海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「イラクの占領終わりに近づく」という『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年06月30日 | イラク問題
その顔に勝利と挫折とこの六年間の悲劇全体が読み取れる顔を持った男がイラクにいるとしたら、それは、非常に疲れた恐ろしく上機嫌の神経科医のムワファク・アル・ルバイである。
今日、イラクを統治している多くの人たちのように、ルバイは、2003年に米軍の戦車といっしょに十年間の亡命から帰ってきた。彼は2004年に治安問題顧問になり、彼の宿敵であったサダム・フセインに牢獄の中で向かい合って立ち、三年後には寒い冬の夜、この男を絞首台へと連れて行った。「私は彼の腕をしっかりと掴んだ」と彼は言う。
彼は自分の国がテロに落ち込むのを見た。彼が2006年から2007年にかけて毎月3000人の殺人や爆弾テロの犠牲者を嘆いた。彼はアメリカ人に我慢してくれと言うために、ワシントンへ飛んだ。それから、情勢が改善された後、米軍の撤退について交渉し始めた。イスラムの聖職者の祝福をうけるために、彼はナジャフとテヘランへ行った。だがそれは届かなかった。数ヶ月の摩擦の後、ヌリ・アル・マリキ首相は、6月初めに、ルバイに、彼の勤務はもはや必要ではないということを知らせた。ルバイは、まだ、バグダッドのグリーン・ゾーンの中の首相の私邸の隣に住んでいる。だが、議会は、既に彼の書類をかき回して、彼の引越し料を吟味している。治安顧問としては彼はもうお仕舞だ。何たる恥辱。
彼は諦めたのか。いや、そうではない。彼は「アル・ワサット」と称する政党を立ち上げた。それは、「中央」を意味している。二週間前、この党は、伝説的な「パレスチナ・ホテル」で創立会議を開いた。ルバイが欝になるひまはない。彼はイラクについて大きな計画を持っている。彼は自ら首相になるつもりなのだ。(後略)
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「ガンは、知性の代価」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年06月25日 | 健康
人間とサルを生物学的に区別するいくつかの事柄のなかに、サルはほとんど決してガンに罹らないという事実がある。類人猿のたかだか、2%だけが、ガンになった。人間の場合、五人に一人はガンが死亡原因である。なぜそうなのか?科学はこの理由をかなり以前から知っている。人間がガンに罹りやすいのは、人間がサルよりも高度に発達したからである。言い換えると、サルより悧巧だからだ。
もっとも、容易に思いつく帰結に対して、米国の生物学者たちは一つの待ったをかけている。つまり、人間におけるガンリスクは、いかなる場合も、悧巧でれあればあるほど、ガンに罹りやすいという規則には従っていないからである。そうではなくて、事態は、人間における非常に発達した細胞構造とつながりがある。
米国の生物学者たちは、人間とチンパンジーにおけるいろいろな遺伝子の働きを比較した結果、人類は彼らの知性に対して高い代価を払っていると考えている。彼らのテーゼによると、身体を構成する細胞の持っている自己破壊のメカニズムが進化の過程で、人間の場合、途中で止まってしまった。その結果、一方では、人間の脳は、これほど遠慮なく発達し、ネットを展開し、それまで生物学的には不可能だった結合を可能にした。しかし、他方で、止め処ない細胞の増殖が可能になった。ある細胞が悪性になった場合、それを止めることは、自然な細胞の自殺プログラムの厳格なコントロールの下では可能であるよりもずっと難しい。このテーゼは、実際、証明することは難しいとアトランタにあるジョージア工科大学のジョン・マクドナルドと彼の同僚たちは、書いている。にも関わらず、そのテーゼが依存している生物学的事実が存在する。
人間とチンパンジーの脳にあるどの遺伝子がそれどほど強力に活動しているかを研究者たちは比較した。その結果次のことが分かった。活動は、特に「アポプトーシス」の操作に責任がある遺伝子領域に違いがあることが分かった。「アポプトーシス」というのは、ギリシャ語に起源のある言葉で、「プログラム化された死」と訳されている。イメージを使って、一つの細胞の自殺について語ることが出来る。それは隣接した細胞にも伝染する。この自己破壊プログラムは古い細胞を片付けるのに役立っている。たとえば、妊娠後の胎胞や病的に増殖する細胞を破壊する場合がそうである。人間においては、この自殺プログラムの機能が、チンパンジーにおけるよりも働いていないことが確認された。大脳だけでなく、他の器官、たとえば睾丸、心臓、腎臓、肝臓でもそうである。
おそらく人間の進化の過程のどこかで、脳細胞において自己破壊プログラムが減退することは、長所であることが分かったのだろう。より少ない細胞が破壊され、大脳の質量はどんどん増えた。だが増えたのは良い細胞だけでなく、悪い細胞も増えた。これに対して、チンパンジーにおいては、細胞の自殺プログラムは常に機能し続けた。そのために、彼らの脳には明らかに限界が置かれたのだ。(後略)
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「サハラ太陽計画」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年06月17日 | 教育と科学技術
