海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「事態は尋常ではなかった」とイラクの前首相アラウイが選挙を批判。

2005年12月31日 | イラク問題
記事の要約:イラクの首相であったイジャド・アラウイは、12月15日に行われた議会選挙後に重大な詐欺行為があったと非難した。何台ものトラックに積まれた投票箱は、これまでイラクを統治してきたシーア派連合に有利なように投票がすり替えられたと、この「イラク国民リスト」という政党の第一候補者は、アンマンで『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に語った。
 クルド人が多数を占めるイラク北部でも事態は尋常ではなかった。多くの投票所の投票結果で90%以上の票が「シーア派連合」に投票されたというのは、民主的な結果ではない。「詐欺の非難が解明されないならば、スンニー派は議会のボイコットをすると脅している」とアラウイは言う。彼は国民的統一による政府の形成を期待している。もっともそうなると反対派はいなくなるのだが。「それはイラクの統一のための代償だ。」
 しかし、この国を纏めることのほうが、急ぎすぎた民主化よりも重要であると彼は言う。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に対して、イラクの選挙委員会のスポークスマンは、近日中に、「アラブ連盟」とカナダの元国会議員とヨーロッパの専門家がバグダッドに到着し、この詐欺だという苦情を調査し、それについての結果を報告する予定である。
[訳者の感想]アラウイ前首相は、スンニー派だが、宗教色のない、世俗政党を率いて選挙を戦ったようです。この選挙結果では、反対派のスンニー派の人たちがが収まらず、過激な反政府活動を始める可能性が多いと見られています。
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「中国の元農業相、無期懲役の判決」と題するドイツの『ネット新聞』の記事。

2005年12月28日 | 中国の政治・経済・社会
腐敗のかどで、中国の元農業相が無期懲役の判決を受けた。判決によると、彼は約6,300万円の賄賂を受け取った。
北京の裁判所は、今週火曜日、ティアン・フェンシャン元農業相に無期懲役刑を言い渡した。
国営の新華社通信によると、彼は6,300万円の賄賂を受け取った罪を認めた。ティアンは、彼の職務を利用して、私的利益を得たと裁判官は判決の中で述べた。彼の全財産が没収される。
裁判所の述べるところによると、彼が収賄を自白し、後悔していると述べ、金の返却に強力したので、死刑を免れた。
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「ガン多発の村で」と題する『ツァイト』紙の12月25日の記事。

2005年12月25日 | 環境問題
小見出し:リポーターは願い下げ。中国の警察国家は、環境破壊を隠そうとしている。目撃者の報告。
フアンメンイン発:チュウ・ユウロンは、やっとの思いで、彼女の小さな地所の中庭にあるきいきいきしむポンプを動かしている。すると蛇口から赤と白に塗った洗面器に毒の水がはねる。この水がこの56才の女を重病にしたのだ。彼女は、この水を毎日何年間も飲んだ。今、がん腫瘍が彼女の食道を塞いでいる。彼女は手で首とのどをなぜた。「私の孫が水を持ってきてくれても、私は飲むことができない。」
黒っぽい衣服を着、首に編んだ布を巻いて、チュウは、毎日古いポンプ式の井戸に体を引きずる。「私は汚染された水をカブにやり、それで下着を洗濯する。」現在は、飲んだり調理には、彼女は買い入れた水を使っている。
チュウは、彼女の夫と孫と、人々がこのあたりでは「がん村」と呼んでいる村に暮らしている。2400人の村民の5%に当る120人が過去15年の間に、食道がん、胃がん、大腸がんで死んだ。村の名前は、フアンメンインと言い、世界中で、化学薬品による環境汚染で人類の意識に記憶された水俣、セヴェソ、ボパールとどうように知られている。だが、中国の最も長く最も致命的な環境災害地は、巨大な国の真中の辺鄙な場所にある。このあたりの農民は、我慢強く、寡黙である。彼らは抗議もしないで死んでゆく。このあたりの警察は、目を光らせている。再三再四、警察はジャーナリスが村民と長い時間話せないように彼らを村から追い払った。今日では環境保護団体までが、コントロールが危険だから、村を訪問するなと警告する。
環境破壊について苦情を言う人は、中国では、一党支配国家の経済生長の命令に衝突する。役所は、「がん村」でだけ警察投入と隠蔽に賭けているのではない。先週の初め、人民警察は、香港からあまり遠くない東州村でデモをした漁民めがけて銃を発射し、少なくとも3人が殺された。役所は、5日後にようやく発砲を命令した警官を逮捕した。東州村でも、環境が問題になった。漁民は、火力発電所の建設による漁区の汚染を恐れたのだ。
「ガン村」の根本問題は、淮河の水の汚染である。その流域には、1億5千万の人間が暮らしている。危険は、中国内外の専門家によって、ずっと以前から知られていた。1990年代に既に北京政府は、こののために80億ドルの河川浄化計画を立てた。一時的に政府は、排水をろ過しないで河に流していた5千の工場を閉鎖した。しかし、それはあまり役に立たなかった。役所や工場にいる党幹部達は、政府が決めた高くつく環境基準を永く守る気がなかった。大抵の工場は、北京からきた視察官が現状にいる間だけ、閉鎖された。2001年、2003年、2004年に、国家環境局は、淮河の汚染度を5であると報告した。汚染度5とは、水が触れるのも危険だということを意味している。河川浄化の費用は、1千億ドルと見積もられた。
淮河の汚染問題はよく知られたが、河川汚染の犠牲者の運命は余り知られていない。「みんな淮河の環境破壊は知っているが、地方の住民がどんな目にあったかは誰も知らない。」と北京在住のグリーンピース事務局局長ロ・シェピンは言う。
