海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「東欧でロシアに対する不安が増大」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年07月25日 | 国際政治
それからほんの六年しか経っていない。第二次イラク戦争が始まる数週間前に、八っのヨーロッパの国家元首や首相は、「八人書簡」を書いた。その中で、彼らはブッシュの率いるアメリカ合衆国に対してサダム・フセインに対する措置で連帯することを保証した。一人のポーランド人と一人のハンガリー人と一人のチェコ人(ヴァツラフ・ハーヴェル大統領)が署名者のなかにいたが、後は西ヨーロッパ人だった。新たに欧州連合に加わった東欧圏の国は、盲目的にアメリカ一辺倒であり、具合の悪いことにブッシュに従順だった。
だが、『八人書簡』は、大急ぎで作成された。ありもしない統一をあるかのように見せかけた。数週間経つと、新たに選挙されたチェコ大統領ヴァツラフ・クラウスは、志願者の連合から脱退した。軍事的伝統を自慢するポーランドと基本的に平和主義的な気持ちのチェコとはあまり結びつかない。ここ数年のロケットによる防衛の傘につなぎとめようとする試みは、うまくいかなかった。ワルシャワでは超党派の合意が得られたが、プラーグでは、果てのない内輪もめと市民の抗議に出会った。
今度は、22名の政治家が一通の書簡を書いた。今度は、それは東欧からの書簡である。確かに今度は、元大統領たちだけだが、転換と欧州連合加盟を達成した世代である。署名者のリストには、エソトニアからブルガリアまで、ハーヴェル、ワレサ、クワシネフスキーが含まれている。今度の書簡は、米国に対する憂慮の書簡だ。オバマのモスクワとの関係の「リセット」は、われわれに何をもたらすか?われわれは世界史の影の部分に落ち込んだのか?
「22名書簡」からは、二つの憂慮が語っている。一つは、プーチン時代の始まり以来、ロシアの新しい政策に結びついている非常に具体的な恐れである。エネルギー確保が語られ、隣人たちの現実的利害と歴史的経験を尊重しないモスクワの意志が語られている。ロシアは、21世紀の手段を使って、19世紀の目標に到達しようとしているという参加者たちの診断は、当っているだけでなく、それはモスクワ政府にはおそらくお世辞だと評価されるだろう。しかし、北大西洋同盟(NATO)がどのように新しい同盟構成員に対して適用されるのかという問いも出されている。条約の第五条は、東の境にあるエストニアにも適用されるのか。ロシアとの国境にある町ナルヴァのために死ぬ覚悟が、西ヨーロッパ人にはあるのか?
 他の心配は大西洋の向こう側との関係に向けられている。米ロ関係において、上位に置かれた利害、つまりイラン問題のために犠牲にされるのではないかという恐れは、重大である。しかし、中欧と東欧の国々においても、大西洋の向こう側との関係を脱色させる展開が遂行されている。ベルリンの壁崩壊以後、東欧には、アメリカとの共感が存在した。しかし、永遠に続くものは何もない。利己的な計算、地域主義、それどころか正真正銘のヨーロッパの孤立主義と「俺だけはゴメンだ」という態度が、東欧にも広がっている。(後略)
[訳者の感想]西欧と東欧の接触点にあるドイツ人は、東欧人の考え方もよく理解しているように見えます。米中関係が変われば日本に大きな影響が及ぶことは避けられないでしょう。さあ、日本はどうするか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「インドネシアで、イスラム... | トップ | 「中国、フランスで城ごと葡... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国際政治」カテゴリの最新記事