海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「どうしたら、アフガン人を8週間で警官に仕立てられるか」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年06月28日 | アフガン問題
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TBS

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 いつかアフガニスタンから撤収できるだろという連合国の希望は、アハマド・ワヒードのような人々の肩に懸かっている。灰色の制服を着、ずんぐりしたこの男は、パキスタンとの国境の地方であるマタ・カーンの警察署長である。彼は自分の職業を共産主義者が支配していた1980年代に警察大学で学んだ。現在、彼にどのようにして手錠をかけるか、通行人の武器を調べるかを説明しているのは、私営の警備会社に雇われたアメリカ人の元警官である。
彼の42名の部下と一緒に、彼はアフガン東部のジャララバードの訓練地にいる。彼らが援助を必要としているわけは、彼らが定期的にタリバンの攻撃の犠牲となっているからである。数ヶ月前、反乱勢力は、警察署を襲った。現在、8週間の集中訓練が実行されている。ワヒードの部下たちは、危険な職業に備えている。昨年一年間に、825名から1,119名の兵士が殺された。
これはそう驚くことではない。国際共同体がアフガン以外で警察の建設にこれほど失敗したところはどこにもない。長い間、アフガン軍の訓練が優先されてきた。その間に将軍たちも開発支援者たちも、警察を等閑視するのは間違いだということを認識した。「陸軍の養成は、前進したが、警察の養成は、遅れている」と国際援助部隊の司令官であるデイビッド・マッキーマンは述べた。(後略)
[訳者のコメント]日本がアフガンに自衛隊を派遣するようなことになると、警官養成も頼まれるかもしれないですね。
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「金正日は、ブッシュの承認を勝ち取る」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2008年06月27日 | 北朝鮮問題
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金正日は重要な成功をねらっている。ワシントンは、他の国から切り離されたこの飢えた国に対する貿易制裁を止め、「テロ支援国」のリストからはずす予定だとブッシュ大統領は、議会で宣言した。
反対給付として、北朝鮮は実験室、研究所、試験場など核施設の記録を手渡した。それ以外に文書は、平壌が寧辺の反応炉から得たプルトニウムの量も暴露する予定だ。アメリカ人は、その量を37キログラムだと見積もっている。
これらすべてはいわゆる六者協議での何年もかかった綱引きの後に北京で合意に達した。
これで、朝鮮半島は原爆を持たなくなると外交官たちは見ている。
その第一歩として、朝鮮人は、寧辺にある出力5メガワットの反応炉を解体し、彼らの核計画についての情報を提供するはずである。その報酬として、彼らは100万トンの重油を受け取る。最後の段階では、米国が北朝鮮を外交的に承認し、平和条約を締結するはずだ。というのは、1950年から53年まで続いた朝鮮戦争は、形式的にはまだ終わっていないのである。
北朝鮮は、二つの重要な条件を満たした。つまり、国際的な専門家の目の前で、古くなった寧辺の反応炉を停止し、再濃縮装置も停止した。今週金曜日、冷却塔が爆破される。政権はそのためにわざわざアメリカのテレビ局の入国を許可した。(以下省略)
[訳者の感想]精製したプルトニウムはどこにおいているか、核弾頭はいくつ作ったかは、白状していないようです。これで「朝鮮半島から核兵器がなくなる」とは思えません。
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「欧州連合は、魅力的でない」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年06月23日 | 国際政治
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 たとえば、ペーター・ヒンツェだ。彼に対して、多くの否定的な意見が述べられた。彼が彼の下手な演説者たちに対してそういう意見を言うことを容易にした。学習した牧師が顔に浮かべるような無邪気さは、しばしば、全くたちの悪い狡猾さであると解釈された。
このことは、幾つかの不幸な事情と関係がある。この青年みたいな外見をもった男は、1992年に当時の雄牛みたいな無鉄砲なフォルカー・リューヘの後継者として、CDUの総書記になった。ヘルムート・コール党首は、ドイツ統一の偉業を成し遂げた直後だった。あまりうれしくない改革の数年が始まり、1998年にはコールは政権を失った。ペーター・ヒンツェは、この政策を攻撃的に先鋭化するというありがたくない課題を背負った。
1994年に連邦議会選挙戦で「赤いソックス」キャンペーンを彼が思いついたとき、彼はそれで左翼連合の危険を警告したのだが、彼の思い通りにはならなかった。多くの人々には彼は相変わらず「冷戦」にこだわっていると思われた。
だが、この判断は、公平でない。ヒンツェは、1998年に総書記を辞任して以来、欧州政策に目を向けた。彼は「ヨーロッパ国民党」の副議長になり、7年間、「ヨーロッパ問題のための研究グループ」の議長だった。
ここでは、彼は彼を取り巻く一様な親切さで、正しい場所にいた。EUは、爆発的な気質を持った人物には耐えられなかったが、決して衰えない精力で毎日大きなEUというジュウタンを織る人物を必要とした。EUは、落ち着いた継続者を必要とした。
 国境と遮断機が消えたので、彼らの値段表は、かなり上昇した。だが、ナチの前に逃亡した人たちは、ヨーロッパにあった沢山の国境を賞賛した。国が小さければ小さいほど、隣の国の岸に着くのは容易だったからだ。
 不統一にもチャンスはあるということを、EUを作り上げた人たちは忘れてしまった。彼らは大陸に目の細かな規則の網を投げる権力に駆り立てられた官僚だと思われた。(後略)
[訳者の感想]欧州議会を動かしている人たちがどういう種類の政治家なのかが分かるような解説だと思います。
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「AKPはどのようにトルコ人をイスラム教に強制しているか」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事