ちょっとした幸運あれば、淮河の支流シェイイン河のほとりにあるガン村の住人に会うことは可能である。申告しないで旅行にでるのが最善である。警官と村のスパイの目を誤魔化すために、最も近くにある農民の住宅に身を隠して家族から家族へとたどるのだ。すぐに共謀者の雰囲気が生まれる。村人は、ジャーナリストが発見されないでいる時間を利用しなければならないというこを知っている。彼らはまた、外国人は検閲なしに報道できることも知っている。それだけいっそう、彼らはどんな質問にもついてきて、彼らの話をする。それは身の毛もよだつ話である。[以下省略]
[訳者の感想]淮河は、河南省の桐柏山に始まり、淮南市を通って、南京の北にある洪沢湖に注いでいる河です。この湖の水は、鎮江のあたりで長江に注いでいますから、長江の下流も汚染されていると見て良いでしょう。
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「中国では抗議の動きが増大」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年12月23日 | 中国の政治・経済・社会
小見出し:「社会発展についての青書」は、政府と国民の間の緊張が増大していると警告。
北京発:指導的な社会学者、エコノミスト、法律家、政治学者は、北京政府に、増大する環境汚染や地方の農民暴動は、もっと悪化する対立の前兆であると警告した。中国社会は、増大する犯罪率、利害の対立、大衆の抗議などによって、「先鋭化する矛盾の発展段階」に入ったと北京の「社会科学院」が火曜日に出した年報『2006年中国の発展についての青書』は警告している。「集団的な抵抗行動」の引き金は、たいていは、不公正な事態、腐敗、社会的セイフティ・ネットの欠如であるが、特に環境破壊である。
384ページに及ぶ報告書の発行は、世間が広東省の新しい環境問題に驚かされた時点で行われた。韶関市にある国有の亜鉛精錬所が、12月15日、密かに大量のカドミウムを含んだ排水を北江に流し込んだ。長さ470キロの北江の流域の住民に対して、毒物に対する警報が発令された。100トンの化学物質を松花江に流出させた中国東北地方の巨大事故以後、今度は中国南部も環境汚染に脅かされている。流域の住民は、損害賠償と責任者の処罰を要求している。
「中国は、全く特別な発達をしている」と公安部のチョン・シェンリとリ・グオチョンは警告している。二十年間の高度成長の後、中国は一般的貧困からは解放された。現在の一人につき1000ドルの年間収入から、3000ドルの年間収入へと飛躍しようとする過渡的段階は、「高いチャンスと同時に高いリスク」も意味している。彼らは中国の計画経済から市場経済へのまだ未完成な転換や都市と地方の間の深刻な不平等と開発格差とが「多くの新しい社会問題」の火だねであると述べている。
2004年には、警察部の述べるところでは、7万4千件以上の地方に限られた多くは平和的に推移する抗議行動が、総数350万人の参加者によって行われた。役所の恣意や土地の強奪や少ない補償や環境破壊が多くの人々を抵抗活動に駆りたてた。警察部は、2003年の5万6千件に対する急速な増加に対して警告している。
新しい『青書』では、国家環境局のヤン・シフイが、2005年度の環境抗議の数が大幅に増えたこと、それらがより暴力的になったことを確認している。「2005年は、環境抗議が最も多かった年である。それは社会の安定に影響している。」2005年前半の抗議行動の30%以上は、地方政府の包囲、共産党や地方政府の建物への襲撃、交通遮断、破壊、放火に導いた。2005年のデモの70%は農民だった。最も多い環境抗議に至ったのは、産業が高度に発達した中国東部であった。そういうわけで、2005年4月にセッコウ省の東陽市で、13の村から集まった5千人の農民が化学肥料工場に反対して動員された。彼らは工場に突入して破壊したが、その理由は、工場が彼らの農地や野菜や果物畑を汚染したからである。彼らは、「毒殺されるよりは撲殺されるほうがましだ」と叫んだ。
「2005年には、工業と農業、党幹部と農民の間の矛盾がますます明らかになった。」ヤンは、環境汚染の結果の例として、「フアイ川沿いのガン村」を挙げた。今日、中国は、使用済みのアルミと使用済みの銅の世界最大の輸入者である。立ち遅れた小企業は、2005年に輸入された2百万トン以上のクズ金属を加工しているが、それが河川や農地を汚染している。
抗議の態勢は、労働者の間でも増えている。社会学者のワン・ジュンシュウは、重工業地帯の黒竜江省の五つの都市の失業者に対して世論調査を行った。中国では、ストライキやデモは禁止されているが、失業者の18.3%は、抗議のデモに参加するだろうと答えている。中国の最高裁の裁判官、ウエン・シェンタンは、『青書』の中で、「毎年の炭坑事故の死者6千4百人の大部分の責任は、腐敗した党幹部にある」と暴露している。彼はまた、2003年には腐敗した党幹部は、外国での賭博で8兆4千億円を失ったということを暴露している。この額は、中国の一年間の文教育予算に匹敵する。
[訳者の感想]共産党の地方幹部の腐敗は相当酷いようです。この『社会開発に関する青書』が日本語に翻訳されたらいいなと思います。
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「中国警察は、最近の暴動の後、村民を屈服させる」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2005年12月22日 | 中国の政治・経済・社会
中国・汕尾発:発砲と流血で頂点に達した抗議から二週間経って、東州村の反抗的な農民と漁民は、屈従するように強いられている。当局は、海岸の村を立ち入り禁止にし、その道路と小路は警察のパトロールであふれていると住民は言った。不明の数の男達は、ドアのノックで召喚され、尋問のため家から引きずり出された。
