迎合した。サミットの写真でオバマ大統領の隣で満面に笑みを浮かべた後で、彼は、ホワイトハウスがあらゆる商品とサービスを交渉のテーマにするというように自分の意図を過大に表現したと抗議した。しかし、世論調査は、日本がこの問題でリーダーシップを必要としていることを示唆している。(後略)
(感想)野田さんなかなかやるではないか、というのが私の感想です。
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「日本の与党、首相候補者を選挙」と題する『BBCニュース』の記事。

2010年06月04日 | 日本の政治と経済
「民主党」は、財務大臣菅直人を新しい指導者に選ぶ予定だ。彼は、あまり知られていないライバルの樽床信二を抜くフロント・ランナーだと見られている。
首相候補は、議会の承認を得なければならない。
鳩山由紀夫は、日本の南部にある米軍基地に関する騒動で、木曜日に、首相を辞任した。
菅氏(62)は、日本の財務大臣を引き受け、また副首相である。彼は素早く可能なキーとなるライバルの支持を取り付けた。それには、外務大臣と運輸大臣が含まれている。
民主党代表に立候補したの彼と樽床議員だけである。民主党は、7月に行われる参議院議員選挙を前にして、素早く首相を選ぶように動いている。
民主党は衆議院では多数を占めているので、指名された後継者は、殆ど確実にこの國の次期首相になるだろう。
BBCの東京特派員ローランド・バークは、「菅氏は、強力な官僚に対して正面から立ち向かう人だと見られてきた」と言う。彼は先進国の中で最大の日本政府の多額の負債を減らすために、無駄な費用を削減して、税率を上げるようにプッシュした。
1990年代にHIVのヴィールスに汚染された血液製剤スキャンダルを暴露した彼の役割によって、彼はまた「民主党」の中では最も目立つ議員である。
岡田克也外相と前原誠司国交相とは、可能な候補だと目されていた。
「去年、8月の選挙では、選挙民は、権力を取って、日本の政治を変えるという希望をわれわれに託した。私たちは、それを厳しく意識している管さんが適任者であるということに合意した」と前原氏は語った。
われわれの通信員によると、鳩山氏から党代表を引き継いだ人は、選挙民に印象を与えつように素早く動かねばならず、それによって過去9ヶ月の間に失われた中道左派政権を活性化しなければならない。
民主党の環境問題委員である樽床議員は、立候補するという宣言した他の一人である。彼は若手議員からの支持があると見られている。(以下省略)
[訳者の感想]外国では今度の政変はどう見られているか知りたくて、BBCニュースを訳してみました。
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「日本は大ショックを目前にしている」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年12月15日 | 日本の政治と経済
日本政府の官房長官にとっては嬉しくない日だった。先週、水曜日、平野博文官房長官は、経済成長の数字が大きすぎたと告白せねばならなかった。7月から9月までに日本経済は、5%ではなくて、1.3%しか成長しなかった。深い景気悪化の急速な終結に対するあらゆる希望を挫く、根本的な訂正の主要な理由は次の通りだ。期待に反して、企業は、2009年夏に投資を増やさず、経費を節約した。急落後の情けない成長は、世界第二の規模を持つ国民経済にとって唯一の悪い知らせではない。既に11月末に、鳩山由紀夫首相は、デフレがやってきて、物価が下落しているということを認めた。藤井博久財務相は、税収は予想よりも遙かに少ないと白状した。戦後史で初めて日本は、新たな借金によって財政を補わなければならない。そうでなくても世界最高の国家財政の赤字は、ウナギ登りである。モルガン・スタンレー・アジアのアナリストであるスチーブン・ローチは、ブルームバーグに対して日本の「第二の失われた10年」について語っている。その際、最初の失われた10年のショックは、日本人の骨身に沁みている。爆発的な国家財政の赤字は、この危機の間に蓄積された。80年代は、日本はまだ、経済的には傷ついていなかった。しかし、1991年以後、不動産価格と株価の下落が続いた。1997年から98年にかけて、信用危機が襲い、銀行や企業は数百兆円の不良負債を抱えていた。
この危機の中で、以前の長所は、危険な弱点であることが暴露した。特に、官僚・産業界・金融機関の間に結ばれた編み目の中では、競争の排除と同様、系列化も普通だった。その上、中小企業の低い生産性が加わった。
バブルの崩壊と経済の破綻の後で、日本銀行は、8%nの公定歩合を引き下げるのに、一年半の間ためらっていた。負債の山を抱えた企業と密接に結び付いていた自民党は、2002年末に真剣にコンツェルンの帳簿を整理し、銀行を国有化し、他の金融機関を破産させ始めた。1992年から2005年までに、日本の銀行は、概算8千億ユーロ(100兆円)の不良債権を帳簿から落とした。それは、毎年の価値創造の20%に相当する。
景気の落ち込みを和らげるために、政府は、90年代の初めに沢山の景気浮揚策を決議した。日本政府の内閣府によると、その費用は、1991年から2008年9月までに490兆円を要した。だが、この景気浮揚策は、将来性のある企業やプロジェクトに投入されず、道路や余計な橋の建設に投入された。プログラムは、大きな恐慌を防いだが、後に莫大な借金が残った。(以下省略)
コメント (2)
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「地震の後」と題する『ツァイト・オンライン』の記事

2009年11月14日 | 日本の政治と経済
「日本の政治は中国と同じだった」と昼食の際、老齢の企業の会長は笑った。彼のやせた顔には沢山の喜ばしいしわが刻まれている。「だっていつも同一の政党なんだ。」彼自身には常にうまくいっていた。日本だけでなく、世界中のすし屋では、彼の会社が作った醤油が机の上に置かれている。自分の名前が新聞に出るのを好まないこの男は、自由民主党の54年間の支配の間、富裕に強大になった。そして彼とともに、国中が豊かになった。アジアの事情から見ると、それどころか童話的に豊かになったのだ。