ハンブルク発:ビジョンは、魅力的だがあいまいだ。アフリカと欧州のために、炎熱のサハラ砂漠をエネルギー源として利用するが問題になっている。あるプロジェクトを巡って、それが、万一現実になれば、単なる規模によっても、それは世界の奇跡となるかもしれない。そのエネルギーをしばしば圧力手段として投入してきたロシアの石油支配や、石炭、天然ガスに依存しない状態が生じるかもしれない。
エネルギーのユートピアは、次のように、機能する。北アフリカの砂漠に巨大な太陽光発電所を建設することによって、ほとんど無限のエネルギーを生産されるはずである。炭酸ガスも出さず、安定した価格で。この計画には「デザーテック」という名前が付けられ他。「ドイツ航空・宇宙飛行センター」(DLR)は、既に2005年にそれが可能かどうか技術を吟味し、肯定的な結果が得られた。
それから4年たって、「サハラ太陽プロジェクト」が間もなく実現されるチャンスが増えた。少なくとも15の大コンツェルンと研究所は、合体し、野心的なエネルギー概念に融資し、実行しようとしている。
「ドイツ航空・宇宙飛行センター」は、ミュンヒェンの「リュック」と共同で、一つ気前に、どうしたら、「デザーテック」が売り込めるかを計画した、とDLRのエネルギー専門家であるハンス・ミュラー=シュタインハイムは、述べた。それとつながって、いろいろなコンツェルンが未来プロジェクトに参加したいと申し出た。
7月13日に、このコンソーシアムは、その常任委員会を開催する。通信社の報道によると、これまでに、以下のコンツェルンと人物と研究所が出席すると回答した。
「ミュンヒナー・リュック」社、シーメンス社、ドイツ銀行、エネルギー・コンツェルンのE.onとRWE、ショット・ソラール社、対外大臣ギュンター・グローザー、イタリアおよびスペインの企業、アラブ同盟の代表などである。(後略)
[訳者の感想]エネルギー不足に悩んでいるヨーロッパ諸国にとって、起死回生の手段となるでしょうか。
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「ロシアは、アジアで権力を巡って賭けをしている」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年06月15日 | 国際政治
ロシアは、現在の世界的な危機の時代に、それが数年前からモスクワの外交日程に書かれている「多元的な世界」というモデルに熱心に鑿を振るっている。主な競争相手であるアメリカが、金融危機によって揺さぶられているから、この道を前進する機会は、好都合であるように見える。
歓迎される仲間は、中国だが、その胡錦涛主席は、今日開かれる上海機構のサミットに協力するためにイェカテリンブルクへやってくる。胡錦涛主席は、メドベージェフ・ロシア大統領や他の国の代表たちと、世界的危機に対する戦いにおいてさらに共同歩調を取ることを語るだろう。両者は、自分たちの潜在能力を解決を求める世界中の努力の中に持ち込もうとしている。さらに、北京とモスクワは、ルーブルと人民元が既にドルとユーロの次に基準通貨に役立つと信じている。
上海協力機構(SCO)は、どちらの野心の場にも役立つかも知れないとモスクワと北京では期待されている。2001年に設立されたこの機構は、その構成員であるカザフスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベキスタンの地理的状況から中央アジアに焦点を置いている。しかし、それ以上に、軍事的治安的問題も一役演じている。
既に、イェカテリンブルグでの今日の会合に先立って、ロシアと中国とは、彼らの戦略的パートナーシップの中での軍事的協力を強化するこで意見が一致している。「今年だけで、25回にのぼる共同軍事訓練は、両方の陸軍の密接な関係を誇示するものである」とアナトーリー・セルジュコフ・国防相は、五月初めにモスクワで開かれた中国人の同僚リアン・グアンリとの会議で述べた。
ロシアと中国とは、この軍事的協力が誰に向けられたものでもないとしきりに主張している。しかし、専門家の意見では、米国と北大西洋同盟軍とを中央アジアとその資源から遠ざけておくという意図があるようだ。ロシアと中国との間に激しい競争が維持されており、中期的長期的にそれが勃発することは、確かである。他の「小さな」国々は、それを評価する能力がある。彼らは、唯一の大国が、対抗者なしに自分たちの地域で行動することを望んでいない。
アメリカ人を寄せ付けないことは、思ったよりも困難であることが判明した。国連とロシアによって正当化されたアフガンでの米国の行動は、上海協力機構の構成メンバーを一時的にワシントンと密接にさせた。ウズベキスタンとキルギスタンとは、アフガン出兵のためのアメリカ軍兵士に武器や装備や食料を供給するための基地を提供した。(後略)
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「2名の日本人が米国債券を密輸」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年06月13日 | 犯罪
キアッソ発:スイスとイタリアの国境で、税官吏は、繰り返し、密輸を見つける。だが、こんな捕り物は、初めてだ。一つのトランクに、日本から来たと推測される二人の男が、額面1340億ドル(12兆円)の米国債をイタリアから運び出そうとしていた。イタリア税関は、二人を逮捕したが、謎解きは終わらない。
このアジア人達の目的地はどこか。債券の出所はどこか?特にそれらは本物なのか?