その結果、12月6日に数千名の村民を暴動警察と武装警察との衝突へと導いた抵抗の精神は、恐怖と胸騒ぎと反感に置き換えられた。村落の内部では、普通の生活は中断させられた。今週月曜日に到着した外部の人間は、障害物のところで警察によって停止させられた。そこには、「立ち入り禁止」の表示がされていた。
電話で連絡のとれた村民の話では、「われわれはもはや家から外には滅多に出られない。」警察が四六時中村の中をパトロールをしているので、「他の村人と話すことは滅多にない。われわれが集まると、彼らが何らかの理由でわれわれを逮捕することを恐れている。」
香港の北東、125マイルにある汕尾市の南東に位置する東州村は弾圧の波を被っている。汕尾市の役人は、隣人達を暴動へとそそのかせた「首謀者」であると見なした三人の男に注目している。三人は、12月9日以来、拘留されている。
捜査開始後、警察は、典型的なやり方で彼らの隣人を密告する意志のある者に褒賞を払っている。抗議者達は拘留され、暴動の最中の犯罪的行為を認めるように尋問者の手で激しい苦痛を加えられていると述ている。
 東州村とその周辺地域を管轄している汕尾市役所は、村民に対する公共サービスを改善すると約束したが、暴動の原因となった議論に関しては何らの譲歩も見せなかった。役人は、繰り返し、街頭のスピーカーを通じて、警察に協力し、行政を信頼し、抗議の指導者に惑わされないようにとのメッセージを流した。
白い乗用車に乗った警官は、チェック・ポイントに止まって、住民が村をを離れたり、他の住民が村に張り込むのを妨げている。街路は非武装警官の少人数のグループによってパトロールされている。彼らの使命は明白である。巨大な赤い横断幕が東州村のメイン・ストリートに掲げられた。それには「犯罪分子を厳しく処罰し、正常な社会秩序に戻れ!」と書かれている。
何年間も、国家の権威に挑戦する人たちに対する容赦ない迫害は、反政府運動の展開を妨げてきた。だが、国家に対する忠誠心は、最近、農民の間で減退し、抑圧的な戦術はあまり効果がなくなってきた。それでも地方的な暴動に対する挑戦に限られてきた。
国家公安局は、暴動の数は中国では増大し、2004年には7万件に登ったということを認めた。東州村の暴動が際だった理由は、警察が銃を使用した点にある。
電話で連絡できた目撃者によると、東州村で殺された人の数は、10人から20人に達する。市当局は最初、12月6日には、警察が銃を使用したことを否定した。次に市当局は、12月10日の声明では、警察が警告のために銃を発射し、偶然に3名が死んだと述べた。
中国の反体制派は、東州市の事件を1989年の天安門事件と比べたがる。だが、違いは大きい。東州村では、人民武装警察は、軍と役人の命令の下で、国家の指導なしに、配置された。これに対して、天安門事件では、人民解放軍は数千人を殺した。更に東州村の抗議者は、中国の政治生活の真ん中で自由の女神の像の周りに集まった学生ではない。彼らは、人口4万人の村にある警察に火炎瓶を投げつけた農民であった。
にもかかわらず、類似性がある。両方の出来事の公式バージョンは、反政府の首謀者を非難し、党や政府の指導者が重大な決断をして、それが暴力につながった。年長の共産党員のキャリアに影響を及ぼした。
中国人の情報源によると、市政府は、危機の初めから省政府の役人と緊密な連絡を取っていた。12月6日の発砲事件の後、広東省の省長であるチャン・デジャヤンは、汕尾市に出かけ、12月8日には指揮をした。
東州村の村民は、一年以上前から、彼らの土地の収用について苦情を述べていた。汕尾市の役人は、大規模な発電所建設のために、水田を売却し、その補償は不釣り合いに少なかった。村民は汕尾市の役人が腐敗していると考えている。(以下省略)
[訳者の感想]東州村の暴動について、天安門事件との相違点や類似点がの述べられていて面白いと思いました。地方官僚の腐敗が背後にあるようです。
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「スンニー派は選挙結果を疑い、修正を要求」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年12月21日 | イラク問題
バグダッド発:イラクの国民議会選挙の最初の部分結果が公表された後で、スンニー派とシーア派の間で新たな紛争が始まった。少数派であるスンニー派の諸政党は、数字を選挙意志の偽造であるとして退け、直ちに訂正するように申し入れた。駐イラクアメリカ大使
ザルマイ・カリルザードは、イラク人たちが明らかにもっぱら彼らの宗教的あるいは民族的所属に従って投票したことに不満を述べた。特に、首都バグダッドからの選挙委員会によって公表された部分結果が争いの的になった。投票総数の89%が数えられた後で、シーア派の「統一イラク連盟」は、投票数の59%を獲得している。スンニー派の「イラクの調和同盟」は、19%で後に続いている。元首相イジャド・アラウイの率いる「イラク・リスト」は、投票総数の14%を獲得した。
[訳者の感想]投票結果について、スンニー派政党も世俗政党も不満なようです。これがより強力な抵抗運動のきっかけになるかもしれません。アメリカ軍が撤退した場合、シーア派中心のイラク政府がどこまで支配力を持ちうるかが問題でしょう。
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「クローン研究の第一人者黄教授、論文を撤回」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年12月18日 | 教育と科学技術
ソウル発:韓国のクローン研究者黄ウソクを巡るスキャンダルが拡大している。黄教授は、彼に対する非難に対応するために、金曜日に記者会見を開いた。黄教授は、科学雑誌『サイエンス』誌に掲載された研究には間違いがあったことを認めた。共同研究者である廬聖一は、木曜日に黄教授には、11個の幹細胞のうち9個を偽造した責任があると述べていた。黄教授は、写真に間違いがあたことを認め、専門雑誌『サイエンス』に掲載された問題の論文を引っ込めると述べた。勿論、彼の研究チームが実際にクローンされた胚から病人の遺伝子をもった11個の幹細胞を作ったことに疑いはないと保証した。利用された幹細胞のうち5個は、研究結果を検証するために、解凍されなければならない。