だが、いつの頃からか、日本人は自民党にうんざりし始めた。この日本株式会社の年取って歯の抜けた政党に。銀座のバーでの猟官運動、政治的寄付スキャンダル、無意味な巨大プロジェクトを巡る大企業との取引、これらすべてが日本人に毎年、反感を呼び起こした。
二ヶ月ほど前、憤懣がついに爆発した。8月30日の衆議院議員選挙の際、民主党は、480議席のうち、308議席を獲得した。それ以来、日本の政治はそれ以前とはまったく異なる。
2001年にも、一度、自民党について同じことが起こりえた。だが、この党は、チャーミングな改革好きの候補者を競争に出した。小泉純一郎は、選挙に勝ち、自民党に最後の執行猶予を与えた。「いまや自民党は全く堕落している」と国際交流センターの山本タダシは言う。小泉の後継者たちは、この党に止めを刺した。三年間に三人の無力な顔の無い首相が入れ替わったが、彼らの名前はほとんど記憶に無い。自民党が退場する時間だった。
日本ほど、しばしば、地震が揺れるところは、世界中どこにもない。しかし、政治的には、自民党が創設された1955年以来、何も動かなかった。1993年から94年にかけて、野党が短期的に権力を握ったけれども。与党が統治し、野党は無意味になった。その次期は終わった。日本の政治は緊張したものになった。
新しい鳩山首相は、興奮のあまり、政権奪取を1868年の「明治維新」に喩えた。それ日本が近代世界に突入したことを記し付けたのだ。主権はいまや国民に返還されたのだ。しかし、それが起こるためには、まず第一に、官僚政治が克服されなければならない。
日本の物言わぬ官僚軍は、新時代の最初の犠牲である。自民党や産業界と共同で、彼らは悪名高い「鉄の三角地帯」を形成してきた。この権力カルテルを、民主党を打ち破ろうとしている。そうしてのみ、汚職と浪費は克服できると民主党は信じている。
 「天下り」制度は、その一部である。高級官僚は、50才半ばで、国家の奉仕を辞め、私企業のなかの給与のいいポストに鞍替えするのだ。今後、それは禁止されるだろう。
民主党の考えでは、官僚は、政党に従うべきである。これまでは、むしろ逆だった。省庁の役人は、大臣に言うべきことを教え込み、大臣は、それを議会で棒読みにした。政策の方針を与えるために、現在、大臣と政務次官とは深夜まで、書類に首を突っ込んでいる。
 最近、沖縄の米軍基地の将来について交渉するために、ロバート・ゲイツ国防長官が東京にきた際、岡田克也外務大臣は役人を一人も同席させなかった。ワシントン駐在の日本大使でさえ、話し合いに同席することを許されなかった。
 「混乱」が日本の外交を支配していると東京中で言われた。ワシントンとの関係は妨げられていると言われた。日本には、4万7千人の米兵が駐屯している。その半数は沖縄にいる。数十年間、米国は防衛力だと考えられた。その核の傘の下で、自分の福祉は増大された。
 鳩山政府は、いまや、米国と対等に話をしようとしている。自民党が骨折って交渉した基地協定を、民主党ははじめて執行停止しようとしている。民主党はまた、インド洋での給油でアフガン戦争をこれ以上支持するつもりはない。
 民主党によれば、ワシントンが日本に対して連帯行動を要求すると、この国がそれに従う時代は過ぎたのだ。今週、東京を訪れるバラク・オバマは、自分の領域にもっと強力に目を向けようとしている政府に出くわすだろう。中国が軍事的な脅威でありつづけるとしても。特に、中国は、門前の巨大市場である。二つの隣国の間の貿易は、とっくに日米間の貿易よりも大きくなった。
 鳩山由紀夫は、欧州同盟を模範として、「東アジア共同体」を夢見ている。米国の参加はそこでは、予想されていない。
 ワシントンはいらだっている。まるで、他の心配はないかのように、よりによって、日本の古い誠実な同盟国が愚痴をこぼし始めた。
 ひょっとしたら、新しい政府とともに、既に20年前にアメリカによってもはや後見されない「普通の日本」を宣言したある男が政権に着いたためである。目下、日本では第二番目がいない一人の権力政治家小沢一郎は、彼が1993年に自民党から抜け出したとき、その前に既に自民党で幹事長にまで上り詰めていた。彼の育ての親は、田中角栄であり、彼は戦後に政府のトップになった最大の悪漢であり、非常に抜け目の無い黒幕だった。現在、小沢は、民主党の党首である。
小沢と鳩山とは、奇妙なコンビをなしている。鳩山は、タイヤ・コンツェルンの「ブリジストン」の遺産相続人の一人として、ものすごい富の中に生まれて、理想主義者である。正義についての彼の考えは、フランス革命の約束だった「友愛」に基づいている。小沢はそれを密かにあざ笑っているかもしれない。(以下略)
[訳者の感想]ツァイトの東京特派員であるマチアス・ナスが書いた記事です。ところどころ勘違いがあるように見えますが、一応正確な報道と言えるのではないでしょうか。
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高橋洋一「霞ヶ関埋蔵金男が明かす『お国の経済』」の読後感想文

2008年09月05日 | 日本の政治と経済
著者は、東大理学部数学科と経済学部経済学科を卒業した後、大蔵省に入省した元大蔵官僚なのに、小泉内閣の内閣参事官として、「小泉・竹中改革」を支えた。
著者によると、日本政府の財政は大赤字だと言われるが、それは一般会計についてのみ当てはまることで、特別会計は黒字だそうだ。問題になったガソリン税はまさにその中に含まれている。著者によると、国土交通省は道路特別財源で10年間に60兆円が必要だというが、実際に必要なのは、10年間で20乃至30兆円である。将来人口や免許保有者数、自動車保有台数などから今後の道路需要を推計して作られた「交通需要推計」を見ても、道路需要は、2020年をピークにして、後は縮小することが明らかである。言い換えれば、かなり多くの道路の需要がどんどん減るという。そうだとすると、「道路特定財源」というものは必要ではなく、一般財源化するのが正しい。
