海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「無気力か、リスクか」と題する『ヴェルト・オンライン』の日本に関する「記事。

2014年12月07日 | 国際政治
(前略)
 日本の安定した停滞に対して私が同情した時代があった。昨年、私は「西武ホールディングス」と最大の株主である「サーベラス・キャピタル・マネージメント」とのあいだの争いについて報告した。私有財産管理会社である「サーベラス」は、この巨大な複合企業で米国水準の利益を見たいと思っており、ばかばかしいほど非効率的な経営について苦情を述べた。たとえば、東京郊外を走っている「多摩川線」には停車駅が6つしかない。この線を私は良く知っており、私の娘たちはこの電車で通学していた。そのことによってアメリカの投資家たちがなぜ苦情を言っているのか私には理解できたが、西武鉄道の計画が沿線の住民の生活を支えていることも理解できる。
 人口が少なくなり始めた五年前には、日本人のリスク嫌いが増大した。「高齢化社会」としての日本国の自画像は、定着した。デフレ賛成主義者の最後の偉業は、2012年に消費税を二倍にすることだった。増税が成長を阻害するということ、デフレを先鋭化するということは、ベイビー・ブーム世代の年金を支え、投資家たちが日本の高度の債務増大を憂慮しないようにする為に、彼らはより多くの収入を得たいと考えた。
 勿論、デフレには、影の部分がある。会社が多くの社員を退職させないという社会的合意は、企業が新たな労働者を採用せず、賃金や賞与の増額をやめないようにした。失業率は、多くのパートタイム労働によって下げられた。特に、デフレ時代に育った若い世代にとっては、賃金は低く、正規の雇用を得ることは、難くなった。老人の欲求の為にその未来を犠牲にした国民は、若い世代が就業する機会を奪ったのだ。(中略)
 12月14日の衆議院議員選挙は、議論の次の段階に導くだろう。安部総理は、おそらく失脚しないだろう。なぜならば、反対党は個人的に拙劣に配置されているからだ。しかし、自民党と公明党が得票率を下げれば、彼らの行動の余地は狭められるだろう。安倍総理が議会の過半数を抑えれば、彼は、自分の国のデフレ主義的本能にどれほど挑戦できるかを示すだろう。なぜならば、アベノミクスを巡る大論争にもかかわらず、それを発明した人は、(つまり安倍総理は、)構造改革の第三の矢を放てるからである。
 日本の社会に構造改革を売りつけることは最も困難である。目下、リフレーション主義は、支持を失いつつある。『日本経済新聞』の世論調査によると、回答者の33%が「アベノミクス」を支持したいるが、51%は、反対だからである。
[訳者の感想]筆者は、アメリカ人で『ウオール・ストリート・ジャーナル』のドイツ語版に寄稿された記事のようです。デフレ主義者の代表は、白川前日銀総裁であるようです。部分的にはデフレーションでも構わないではないかと考える人たちが沢山いること、それが社会をあまり悪くはしていないことなども指摘されています。
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