 少し前まで、黄教授は韓国では国民的英雄であるとして尊敬された。だが、11月中旬にアメリカの幹細胞研究者ジェラルド・シャッテン教授は、黄ウソク教授との共同研究を取り消した。黄教授は、彼のグループに所属する女性研究者が卵細胞を提供し、その代わりに金を受け取ったということを認めた。「依存関係を利用したこと研究と個人の利害との間に混和があることは、問題である」とシャッテンは述べた。
 ドイツのボン大学の幹細胞研究者オリバー・ブリュストレは、最近の暴露について驚愕して次のように述べた。「これは黄教授にとって致命的であるだけでなく、研究分野そのものにとっても良くない。」専門家達は、幹細胞を用いてアルツハイマーやパーキンソン病が治療できるだろうと期待している。
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「AOLとGoogle互いに接近」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年12月17日 | 教育と科学技術
小見出し:タイム・ワーナーの姉妹会社であるAOL(アメリカ・オン・ライン)を巡って、インターネット・コンツェルンのグーグルは、マイクロソフトやヤフーなどのライバル会社に対して意志を貫いた。
ニューヨーク発:タイム・ワーナー社とグーグルとは、密接な協力を結んでいたということをロイター通信は、事情に詳しい筋から聞き出した。『ウオール・ストリート』紙も同様にその筋から、グーグルは、アメリカ・オン・ラインの全株数の5%にあたる10億ドルを支払う予定であると報道している。最後に、世界最大のソフトウエア・コンツェルンのマイクロソフト社は、主導的な入札者であると見なされている。
インターネット・サービス会社であるAOLは、グーグルの検索ソフトを使用している。これまでの協力は、アナリストによると、グーグルの総売上の2乃至4%をなしていた。マイクロソフト社は、AOLを検索システムに切り替えるように動かそうとしている。その上、同社は、自分のインターネット・サービス組織であるMSNをAOLとの共同企業にしようとしている。ヤフーもAOLとの協力に関心を持っている。そういうわけで、AOLは、検索テクノロジーの市場にとって戦略的な意味をもつと考えられている。
「AOLは、グーグルと長い関係を持っている。だから、有利な条件でこの関係を続けることは、私には論理的であると思われる」とバリントン・リサーチのジェイムズ・ゴスは言った。
タイム・ワーナー社の株は、現在1.68%上昇して18.14ドルである。グーグル社の株は、1.73%上昇して、429.83ドルである。マイクロソフト株は、0.2%上がって、26.97ドルである。ヤフー株は、1.77%上がって、42.49ドルになった。
AOLは、2001年にタイム・ワーナー社と合併したが、コンツェルン全体のお荷物になった。何百万人もの顧客が、AOLから離脱した。最近では、AOLは、広告でより多くの金を儲けるために、無料サービスに集中している。
[訳者の感想]企業合併がうまく行かない例としてタイム・ワーナー社とAOLの例が挙げられます。でもこのニュースを読むと、AOLと協力したいインターネット・サービスの会社がいくつもあるようですね。
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「中国の経済力は、知られているよりもずっと大きい」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年12月16日 | 中国の政治・経済・社会
北京発:現在世界第7位と見なされている中国の国民経済は、一躍、四位上がって、英国に取って代わろうとしている。公式の中国メディアの述べるところによると、国家統計局には新しい上方修正が寄せられている。それによると、中国の経済能力は、予想よりも20%上方修正されなければならない。この追加分は2005年度の経済成長率9%とともに中国を2006年には米国、日本、ドイツに次ぐ世界第4位の経済大国に押し上げるだろう。フランス、イタリア、イギリスは追い越されるだろう。
これまで部分的に公表された新しいデータは、最初の国内経済調査の結果である。実施日2004年12月31日に、10万人の調査者が組織的にあらゆる国有企業、集団企業、私有企業に対して質問を行った。統計局のリ・デシュイは、12月20日に北京で調査結果を公表する。
暫定的な評価によると、北京は私的経済とサービス部門の注目すべき躍進を統計上、過小評価していた。新し調査における別の数字も、より大きな結果になった。それによると、中国は、19億9千万トンの石炭によって、統計局が今年2月に報告したよりも4千万トン多く採掘した。鉄鋼生産高は、報告された数字よりも4千万トン多かった。
中央銀行の周小川総裁は、これらの結果を財政経済政策並びに中国の経済発展の予測にとって「大きな挑戦である」と言ったと経済雑誌「中国ビジネス・ニュース」は述べている。
周氏は、統計組織を変更したいと思っている。「われわれの統計とわれわれの予測システムは、古い計画経済的モデルから出てきた。」それらはもはや市場経済には適合しない。
報道によると、北京政府は、2004年度の国民総生産を2兆元から、2兆4千億元に増やさねばならない。これまで、中国の経済業績は、2004年には、13兆6515億元と評価されたいた。公表されたデータによると私的経済とサービス部門における急速な発展が最も力強く目立った。2004年の終わりには、中国は私的経済によって組織された500万の企業を数えた。これらの企業で働く労働者の数は、2500万人以上である。更に3920万の個人営業で働いている人の数は、9400万人に達する。売上高や資本金の額も、始め報告されたよりも3分の2以上多い。中国の統計局は、全国的な経済成長に対する数字を公表したが、それは中国の各省から集められた数字と一致しない。中国の31の省は、2005年の前半に12.07%の経済成長率を挙げたが、北京政府は、成長率は9.55%だと述べている。