 また、従来、道路などの公共事業に税金を投入すれば、雇用が確保できると言われてきたが、それは為替が固定相場だった時代の話で、変動相場制になると財政政策は効き目がなく、金融政策のほうが有効になる。その理由は、財政政策で公共投資を増やす場合は、国債を発行せねばならない。しかし、国債を発行して民間から資金を集めると金利が高くなる。金利が高くなると為替は円高になる。そうすると輸出が減る。公共投資によって内需は増えるが、それは、輸出減によって相殺されてしまうと著者は言う。これが公共投資が景気回復に役立たない理由である。1990年以後、このように公共投資を続けた結果、赤字国債が増え続けた。
 公共投資でだれが得をしたかと言えば、大手ゼネコンとそれに仕事を回して賄賂をもらった国会議員や知事や地方議員である。(この2行は私の意見です。)
 著者は、政府と国会の両方をうまく操って省益を守ることに役人がどれほど智恵を絞っているかをはっきりと見せてくれる。日本政府の財政政策・金融政策に疑問を感じる人たちにこの本を推薦します。
出版社:文藝春秋社の文春新書
値段:700円
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「日本政府、経済を支える」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2008年08月30日 | 日本の政治と経済
 日本政府は、約1兆8千億円の支出で衰えつつある経済を支えようとしている。但し、国家の債務は増えない模様。この緊急援助計画について、金曜日に、福田康夫内閣は、意見が一致した。さらに、政府は連立政党である公明党の圧力で、来年3月末まで所得税の引き下げを保証することを決定した。日本国民が2009年春に感じる税負担軽減の額は、まだ決まっていない。
 政府の総額11兆5千億円の経済緊急援助計画は、1兆8千億の追加支出によりも、明らかに高額である。この差は、政府が中小企業に対する貸し出しに対する国家保証によって期待している信用量を政府が支払うということで、説明される。1兆8千億円の支出は、新たに赤字国債を発行しないでまかなわれる。国家予算外で管理されている特別会計によってまかなわれると福田の報道官は、本紙に対して述べた。自民党内では、多くの政治家がより大きな赤字国債の発行に賛成であった。
 秋に国会で追加予算案とともに決議される予定の緊急援助計画では、多数の小さな対策が寄せ集められている。中小企業に対する貸し出しに対する政府保証と並んで、ガソリン価格の高騰に苦しむ運輸業・バス・タクシー会社のための補助金が見込まれている。三年間、政府は百万人のパートタイム労働者が、正規の労働を見つけるのを援助する予定だ。さらに、太陽エネルギー利用に対する財政援助もある予定である。内閣は、輸入小麦の価格の値上げ幅を小さくすると約束している。その上、高速道路の利用料金も下げられる予定である。
 金融界では、この計画は、少なくとも2009年9月に予定されている衆議院議員選挙に際して、政府の人気を改善する試みだと評価されている。「この計画の動機は政治的である」と投資銀行のモルガン・スタンレーの主任研究員であるロバート・フェルドマンは、述べた。「この計画は、大きな損害を与えはしないだろう。だが、経済を助けることにはならないだろう」と彼は本紙記者に述べた。フェルドマンは、促進指針があまりに弱すぎるので、より大きな信用保証が中企業に対する貸し出し増加に導くかどうか疑っている。日本では、銀行は、過去数ヶ月間、貸し出しを渋り、支払い不能の件数が増加していた。
(以下省略)
[訳者の感想]経済政策についてはほとんど知識がありませんが、どのような評価がされているかを知りたくて訳しました。筆者はパトリック・ヴェルターという特派員です。
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「参院選大敗北にもかかわらず、政権は継続」と題する『シュピーゲル』紙の記事。

2007年07月30日 | 日本の政治と経済
東京発:「私は、新しい国を作るために、改革を約束しました。この約束を守ることが私の責任です」安部総理は述べた。
 人々は改革政策に理解を示したと彼は言い張った。「しかし、批判は謙虚に受け止めなければなりません。」
 参議院での半数改選において、政権与党の自由民主党と連立党の公明党は、多数を失った。共同通信社によれば、安部は、選挙の失敗に対する反応として、まもなく内閣改造を行うつもりである。可能な場合、人員交代は、八月末に告知される。
 安部は、確かに、衆議院では、3分の2の多数を持っているが、専門家は、彼の政治的終わりは決定済みだと見なしている。野党に支配された参議院は、連立政権を困難にするだろう。なぜなら、参議院は、法案を阻止することができるからである。すると、日本は政治的な静止状態に陥るだろう。
 「だが、彼は終わりだ」と日本専門家のジェラルド・カーティス・コロンビア大学教授は言う。「もし彼が頭が良ければ、今晩のうちに辞任するだろう。」彼が長く政権を維持すればするほど、日本は政治的混乱に陥るだろうとカーティス教授は言う。過去においては、しばしば、総理大臣は、選挙の敗北のために、辞任した。しかし、自民党は、カリスマ的な小泉首相の辞任以来、成功しそうな候補者を出すことができない。
 参議院の242議席のうち、半数に当たる121議席が新たに決まった。深夜、12時に、自民党は40議席のうち、12議席は未決定であった。参議院での多数を維持するには、連立政権は、64議席を確保する必要があった。自民党の中川幹事長は、「私が経験した最もひどい選挙結果だ」と述べた。
 小沢一郎の率いる「日本民主党」は、これまでの30議席を60議席にのばした。小沢党首は、菅直人代表によると、一日、二日、休養しなければならないとのことである。小沢は、老練な戦略家だと思われているが、すでに長い間、健康問題と戦わなければならない。
 民主党代表の鳩山由紀夫は、昨晩、選挙は、「日本国民の不満がどれほど大きいかを示した」と述べた。
 安部政権は、2006年九月の組閣以来、一連のスキャンダルに揺すぶられた。何人かの閣僚が辞任し、農水相は、汚職により自殺した。しかし、最大の不祥事は、5000万件の年金払い込みの証拠が失われた、社会保険庁で起こった。


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がっかりした「小泉世代」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2007年07月29日 | 日本の政治と経済