確かなことは、イタリアとスイスの国境では、繰り返し莫大な資産が差し押さえられている。大抵は、イタリア人の運び屋が運んでいる。玄人は、銀行券を確実に運ぶために、修理した車を利用する。百万ドルぐらいの闇金は、稀ではない。最近も税官吏は、金塊を差し押さえた。
だが、今度の押収物は、その金額の点で、前例がない。二人の男は、6月3日に、イタリアから鉄道でスイスへ入国する直前だった。彼らが列車から降りたとき、税関所属の警官が、キアッソ国際駅でコンロトールの際に、ある二重底のトランクから債券を見つけた。50才ぐらいの二人の男は、税関で持ち物の申告をしていなかった。
税関警察の陳述では、額面1億ドル(95億円)の米国債券249枚と一枚10億ドルのケネディ・ボンドが10枚、隠されていた。
イタリア税関にとってなんという大成功だったかは、明らかだ。彼らは史上最大の密輸スキンャダルを発見したか、それとも、非常に巨額の偽造事件を暴露したかどちらかである。イタリア税関は、陳述によれば、相変わらず、債券が本物かどうか調査している。逮捕以来、既に9日経過しているのだが。
本物のように見える書類には、税関によると、かなり分厚い銀行の書類が付いている。これに対して、オンラインの「国際ビジネス・ニュース」は、「少なくとも文書のあるものは、偽造されたものだ」と伝えている。額面10億ドルのケネディ・ボンドは、こういう形では存在した試しがないと言われている。
税関によると、過去の発見はいずれも、偽造であることが暴露された。そういうわけで、コモ市の裁判所は、目下、「ミスター・10億ドル」事件を審理中である。ナポリ出身で、リヒテンシュタイン公国ファドッツ在住の58才の男は、二年前に、目立たないVWパッサートでイタリアへ入国しようとした。その際、彼は、額面10億ドルの米国債券を持っていて、それをボローニャの銀行に押しつけようとした。しかし、その債券は偽物だった。(後略)
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「ブラジル空軍、エール・フランス機の破片と遺体を発見」と題する『ヴェルト・オンライン』紙の記事。

2009年06月07日 | 災害と事故
レシフェ発:空軍の報道官は、現地時間8時14分に最初の二人の遺体が確認されたと土曜日、レシフェで行われた記者会見で述べた。遺体と破片とは、さしあたり、ブラジルの島であるフェルナンド・ノロンハに持ってこられる予定である。AP通信によると、死者は、推定された落下地点の近くで発見された。
発見場所は、彼の陳述では、フェルナンド・ノロンハ島の北東、650キロの地点である。発見された犠牲者の一人は、海面に衝突した際、機体から座席ごと放り出された。APの報道によると、彼はまだ、公海上で安全ベルトを締めたまま発見された。捜索機は、それ以外に、乗客の私物を拾ったが、その中には、革張りのトランクとパソコンと書類の入ったリュクサックがある。トランクには所有者の名前が記されている。航空券が一枚発見された。海軍は、それ以外に、座席番号のついた座席と酸素マスクを収集した。
リオ・デ・ジャネイロからパリへ飛んだエアバス機は、月曜日の夜にブラジルの海岸から1千キロ離れたところでレーダーから消えた。墜落の際、228名が命を落としたが、その中に、28名のドイツ人が含まれている。
事故原因については、依然、明らかになっていない。墜落機には、エアバス社の推奨に反して、速度計が交換されていなかった。捜査指揮者のポール・ルイ・アルシアニアンは土曜日にパリで述べた。
エール・フランスは、エアバスA330型のためのこれらの機器については問題があったと
既に金曜日に認めた。エール・フランスの報道官は、エアバス機の問題のセンサーの交換を4月27日に始めたが、まだ全機のセンサーを交換していないと白状した。陳述によれば、問題のセンサーは、高度を飛行中に凍結する傾向があると言う。それによって、操縦士は、限られたデータしか得られない。
捜査員は、飛行の最後の数分間の信号を調査した。エアバス社の陳述によると、様々な計器の矛盾する指標が存在する。この時点には、同機は、巨大な熱帯性の雷雨前線を通過中であった。極端な気象状態が事故の原因であるとする意見は、反駁された。この航空路の悪天候は、この季節には極端であったことはなかったと気象局「メテオ・フランス」は、述べている。(後略)
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