中国では、2007年の初頭に世界最大の農民調査を準備している。3万の郡に属する2億の農民家計と60万の村落委員会が調査の対象となる予定である。
12月16日付けのジョニー・エルリング記者の記事です。
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「中国政府、村の暴動の首謀者を非難」と題する『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙の記事。

2005年12月12日 | 中国の政治・経済・社会
12月12日、北京発:香港近くのある村で起こった抗議する村民を警官が射殺した事件について、中国当局が沈黙を破った。当局は、爆発物や火炎瓶を投げた指導的な数名の扇動者を非難した。
だが、国営の新華社通信によれば、発砲するように命令した官憲は逮捕された。これは北京政府を困惑させた出来事に対する内部の非難が高まっていることを示唆している。
新華社通信は、土曜日遅く、火曜日に起きた東州村の「混乱した暴徒」に対して発砲した際、人民武装警察が、3人の村人を殺し、5人を負傷させたと報道した。しかし、香港の新聞と接触した村人は、20人以上が殺されたと述べた。また、官憲は遺族が遺体を引き渡す場合に現金で補償金を支払った。これは証拠を消す努力だと村人は見ている。
インターネットのサイトは、武装警察によってブロックされ、報道関係者は、閉め出され、土曜日の新華社の報道まで、メディアは何も報道しないように命じられた。
香港で発行されている『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙は、昨日、家族の遺体を返せと武装警察の面前で線香を焚いている女性の写真を載せた。彼女は彼女らの夫や息子の遺体を求めて警察署の前で跪いている何十人かの女性の一人であった。
香港の新聞は、殺害の犠牲者の親類の一人であるウエイ・ジン(31)の次のような言葉を引用している。官憲は、家族が遺体を引き渡した場合に口止め料を支払った。「彼らはわれわれにかなりの金額を提供したが、われわれは遺体を諦めねばならぬだろうと言った」とこの村人は言った。
この民間人の射殺は、1989年の天安門事件の血の弾圧以来、中国の漢族多数派の中では民間人に対して使われた武力の最も激しい例である。1997年にイニンにおける未確認数のウイグル人の抗議者を公安警察が射殺して以来最大の事件である。
東州村での衝突は、急速な経済的発達と広範な土地投機とともにやってきた土地収用、腐敗、環境汚染に対する全国的な抗議の波の最も新しいものである。
今年、公安相チュウ・ヨンカンは、大衆抗議は、1994年の1万件に対して2004年には7万4千件に増加したと述べた。
この事件の不平の種はシゴンザイに建設中の火力発電所と東州村の風力発電所である。両村は、香港の東の沿岸部のシャンウエイ市の一部をなしている。村人達は、収用された土地と干拓のために駄目になった漁業基地に対して支払われた補償が不適切であることに不満を述べている。
シャンウエイ市役所の声明によると、両村から来た数百人の村民は、即席で作られた鋭利な武器や火炎瓶や漁業用のダイナマイトで武装し、先週、月曜日と火曜日に風力発電所を襲撃した。火曜日の夕方、「暴徒は警察に爆発物を投げた」と新華社通信は述べている。
「警察は警告の上、発砲せざるをえなかった。混乱のなかで3人の村人が死に、8人が負傷したが、そのうち3人は重傷である。」
[訳者の感想]この記事を書いたのは北京駐在の『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙の通信員ハミッシュ・マクドナルド記者です。中国の暴動もだんだんエスカレートしているように思います。これに比べると諫早湾の干拓地締め切りに反対している日本の漁民の抗議などはおとなしいというべきでしょう。
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「高齢者の世話は誰がするのか」と題する『ロサンゼルス・タイムズ』紙の論説。

2005年12月11日 | 社会問題
高齢化の波はひたひたと押し寄せている。65才以上のアメリカ人は、現在人口の12%を占めているが、2030年には20%に達するだろう。この増大する数の高齢者の面倒を見る若い人たちの数が減るという事実にわれわれはどう対処しようとしているか?これは日曜日に始まるホワイトハウスの「高齢化会議」で答えられるべき重大な問題である。だが、それが答えられる兆候は少ない。
1961年にケネディ大統領がこのような会議を始めて以来、組織者は、よい考えを求めて国中の活動家や専門家に意見を求めた。それ以来、10年に一度開かれるすべての会議で、老齢化法の言葉を借りると、このようなアイデアは、「収入、住宅、健康、雇用、定年退職、コミュニティ・サービスの領域」での改善に集中してきた。
だが、ブッシュ大統領によって会議の立案に任命されたドーカス・ハーディが私に語ったところでは、「今度の会議は違います。」一つは、その指導的哲学は、個人の責任を強調し、連邦政府の行動を余り強調しない。彼女が会議から何が結果すると期待しているのか私は尋ねた。
「健康なダイエットと運動です」と彼女は答えた。更に彼女は、「長期的なケア」に言及したが、すぐに「すべてが連邦政府や州政府の責任になるのではありません」と付け加えた。
今年の会議は他の点でも違っている。その組織化は今までで最も小さく、最も遅い。2004年の末まで、役人達は会議を開くかどうかで揺れていた。
「老齢化に関するカリフォルニア委員会」のメンバーであるマービン・シャクターによれば、「今回は、やり方は上意下達である。主催者は、「公聴会」を開いたが、彼らは話し手を選んでいて、われわれは聞き役だった。」