新聞の見出しで方向を見つけようとすると、安部晋三に対する政治的追悼文を書くことから始めなければならないだろう。ほとんどすべての世論研究者は、日曜日に行われる参議院議員選挙においてかなりの敗北を被るだろうと言っている。それと結びつくのは、彼の党が首相に退陣を迫るだろうという予想である。
しかし、関連する記事をもっと立ち入って読むと、世論研究者たちもそれほど自信を持っているわけではない。確かに、安部政権は、選挙民の大部分のところで、不人気である。しかし、潜在的な選挙民の大部分は、まだ、誰に一票を投じるか決めていないし、およそ選挙に出かけるかどうかも決めていないのだ。それゆえ、日曜までにはまだ多くのことが起こる可能性がある。
 他方で、与党の自由民主党には、ある神経質さがあることは見逃せない。そのことは、いくつかの事柄から明らかである。そういうわけで、塩崎官房長官は、自民党の敗北を喜ぶのは北朝鮮だろうと最近述べた。ついでに言うと、首相はいかなる場合も退陣しないだろう。これは自民党もそう見ている。この点ではしかし、他の意見もある。安部の後任は、麻生外相が挙げられているが、彼は当然、公式にはそんなんことは全く知らないと主張している。
 選挙の結果がどうなろうと、安部にとって、辞任しなければならないという必要性は、存在しない。なぜならば、彼はもう一つの国会のより強力な議院である衆議院によって選ばれたからである。衆議院では、彼はしっかりした多数派を持っている。自民党が、その連立与党の公明党とともに、参議院の121名の改選議員のうち、64名を手に入れれば、一切は元通りである。この場合には、連立与党は、参議院でも多数派を持つことになる。
 だが、そうなる可能性は少ない。安部の将来についての多くの意見では、44名というのは運命の数字である。つまり、自民党は、1998年に44議席を手に入れた。そのすぐ後、当時の橋本龍太郎首相は、辞職した。現在似たような結果が予想されている。ひょっとしたらもっと悪いかもしれない。
 皮肉なことに、安部は、国民の中でもっともしなければならない問題に対して責任がない。つまり、何十年も前にすでに、5000万人の年金保険金が間違って記載するという間違いが犯された。それは、年金支払者カードをコンピューターに転記する際に起こった。
この話が話題になったのは、今年の春である。安部政権は、一生懸命、事務員を動員しようとし、すべてが解明されるだろうと約束した。だが、それは、きわどい約束だといわねばなるまい。なぜならば、何十年も経って、保険金支払いの経過を厳密にたどることは、非常に困難であるからだ。
年金保険支払者たちは、本当に歯ぎしりした。だが、政治的な怒りが爆発し、怒りは安部に注がれた。彼は責任を引き受け、彼の前の何十代もの政府の怠慢のせいにはしなかった。そんなことをすれば、たぶん、彼にとってもっと具合は悪くなっただろう。なぜなら、自民党は、短い中断をのぞいて、50年以上も政権を握ってきたからである。(以下省略)
[訳者の感想]フランクフルター・アルゲマイネ紙のペーター・シュトルム記者の書いた記事です。かなり正確な記事だと思います。
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「日本の性奴隷問題についての七つの質問」と題する『外交政策』誌の記事。

2007年04月15日 | 日本の政治と経済
外交政策:日本が慰安婦あるいは性奴隷を利用したということが、第二次大戦終結から60年以上経っているのに、なぜこれほどトピックスとして突出するのですか?
カーティス:それが突出するわけは、現在の指導層が、自分たちは戦時中の間違った行為に対して十分に謝罪したと考えているからです。彼らはこの問題でこれ以上こづき回されたくないのです。
外交政策:2005年に、中国では「南京の虐殺」を誤魔化した問題のある日本の教科書を巡って、うまく操られた怒りのように見えるものが噴出しました。それは同じトピックスで、第二次大戦中の歴史的な誤りでしたが、(慰安婦問題に対する)中国の反応は今度は弱められていました。
カーティス:第一に、これは別の問題です。ですが、変わったのは、中国の戦略が変わったことです。彼らは両国関係の妨げになるこの歴史上の問題を避けようとしています。
更に日本と大きな問題を構えることは困難です。何らかの仕方で、この問題で米国と一緒になることは困難です。中国人達は、自分たちの国内的発展に焦点を当てたいのであって、彼らの対外関係に関する問題によって注意をそらされたくないのです。彼らは日本の安部首相が首相になるやいなや、北京に来たことを評価しています。彼が靖国神社に参拝しない限りは、--それは前任者の小泉首相に関して最大の問題だったのですが、--彼らはこれらの歴史的争点を控えめに扱おうとしてます。そういうわけで、小泉の在職中にしたのとは非常に異なる取り扱いをしているのです。いずれにしても、慰安婦問題は、中国にとってはそんなに大きな問題ではありません。それは韓国人にとっては、もっと大きな問題です。
外交政策:最後の点を取り上げると、アジアにおけるよりも、米国で慰安婦問題に対してもっと多い反応があったように見えます。米国議会はなぜ日本と中国と韓国との間の議論であって、米国には無関係な議論に割り込もうとしたのでしょうか。
カーティス:カリフォルニア州選出の議員であるマイク・ホンダが推薦した下院の決議がアメリカが直接には関係のない問題について扱っているというのは本当です。それはアジアの女性に日本兵との性交渉を強いたという問題です。ですが、これらの女性達が売春を強いられたのではないと言うことによって、日本の首相がまるで彼が戦時中の日本軍の行為を弁護するかのように聞こえたとき、韓国系アメリカ人や中国系アメリカ人やこの問題に直接利害を持つ他の人々を怒らせただけでなく、人権や女性の権利に関心を持ったすべての人たちを怒らせたのです。日本の首相と指導者達は、想像できる限り最悪の仕方でこの問題を扱いました。もっと最近、安部首相は、日本の首相として自分はこの女性達の苦痛を感じるということによって、また、1990年に河野官房長官によってなされた言明を再確認するということによって、損害を軽くしようとしました。
外交政策:それで十分ですか?
カーティス:この時点で何が十分か私には分かりません。なぜならば、状況は本当にとても険悪になったからです。これらの保守的日本人は、性的サービスをするように日本政府に強制された女性と仲介業者によって何らかの仕方で募集された女性との間に線を引いてます。彼女らを募集するのに仲介業者が使われたのか?多分そうでしょう。軍はこれらの女性のある者を直接強姦し、自分たちで彼女らをリクルートしたのでしょうか?きっと、そうだと思います。日本政府は、日本軍が強制的にこれらの女性をリクルートしたということを確証する書かれた証拠はないと言っています。だが、16人の元慰安婦の証言があるのです。これは、日本にとって可能な限り最悪の争点です。彼女らは日本政府の恐るべき行為を弁護するように見えることは何も言うことができません。どこの誰でも同情的になってくれることを期待しているのです。日本の保守層の余りに多くは、この問題をそれ自身の目的のために、宣伝しているのは、彼らが「左翼アメリカ・メディア」と呼ぶものだと確信しています、「それ自身の目的」が何であるかは彼らは言わないのですが。そういうわけで、これが日本のイメージにとってどれほど悪いかについて多くの自己欺瞞が起こっています。
外交政策:最近の世論調査では、首相になった6ヶ月前よりも安部首相の支持率が35%まで下がっています。なぜ彼はそんなに不人気なのですか?
カーティス:公衆は彼が日本の国内問題について何を知りたいと思っているのか、それをどうしたらいいと思っているのか確信が持てなかったからです。公衆は、健康保険や年金や所得税や子供の教育のような事柄に関心を持っている。彼の政策が何であるかは、明らかでありません。その上、小泉の過激なアプローチの後で、安部が普通の政策に後戻りするという感覚があります。それは古いやり方です。安部首相には自分自身の内閣を管理する指導力が本当にありません。これらすべてが彼の支持率低下に貢献しています。(以下省略)
[訳者の感想]どうしてアメリカ議会で突然、慰安婦問題が議論になったのか、その理由を知りたいと思いって翻訳してみましたが、どうも良く分かりません。日本が6者協議で北朝鮮に対して拉致問題の解決を要求し続けていることに対して、日本は戦争中にもっと沢山の慰安婦を拉致したではないかと言いたい人たちがアメリカにいるのだろうと推測されます。
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帰還兵士の自殺が、防衛庁を悩ませる」と題する『アルジャジーラ』局の記事。

2006年06月11日 | 日本の政治と経済
 人道援助と復興事業のために、南部イラクのサマワに派遣された600人の兵士は、第二次世界大戦以来、この国の最大の作戦を印しづけている。
 だが、最近の死亡は、25万3千人を擁する陸上自衛隊内での自殺率を高めた。自衛隊では、2002年度には78人が、2003年度には75人が、2004年度に94人が、自殺した。
自殺問題で有名なこの国では、毎年10万人に24人が自殺しているが、この国民全体の自殺率の2倍である。(米国では、10万につき10人の自殺者がいる。)
 イラク派遣以前には、防衛庁の記録では、兵隊の自殺の理由は、5つのカテゴリーに分けられた。家庭の事情によるもの6名、兵役義務によるもの10名、身体的精神的疾病によるもの2名、借金によるもの24名、理由不明の者が36名である。
 防衛庁の報道官は、自衛隊兵士の自殺理由は経済的悩みであると言う。「自殺者の多くは、多額のローンを借りており、この問題を誰にも相談できないと考えている。」
「なぜ、そんなに多くの兵士が金を借りなければならないのか」という質問に対して、報道官は、「われわれには分からない」と答えた。
 「われわれはパンフレットやビデオを使って金銭問題について兵員を教育している。教育の効果を見ることは難しい。自殺者の数は減らなかった。」
 関西学院大学の精神病理学教授野田正彰氏は、「民間人の自殺と比べて、軍隊における自殺の特別の理由を突き止めることは非常に困難だ」と言う。にもかかわらず、日本人の精神的傷つき易さ、いじめ、人間管理が結びついて一役買っていると彼は言う。
「日本人は、精神的に弱く、それゆえ、精神的に堪えるのに十分なほど強くないのだ」と野田教授は言う。自衛隊の隊員は、エリートではない。大抵は給与に引かれた高卒であり、仕事を見つけようと懸命になっている個人である。比較的年配の世代は、安定した職業として隊員になることを選んだ。
 野田教授はまた、かっての帝国陸軍の過酷な扱いと訓練に対する好みを心理的なファクターに挙げる。「しつけの厳格な戦時の管理の特徴は、今日まで、ずっと伝えられた」と彼は言う。
 青山学院大学教授雨宮ツヨシ氏は、これに同意して、若い日本人は、比較的豊かな社会で育てられたので、傷つきやすいと言う。自衛隊に入隊して、彼らがそこで見ることにショックを受ける。「日本人はショックに非常に傷つきやすい。」
「GIと自衛隊員の権利ホットライン」の主宰である小西誠氏は、兵士の自殺は、いじめといじめから逃げられないことによって引き起こされるデプレッションの結果だと言う。
「確かに借金で沢山の自殺は説明がつく。だが、兵士が借金せざるを得ないのはいじめのせいだ。」
 小西によると、いじめは、署名の際、兵員は、義務期間が終わるまで途中で辞めないという誓約をしなければならないという防衛庁の主張によって強められる。
 防衛庁は、このような誓約を否定しているが、小西は、次のように言っている。「辞めたいけれども上官にそうするなと言われると言う人たちから沢山電話を貰う。そうすると彼らはデプレッションに罹り、圧力を取り除くことができない。」
「いじめがあるということは聞いている。だが、自殺の主な原因は金銭であると考えている」と防衛庁の報道官は言う。