一つだけは確かである。つまり、テクノロジーに発言権があると言うことである。ワシントンのコンベンション・センターの1万平方フィートある「空想のパビリオン」には、33個のテクノロジーが展示され、その中でグランド・ケア・システムの「リラウエア」は、家庭の寝室にいる高齢者患者の日常の動きを報告することができる感知装置を展示している。
見学者は、人員が減らされた家庭看護のフロアーを歩き回る「パール」に出会うかもしれない。それは入居者に食事をし、飲み物を取り、薬を呑み、トイレに行くことを思い出させるロボットである。彼女は、テレビの天気予報やプログラムを教えてくれる。カーネギー・メロン大学とピッツバーグ大学の研究者によって開発された「パール」に資金を提供したのはインテル社である。カーネギー・メロン大学のロボット工学研究所によれば、「パール」のようなロボットは「社会的相互作用」を可能にする。
勿論、実生活では、ケアをするのは、人間である。高齢者が受けるケアの三分の一は、家族や友人によってただで提供される。その多くは、フルタイムの仕事を持つ40代から80代までの女性である。このような女性は、仕事を辞めることはできない。彼女たちが年を取っても、行政は、仕事を止めることを欲しない。ドーカス・ハーディがコメントした通り、「われわれは定年者がゴルフ・コースを歩くのを止めて仕事に戻ることを望んでいます。」だが、「お祖母さんの看護」と「政府から多くを期待するな」と「仕事をし続けよ」というレトリックの間に捕まって、これらの女性は、どこでもゴルフ・コースには近寄れない。
男性はどうか?彼らはもっと老人の世話をしている。ある研究によると、何らかの老人看護をしている男性の47%と女性の53%は、自分を第一次的な看護人であると述べている。
更に、女性は、より多く食事を与え、風呂に入れ、トイレに付き添うなどより長い時間を提供している。身体不自由な夫の看護をしている女性は、週に28時間、看護に従事している。身体障害の妻の看護をしている夫は、週に15時間を看護に当てている。身体が不自由な両親の面倒を見ている娘は、週に13時間を看護に当てている。息子は、10時間を当てている。
息子や娘、姪や甥達は彼らの愛の労働をしているのだ。だが、高齢者の多くは、ぎりぎりの生活をし、家庭のヘルス・ケアのための時間を州政府が短縮するのに直面している。ロサンゼルスのような都市では、輸送が問題である。看護の家庭に、看護者は、行ったり来たりしなければならない。ケア・ウアーカーの間の年間の転換率は、非利益の家庭看護では60%に達し、利益と引き替えの看護では100%に達している。これらの必要に対応する費用は、減税と戦費に消えている。だが、高齢者看護の第三シフトを会社における第一シフトや家庭における第二シフトと結びつけようとする戦っている人々にとっては、本当の英雄的な戦いは、家庭戦線にある。
「高齢者会議」で何が起こるか注目しよう。だが、これまでのところは、ブッシュ政府は、大波を乗り切るのに、小型ボートしか約束していない。確かにわれわれはボートをよく漕がねばならず、正しく食べ、体操をし、前もって計画しなければならない。だが、ボート漕ぐだけでは十分ではない。われわれは「空想のパビリオン」が老人と彼らを幸福にする無給にせよ有給にせよ、看護者のための公的政策を展示すること望んでいる。ロボット「パール」については、彼女をそれを作った工場に送り返そうではないか。
[訳者の感想]12月10日号に掲載されたアーリー・ホックシルドという人の論説記事です。
彼女はカリフォルニア大学バークレー校の社会学担当の教授です。小さい政府を目指して、社会保障を削減することに一生懸命なブッシュ政府に対する厳しい批判がなされています。恐らく小泉政府もおなじようなことを考えていると思います。私のような老人にとっては海の向こうの人ごとだとは思えません。
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「外国人に気をつけろ」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2005年12月10日 | 差別と格差
ホアン・カルロス・ピサロ・ヤギは、本当にぞっとする犯罪のゆえに責められている。先月末、彼は下校の途中彼のアパートの前を通り過ぎた木下あいりという七歳の少女に近づいた。次の90分間に彼は彼女の遺体をダンボール箱に入れ、近くの駐車場に捨てた。
この犯罪は街路が安全で暴力犯罪の割合が比較的低いことで知られた日本に衝撃を与えた。目下のパニックは、児童に対する犯罪に対する自然な反応である。だが、メディアが正しい見方を見失っている点は全く許し難い。
容疑者がペルー国籍の日系人であると同定されるやいなや、メディアは、この国が外国人犯罪の波に支配されていると宣言した。
最近の見出しを書く人たちは、訓練の初期において、ある犯罪容疑者の国籍は大部分の事例において関係がないということを学ぶ。日本ではそうではない。ここでは「尊敬すべき」普通新聞も読者の外国人嫌いの本能につけこむタブロイド版新聞と同様に有罪である。
日本のよりリベラルな日刊紙である『朝日新聞』は、「ペルー人に対する人狩り」に同調している。殆ど例外なく新聞やテレビやラジオなどのメディアは、ヤギの国籍を強調している。一言言わないと気が済まない専門家達は、木下あいり殺人事件によって引き起こされた本当の問題点である学校の安全などを無視して、法律を遵守する家主に対して外国人が明らかに引き起こす脅威に焦点を当てている。
昼のテレビに登場する怖い顔をしたレポーターは、容疑者の名字を用いるという通常のやり方に反して、容疑者を「カルロス」と呼び捨てにしている。だが、もし、「ヤギ」という名字を用いれば、彼らは、容疑者の先祖が日本人であることに注意を引きつけ、彼が「よそ者」であるという印象を弱めただろうに。
この戦術は、人権問題の運動家を怒らせた。「日本人の大多数は、このような犯罪を行う人々は自分たちとは違うのだと感じたいのだ」と東京に本部がある「あらゆる形式の差別と人種主義に反対する国際運動」の事務局長であるモリハラ・ヒデキは言った。