 この記事を書いたクリス・カッシング記者は自衛隊のイラク派遣については日本国内に強い反対意見があること、また、日本に米軍が駐留しているために自衛隊は余計な軍隊だという意見があることを述べた後、次のような野田教授の言葉を引用している。
 「こういったことが、彼らの使命感を減退させ、彼らの誇りを低下させている。また、派遣から帰国しても誰も英雄の帰還だと思うものがいない。生命を脅かす状況にいるという現実によって引き起こされたストレスに加えて、戦争の経験が帰国後のPTSDや不適応に導き、その結果、家庭喪失状態や暴力的犯罪や自殺などの社会的行動的困難に至る。」
 守秘義務によって課せられた沈黙によって強められるストレスは防衛庁によってうまく管理されていない。
 軍事記録によると、2002年に規律違反に問われたケースは、不服従が12件、勝手な不在が241件、暴力行為が15件、殺人が15件ある。
 イラクでの勤務への署名は、自発性に基づいて行われた。兵士は数ヶ月の訓練を受け、その間「誰でも辞めることができる」とされていると防衛庁は述べている。
 この訓練にはストレス管理も含まれており、作戦前、作戦中、作戦後には心理学的サポートが与えられる。
 近年の自殺者の増加が引き金となって、防衛庁は、援助ホットラインを導入することによってカウンセリングを促進することを始めた。
[訳者の感想]日本の新聞で帰国兵士に自殺が多いという記事を読んで気になっていたのですが、『アルジャジーラ』局の記事を見つけました。
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自民党の大勝についての英国『ガーディアン』紙の記事。

2005年09月12日 | 日本の政治と経済
タイトル:「最後のサムライは、政治を変革できた。」と題するサイモン・ティスドール記者の9月12日付けの記事です。
 小泉純一郎は、日本政治の「スドク・パズル」である。何も加わるようには見えない。だが、どういうわけか、最後にはうまく行くのだ。だが、昨日の衆議院議員選挙の地滑り的勝利は、彼を戦後最も長く政権を握った首相の候補にした。彼はポップ音楽のアイドルのように扱われ、「ライオン・キング」というあだ名が付いている。だが、彼の禁欲的な生活スタイルは、最後のサムライに似ている。
2001年に首相の座に着いて以来、小泉氏は、政治改革を行うのに失敗した。だが、郵政民営化法案が自民党内の反乱者によって参議院で否決された後で公示された選挙で彼は空前の改革の信任を得た。英国の用語を使うなら、これは「第四条項運動」である。そして、それは日本の政治を恒久的に変えることができた。
「小泉は、見破れない人物だ」とウオーウイック大学のクリストファー・ヒューズは言う。「だが、基本的に彼は彼自身の党の中の既得権や攻撃し、地元に利益をもたらす政策を止めることに関心をもつ政治改革者だ。」
「彼は自分の政治生命を犠牲にする危険を冒すほど、それについて真剣だ。多分チョッピリサムライだが、もっと『特攻隊』に似ている。『特攻隊』とは、文字通りには、炎の中に飛び込む覚悟のある『特別攻撃隊』のことだ。これが彼を非常にただならぬ政治家にしている」とヒューズは言った。
小泉氏は、現在、「大きな政府」を縮小する計画を加速し、自由市場政策を拡大し、年金を改革し、老齢化に対する健康保険を改革するだろうと期待されている。日本の戦後の社会契約を用いた潜在的な対立が、自民党をイデオロギー的に分裂させ、政治勢力の再編成をもたらした。
しかし、行政権力を常に集中することによって、小泉氏は、仕事のための道具を持っていると京都大学のマチドリ・サトシは、「ジャパン・エコー」の中で述べた。トニー・ブレアのように、彼は「大統領風の首相」として知られている。
小泉氏の再選は、海外でも波紋を呼ぶだろう。中国と韓国は、彼の在職中に緊張が高まったので、彼の成功を歓迎しないだろう。「彼は実際はナショナリストではない。だが、彼は日本が大きな力として扱われることを望んでいる」とヒューズ教授は言う。「彼は反中国であることに関心はない。だが、私は彼が恐らく再び靖国神社を参拝するだろうと思う。」日本の戦時中の死者に対する参拝は、ペキンから猛然たる抗議を呼び起こした。
だが、日本がもっと広い地域の安全保障で大きな役割をはたすことを望んでいるワシントンは、この結果に喜んでいる。小泉氏は、ジョージ・ブッシュの再選を公然と支持し、イラクに非戦闘部隊を送った。
「小泉は、日本を普通の軍事力に変えるように憲法を改正すること、日本が米国あるいは台湾のような他の国をたすけることができることを意味する集団的自衛を可能にする新しい法律を支持している」とヒューズは言った。これは潜在的に国内においても海外においても爆発的である。
けれども、最後までパラドクシカルであるので、小泉氏は、彼の総裁の任期が切れる来年九月には、首相を辞任する。彼は規則を変えることはできるが、彼はそうしないだろうとこれまで言い張ってきた。これまた、小泉の謎の中の無数のパズルの一つだ。
[訳者のコメント]小泉首相は、海外の論調でも、かなり謎めいた人物だと受け取られているようです。さて後一年の任期中に果たして日本の政治はどうなるのか、国民としては非常に気になるところです。
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「日本の与党分裂、郵政民営化の反対者、新政党を立ち上げる」と題する記事。

2005年08月18日 | 日本の政治と経済
8月17日、東京発:日本の政権与党のもと党員と議論の多い郵政民営化法案の反対者は、新しい政党の創立を告知した。彼らはこれによって、九月の総選挙で政治的生き残りを目指している。
数年前から深刻な意見の対立を抱えていた日本の与党自由民主党は、ついに形式的にも分裂した。水曜日、小泉首相の党内反対派であった数名の人は新しい政党の創立を告知した。「国民新党」という名称で9月11日の選挙に臨む集団の本来の主唱者は、亀井静香である。自民党の元政調会長はここ数年小泉首相の厳しい批判者として目立った。さしあたり5名の党員からなるこの党の代表になったのは、綿貫民輔である。これらの保守的な政党の創設者に共通しているのは、小泉が努力している郵政事業の民営化と首相の頑なな政治スタイルに対する抵抗である。
1.反対者を放り出す。
 これらの政治家は自発的に政党創立を決断したのではなかった。結局、彼らは彼らの古い党から放り出されたのである。こうして、小泉首相は、10日前に郵政民営化法案が参議院で否決される後で、衆議院を解散しただけではない。彼は衆議院で郵政民営化法案に反対の投票をした37名の自由民主党員の代議士を党が支持せず、候補者名簿に記載しないことを強調した。こういう仕方で自民党から改革反対派を半ば粛正し、選挙民に9月11日に新しい自由民主党を提示しようとする首相の努力は、意見を異にする人達を、無所属の候補者して選挙に立候補するか、それとも新しい党の党員として選挙に臨むかという微妙な選択の前に立たせることになった。亀井の周りの議員達は、第二の選択肢を選んだが、おそらく、無所属の候補者に対する政党メンバーの法的特権を考えての選択だと思われる。
2.はちまき締めた小泉
小泉によって臆することなく自民党から放り出された36人の反対派の何人が、新しい政党に参加するかは、目下見て取るのが難しい。新党は明らかに少数派にとどまるかもしれない。元経済企画庁の長官であった平沼赳夫のような民営化法案を批判した人は、いずれにしても既に無所属として立候補することを断言している。彼らは、小泉以後の時代について思いを巡らせているかもしれない。この時点で彼らが目指している自民党への復帰は、新しい政党のメンバーになるより、彼らが無所属候補であることによって、より理由付けが簡単である。
このような復帰には到らないこと、したがって、37人の反対派が再選されないこと、これを目指して小泉は圧力を加えている。反対派が出る選挙区に、首相は、彼の党の最も人気のある候補者、例えば小池百合子を送る。党の中では、これらの候補者は、「刺客」と呼ばれている。その際、小泉は、非常に大きなリスクを冒している。特に新しい自民党と古い自民党との対決が野党に政権奪取の機会を与えるというリスクを冒している。しかし、首相は、彼が既に殆ど取り憑かれたように推し進めている郵政民営化を諦めるぐらいなら、政権交代を甘受するように見える。
[訳者のコメント]スイスの『新チューリヒ新聞』オンライン版で見つけた記事です。賛成派と反対派の立場を公平に捉えていると思います。少し、物足りないような気もしますが。

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「小泉は、日本のゴルバチョフか」と題する『ツァイト』紙の記事。

2005年08月12日 | 日本の政治と経済
多分、日本をかってのソヴィエト連邦と比較すべきではないだろう。しかし、50年前から殆ど絶え間なしに政権を握り、絶望的なほどもつれ合っている自由民主党は、大いにソビエト共産党を思い出させる。そして、その党首である小泉純一郎は、ゴルバチョフを思い出させる。
ゴルバチョフと同様、小泉は、長い不景気の最中に権力の座についたが、その理由は、彼が青年のようなライオンのたてがみを持っていて、彼のミイラのごとき前任者達と違った外見を持っていたからでない。小泉も改革を約束した。だが大部分、お話しに終わった。そのわけは、ゴルバチョフのように、彼は党の金蔓に触れないで、党に対して権力を維持するように期待されたからである。
ゴルバチョフは、民衆に訴えたが、保守派と結託した。小泉もまさにそのようにしていた。彼が日本の戦争犠牲者と戦争犯罪人のための巡礼地である、靖国神社に参拝するたびに、それによって、彼は歴史修正主義者に対する約束を果たした。
ゴルバチョフは、挫折した。その理由は、彼が共産党を見捨てることを躊躇ったからである。二歩前進する前に、彼はいつも一歩後退した。
小泉のもとで日本の経済は、確かにいくらか回復し、銀行改革は、貸し方に記入された。しかし、それ以上のことは、彼は達成しなかった。月曜日に、彼は参議院で彼の中心的関心事である郵政民営化法案を通すのに失敗した。保守派の党友が彼に反対したからである。9月11日に総選挙が行われる。
小泉は正しいと考える経済人は多い。271,000人職員を抱えて、郵便は、日本の最大の雇用者であり、300兆円の預金を持っているから、世界最大の貯金局である。この巨人は、減量ダイエットに耐えることができるかもしれない。けれども、ほんの僅かの日本人しか首相を理解できない。なぜよりによって、郵政が問題なのか。なぜよりによって今なのか。小泉はもっと外交政策に頭を使うべきだと彼らは言う。彼の指導の下で、日本はすべての隣人と対立することになった。中国との関係が、何十年来これほど悪くなったことはない。ブッシュ大統領との献身的な近さは、日本政府の地位を保安官助手に引き下げた。国連の安全保障理事会への座席の要求は、みじめに失敗した。
新し選挙でもって、自分は議会から言うことを聞かない議員を粛正するつもりだと小泉は言った。日本人は、9月11日に、郵政改革について投票しないだろう。選挙は小泉と自民党に対する信任投票になるだろう。つまり、日本が気持ちの良い戦後の秩序から抜け出るかどうか、それとも、それがもう少しの間つづくのかどうか、に対する投票になるだろう。
[訳者の感想]『ツァイト』紙のクリストフ・ナイトハルト記者の記事です。小泉さんは今度の選挙は国民が「郵政民営化法案」に賛成か、不賛成かを問うものだと言っていますが、私はむしろこの記事に書かれているように、戦後体制をどう変えるのかを問うものだと思っています。