「そういう風に考える場合、彼らは犯罪者は全く別だと言うことに満足する。そしてそのことは外国人嫌いの雰囲気を作り出し、メディアはそれを容易にしている。」
申し分のないタイミングで、警察は、ヤギを逮捕した日に、今年の最初の六ヶ月の間に、1万860人の外国人が逮捕されたという記録を公表した。
数日の間隔をおいて、法務省は、外国人に長期滞在ビザを発行する政策の見直しを告知した。(ヤギ容疑者は、非出勤の理由で、自動車のパーツ工場の職から解雇されたとされるが、彼は偽の旅券を携帯していたとされている。)政府は、外国人犯罪を撲滅するために委員会を立ち上げると宣言した。
モリハラ氏は、犯罪者数の公表のタイミングは、偶然の一致ではないと思っている。
「政治家達は、国民に対するコントロールを強化したいと思っている。彼らがそれをする一つのやり方は、彼らが国民を危険から、つまり外国人から守っていると多数の国民に言うことである。」
彼はまた地方のメディアが、文脈とは無関係にレポートした公的統計の価値を疑っている。
「第一に警察は、逮捕者のかずだけ報告した。もし特定のグループだけを目標にするなら、逮捕者の数が増えるのは当然である」とモリハラ氏は言う。
「犯罪数が、外国人と日本人との人口の比に比例していることを見れば、犯罪率は同じである。外国人犯罪だけが問題だと言うのは正しくない。」
多くの日本人はモリハラ氏の関心に同意する。ウエッブ・サイト「今日の日本」で、高橋ユキ(18)は、次のように述べている。「日本のメディアは、ここでは大きな役割を演じている。彼らは外国人達はわれわれの社会の厄介者であるというイメージを作りつつある日本人は、外国人を差別する傾向があり、それは自慢できることではない。」
だが、メディアに動かされた疑惑と無知の雰囲気が続く限り、このような見解は少数派に留まるだろう。
政府は理解を増進するために、日本人と外国人とを結びつける機会を作り出すべきだ」とモリハラ氏は言う。「だが、メディアの力を借りて、彼らはまさに日本人と外国人とを切り離している。」
[訳者の感想]ジャスティン・マッカリー記者の記事です。殺人事件の報道の仕方の背後に日本人の外国人に対する差別感情が働いていることを鋭く指摘していると思います。
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「日本はイラク政府に油田修理のための低利の借款を供与」と題する『アルジャジーラ』の記事。

2005年12月07日 | イラク問題
 日本政府の対イラク借款の正確な額は決まっていないが、液化天然ガスや原油輸出のための設備及びバスラ港の精製所を再建するために使われる。
 イブラヒム・ジャファリ・イラク首相の東京訪問の間に合意文書に調印された。
 火曜日の時事通信によると、石油基金は、日本政府がイラク政府に対して約束した35億ドル(4,200億円)の借款の一部である。
 二階通産相とイラク石油相イブラヒム・バール・アル・ウルムとは、「石油と天然ガスの分野はイラク再建のカギであるとう見解を共有する」と述べた。両大臣は、円借款に対してイラク政府が提出した要望書に書かれた石油と天然ガス・プロジェクトを推進する重要性を確認した。
 時事通信によると、アル・ウロウム石油相は、総額35億ドルにのぼる借款のうちの20%から30%を石油分野が受け取ることを要望した。
日本はまた石油とガスの技術者に対する訓練を提供する予定であり、そのために、2006年以後、2年間で1千人のイラク人技術者を受け入れる用意がある。
50億ドルの援助を約束することによって、日本はイラク再建において高姿勢を保っている。
 約15億ドルが既に支出されたが、日本は、サダム・フセインを倒したアメリカのイラク侵攻後の混乱のただ中で借款を供与することを停止していた。
 日本政府は、600人の兵士を比較的安全なイラク南部の都市サマワに派遣した。第二次大戦後初めてまだ戦闘が行われている国に兵士を派遣した。月曜日にジャファリ首相に会った小泉首相は、日本国内では人気がない兵士の派遣を更に延長することを約束した。
 新聞記者に対してアル・ウロウム石油相は、イラクが来年、戦争前の日量260万バレルの水準に到達するために原油生産を25%増やすことを計画中であると述べた。
 ロイター通信の記者に来年度の生産目標を聞かれて、ウロウム石油相は、「戦争前の水準」と答えたが、これは日量260万バレルである。
 イラク石油相はこれ以上詳しく述べなかったが、日本の通商産業省の高官は、輸出は、現在の160万バレルから、200万バレルに増えるだろうと述べた。
[訳者の感想]このニュースを聞いたかどうか分かりませんが、アルカイダのナンバー・ツーであるアイマン・ザワヒリは、テロの攻撃目標として石油のパイプラインを挙げたそうです。果たして予定通りの石油を輸出することは出来るのでしょうか。
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「イスラム急進主義と共産主義に共通点はあるか」と題するブレジンスキーの論説。

2005年12月05日 | イスラム問題
12月4日付『ワシントン・ポスト』紙に掲載。
アメリカ国民に向けて最近行われた一連の演説において、ブッシュ大統領は、現在のテロリズムの脅威と20世紀の共産主義的全体主義とを同一視しようと試みた。テロリストの挑戦は、範囲がグローバルであり、本性において「邪悪」であり、敵に対して無慈悲さであり、生活と思想のあらゆる点をコントロールしようとしている。だから、テロリズムに対する戦闘は、「完全な勝利」以外にはないと彼は主張する。
大統領は、テロリズムに言及する際、繰り返し「イスラム的」という語を用い、「イスラム急進主義の残忍なイデオロギー」と「共産主義のイデオロギー」とを比較した。
イスラム急進主義と共産主義によって引き起こされた類似の危険という大統領の診断は歴史的に正しいであろうか?それらの間の類似性よりも相違のほうがもっと明白である。