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「小泉首相、改革の支持を得ようとして選挙を要求する」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2005年08月09日 | 日本の政治と経済
8月8日、東京発:日本の小泉純一郎首相は、月曜日、世界第二の経済の速やかな改革に対する支持を得ようと努力して、衆議院を解散し、9月11日の選挙を要求することによって、自分の職務を危険に曝した。
この動きは、与党の代議士が、小泉の経済改革十字軍のメイン・テーマを効果的にブロックすることによって、日本の巨大な郵政事業を民営化する首相の企てに反旗を翻した後で起こった。この決定は、小泉の4年半の行政に対する信頼を公的投票に置くと同時に、第二次大戦以来殆どの時代日本を統治してきた自由民主党を作り直す彼の努力に対する信任を問うものとなる。
アジアにおけるブッシュ政府の最も親密な同盟者であり、1980年代以来、最も永く首相の座にある小泉は、与党が選挙で負ければ、首相の座から降りるだろうと言った。
彼の敗北は、野党の民主党に政権を譲ることになるだろう。民主党は、イラクにおけるアメリカの軍事的努力に対する小泉の支持に反対しており、沖縄からアメリカ海兵隊を引き上げるように要求している。
アナリストによると、自称一匹狼である小泉は、彼を特徴付ける向こう見ずな政治に従事している。最終的に初めから彼の改革に強力に抵抗してきた党内の反対派を粉砕することを可能にするために、彼は公衆が彼の改革を志向している自由民主党員の候補者を支持することを期待して彼の政治生命を賭けている。権力闘争は、参議院自由民主党の大きな派閥が彼の郵政民営化法案に対して反乱を起こした後で、山場を迎えた。
日本の郵便局の網は、何百万もの人の300兆円以上の預金高を有する世界最大の銀行を形成している。何十年も、自由民主党の政治家は、それを金のかかる建設費や選挙区の票を獲得するのに役立つ政府補助金を導入するための裏ドアとして利用してきた。だが、このシステムは、経済に対する障害物として役だった。
小泉は、14年間の経済的スランプの後で日本を上昇させる唯一の道は、日本の大量の官僚政治を打破すること、特に郵政事業を改革することであると主張した。月曜日に、彼は日本の支配政党の内部からの変化を強制する彼の公約を果たすために、登場した。
「四年前、私は自民党を変えるだろう。もしそれが変わらなければ、それをぶっ壊すだろうと言った」と記者たちに語った。
合意政治が長い間通例であったこの国で、ウエーブのかかった髪をした63才の小泉は、2001年4月、日本の政治的恐竜をやっつけると誓って、政権を握った。彼は国民的アイドルとなり、ロックスターのごとく人気があった。だが、それ以来、大衆の彼に対する支持は、退潮している。多くの人は、彼は約束に対してナマケモノのような前進をしただけだと考えている。アナリストたちは、小泉が40%の支持率を記録する世論調査にかけているように見えると言う。この支持率は、自民党や民主党に対する支持率よりも遥かに高い。
小泉のタフなアプローチは、自民党をひどく分裂させた。彼は自分の民営化案に同調するように党員にものすごい圧力をかけた。民営化案は、先月、衆議院で、僅差の賛成を得た。このとき法案に賛成した一議員は、派閥の仲間から言葉で攻撃されて、投票したあとで自殺した。
ある小泉の批判者は、彼の将軍スタイルと月曜日に法案に反対の投票が多い場合には、衆議院を解散するぞという彼の脅しを引用した。彼は衆議院解散の署名を拒否した島村農水相を罷免した。
小泉は、彼の改革案に反対の投票をしたすべての自民党議員を推薦しないと決めた。これは彼を支持する人たちだけが選ばれることを確実にすることができるだろうが、支持しない議員は、いまや公然と自民党からの脱党を議論している。
「四年半の間、彼は党首としての彼自身の立場と彼の改革に対する党の反対者との間の矛盾を保ちつづけたが、ついにこの矛盾が爆発した」と「政治的PRのためのセンター」の代表者である宮川タカヨシは言った。
小泉が、衆議院を解散した理由は、日本の首相は、参議院を解散する権利がないからである。そして、彼の計算によれば、もし世論が彼を支持すれば、参議院は法案に賛成するだろう。
しかし、1993年にも自民党は党の分裂によって、短期間政権を失った。しかし、日本の多党制度では、民主党は実行可能な交替政党として現れる。民主党が自民党と交替したとしても、アナリストによれば、彼らは、連立政府を作るためには、いくつかのより小さな政党とのパートナーシップを必要とするだろう。
切り札を持つのは日本の公衆である。世論調査は、多くの人が小泉の複雑な郵政民営化案を十分に理解していないことを示している。自民党の地盤である地方の郵便局は、遠隔の局は閉鎖され、重要なサービスができなくなることを恐れている。それは、小泉の弱点である。
小泉は、疎外された保守派の支持を取り戻そうとするかもしれない。月曜日に彼は死刑判決を受けた戦争犯罪人を含む日本の英霊に敬意を表するために靖国神社に参拝することを示唆した。彼の過去の参拝は、日本に侵略された中国と韓国を憤激させた。しかし、今度の参拝によって、彼は日本の右翼の間にある重要な支持をとりもどすかもしれない。
[訳者の感想]日本の政治について、アメリカの一流紙がどのような報道をしているかに興味があったので、訳しました。アンソニー・ファイオラという記者の書いた記事です。

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