「共産主義のイデオロギーと同様、イスラム急進主義はわれわれの新しい世紀の大きな挑戦である」と主張することによって、ブッシュは、暗黙の内に、オサマ・ビン・ラディンの地位と歴史的重要性をレーニンやスターリンや毛沢東と同等であるとしている。そしてそのことは、洞窟の中に潜んでいる(あるいは既に死んでいる)サウディ・アラビアからの亡命者が普遍的な重要性をもつ教説を述べていると示唆することになる。大統領のアナロジーによれば、ビン・ラディンの「ジハード」(聖戦)が国家や宗教の境界を越えて何千万にもの人々の心を支配する力を持っているということになる。これはビン・ラディンに対する全くのお世辞であって、正しいとは認められない。「イスラムの聖戦」は、せいぜい世界の多くの人の共感を殆ど得ない断片的で限られた運動に過ぎない。
これと比べて、共産主義は、疑いもなく、世界的なアッピールを持っていた。1950年代まで、その国がキリスト教的であるか、イスラム的であるか、ヒンヅー教てきであるか、ユダヤ教てきであるか、仏教的であるか儒教的であるかとは無関係に、行動的な共産主義運動がない国は世界に一つもなかった。ロシアや中国のようないくつかの国では、共産主義運動は、最大の政治的な組織であって、知的言説を支配していた。イタリアやフランスのような、民主主義国では、それは開かれた選挙で政権を争った。
産業革命によってもたらされた混乱と不公正の対して、共産主義は、完全に公正な社会というビジョンを提供した。確かに、そのビジョンは間違っており、ときにソヴィエト連邦の強制収容所や中国の再教育のための強制労働所や他の人権侵害に通じる暴力を正当化するのに使われた。にもかかわらず、共産主義の未来像は、文化的相違を越えたアッピールを生み出した。
それに加えて、共産主義イデオロギーの知的政治的挑戦は、巨大な軍事力によってバックアップされていた。ソヴィエト連邦は、巨大な核の貯蔵庫を持ち、アメリカに対して数分かかれば発射する能力があった。
現代のテロリズムは、イスラム的であろうと他のものであろうと、犯罪的であるけれども、共産主義ほどの政治的なリーチは持っていないし、物理的な能力ももたない。ソノアッピールは、限られていて、近代化とグローバル化という新しいディレンマに対して難の答えももたない。「イデオロギー」をもつと言われるが、それは宿命論とニヒリズムの奇妙な混ぜ合わせにすぎない。アルカイダの場合、それは孤立した集団によって支えられているが、その行動は、法皇からサウディ・アラビアの聖職者にいたる多数の宗教者によって断罪されている。
その力も限られている。それが頼りにしているのは、ありふれた暴力の道具である。共産主義体制とは違って、アルカイダは、テロを間欠的な戦術として用いているだけで、組織的な道具としては用いていない。その構成員は、イデオロギーによってではなく、戦術によって束ねられている。最後に、アルカイダや他の関連したテロリスト集団が本当に破壊的な力を手に入れるかもしれない。だが、われわれは、可能性と現実性とを取り違えてはならない。
共産主義との類比は、短期的な政治上の利益は持つかもしれない。なぜならば、それは再び過去の恐怖に火をつけるかも知れない。しかし、恐怖を宣伝することは、重要なマイナス面をも持つ。それは恐怖に駆られた国民を作り出す。
特に問題なのは、ブッシュが最近の演説で、多くのモスレムにとってイスラム嫌い的な言語に響くものに依存している点である。彼は全体としてのイスラムについて語っているのではないと断っているが、「イスラム急進主義者の殺人的イデオロギー」とか「イスラム的急進主義」とか「戦闘的なジハディズム」とか、「イスラム・ファシズム」とか、「イスラムのカリフ制」にしばしば言及している。
このような用語法は、意図しない帰結を持つかもしれない。穏健なモスレムを動かす代わりに、繰り返しイスラムのテロリズムに言及することは、穏健なイスラム教徒に腹を立てさせ、ブッシュの反テロ・キャンペーンは、イスラム全体に対するキャンペーンなのだ思わせる。彼らは、北アイルランドのIRAやスペインのバスク独立運動を断罪する際に、アメリカが「カトリック・テロリズム」であるとは述べないことに気づく。
ただ一人主要な外国の政治家で現代のテロリズムの脅威のイスラム的側面を強調する点でブッシュに近いのは、ロシアのプーチン大統領である。プーチンは、自己決定を主張するチェチェン人の運動に対する彼の容赦ない戦争を正当化するのに、「イスラム・テロリズム」という表現をしばしば用いる。それによって、ロシア国内のモスレム人口との間に緊張を生み出している。
アメリカに対するモスレムの政治的反感とより広範で強力なイスラムの宗教的同一性との融合を生み出すことは、中近東におけるアメリカの利害に反する。
この融合は、以前に共産主義によってもたらされた組織的軍事的脅威と比較にすることによってテロリズムが蒙っていた弱点を補うファナチックな強度をテロリズムに与えることになる。大統領が、テロリスト集団を孤立化させ、彼らの自爆者リクルート・キャンペーンを無効にする政策を追求するのに失敗すれば、アルカイダや類似の組織の限界は変わるだろう。
中近東におけるアメリカのプレゼンスの軍事的な性格は、この変化を生み出すのに貢献するかもしれない。シカゴ大学政治学教授のロバート・ペイプは、現在の自爆テロリストの動機づけを分析した。多くの場合、攻撃者の基本的きっかけは、外国の侵入者に対する敵意であることを彼は証明した。最近のテレビとのインタービューで、彼は、「われわれの軍隊がアラビア半島に長く留まれば留まるほど、第二の9.11の危険が増大する」と結論した。
イスラム嫌い的な用語法や共産主義に対する勝利を思い出させることは、中近東を平和化するためにどのような政策が必要であるかを公衆に理解させるのに役立たない。
[訳者の感想]ブレジンスキーは、カーター大統領時代の国家安全顧問でした。ブッシュ大統領の演説が反って広範なイスラム教徒の反感を呼ぶことを指摘し、大統領に用語に気をつけよと注意しているのです。ライス国務長官には出来ないようです。

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