2008年06月21日 | イスラム問題
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もし、トルコ全土がアナトリア南部の都市デニズリのようであったら、イスラム色の濃厚な与党の社会プロジェクトは、もっと進んでいるだろう。もっと敬虔なコンヤ以外のどこにも、人口に比べてより多くのモスクがある町はない。経済の大部分は、いわゆるイスラム系ホールディングから成り立っている。それは「コーラン」の利息禁止にしたがおうとしている企業である。ますます多くのコーラン学校が存在する。スカーフをかぶっている女性の割合は、地方のジャーナリストによると、ここ数年で、少なく見積もっても4倍に増えた。
ここに住んでいる人間にとって、AKPが支配する年月に、息の詰まるムスリム的な社会の基質が成立した。町を立ち去る以外にそれから逃れることはできない。「キャリアを積もうとする人は、地方政治で働くか、行政機関で働くかどちらかであり、彼の妻は、イスラム風の頭巾を着けなければならない」と弁護士のザフェル・ゲネンクは言う。労働市場を提供しているのは特に繊維産業であるが、それは特にイスラム系企業からなっている。その社長は、アンカラやイスタンブールに住んでいる古いケマル主義的なブルジョアとは全く異なる人生哲学をもっている。「仕事をほしい人は、敬虔に見えなければいけない。女性なら、頭巾をかぶっていなければいけない。そうでないと、職業につけない」とある労働組合員は言った。
「アルチンバサック」という繊維工場を訪問すると、彼の言ったことが正しかったことが分かる。頭巾は、女子行員にとっては、工場の制服の一部だ。
AKPの地方行政は人気がある。その理由は、それが3万人の人々に石炭や食料品や他の援助サービスを提供しているからだ。しかし、また、敬虔深く見せかけるうまい手がある。頭巾をかぶった妻を自分の前に押し出すのだ。そうしないと、何ももらえない。市の行政から何かを手に入れようとする人、たとえば、建築許可を手に入れようとする人は、敬虔な人たちの陣営に数えられているかどうかが重要だ。(以下省略)
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「カルザイは、タリバンをパキスタン領内まで追跡」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年06月16日 | アフガン問題
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「アフガニスタンは、国境を接するパキスタン側に起源があるテロリズムの犠牲だ」とカルザイは、日曜日に、カブールで述べた。
「数千人のタリバン兵がそこからアフガンに派遣されている。だから、われわれは自衛の権利がある。」パキスタン西北部の国境地帯は、アフガンニスタンのタリバン兵とアルカイダのテロリストにとって退避地だと見なされている。
カブール政府は、過激派に対して断固たる態度を取らないとパキスタン政府を非難し、パキスタン政府はその言い分を退けた。
過激派タリバンの兵士900人がカンダハルの監獄から脱走した後、アフガン治安部隊は追跡を継続している。
 「作戦は継続されている」とカンダハル州の警察長官のサイエド・アガ・サキブは、言った。地域の治安部隊を応援するために、アフガンの陸軍のさらなる部隊がこの地域に投入された。解放された囚人のうち、15名以上が殺された。5名のアフガン人と外国人の反政府兵士は、拘置されたと米軍は述べた。
 これらの犠牲者と逮捕者が本当に、金曜日の夕方、解放された逃走中の囚人であるかどうかは、はっきりしていない。
 過激派は、暗闇に紛れて、建物を占拠した。アフガン軍の報道官の述べたところによると、カンダハルで、1059人の囚人のうち、892人が逃走、そのなかの、389人がタリバン兵である。カンダハルは、過激派イスラム主義者の牙城だった。(後略)
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「社会民主党は、生き残りを巡って戦っている」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年06月08日 | 政治と文化
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安室奈美恵
エイベックス・エンタテインメント

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 繰り返し握手や肩たたき。「ウイリー・ブラント総合学校」の食堂には、ボトロップのSPDが地域党大会のために集まっていた。たいていのメンバーは、大昔から知り合いだ。ウイリー・クレテックは、30年以上も、候補者選考委員会の委員長をつとめている。30年前から彼は三番目に演壇呼び出される。この晩もそれに対して拍手があった。
クレテックが以前と同じだからだ。彼がSPDの他の多くの人たちのように変わらなかったからだ。彼の立ち居振る舞いは、SPDが自明のように政権を握り、ヘルベルト・ヴェーナーが炭坑地帯で「社会民主主義の中心」について語ったあの時代の想い出と結びついているからだ。あの当時、炭坑夫や溶鉱炉の工員や金属労働者は、一致してSPDを選んだ。たいていの地方行政を、SPDが牛耳っていた。教師もSPDだった。それで現在は?現在、ノルトライン・ヴェストファーレン州を支配しているのは、CDU(キリスト教民主同盟)であり、SPDは、世論調査では、ドイツ中で第二党に転落した。
水曜日に同士がボトロップに集まったとき、夕方のテレビニュースでは、これまで最低の記録が表示された。ドイツ人の20%がSPDを選ぶだろうと、フォルサの世論調査の結果が伝えられた。「第一テレビ放送」の世論調査では、24%だった。SPDの党首クルト・ベックは、左翼政党の議長オスカー・ラフォンテーヌの下だった。
 秋には、SPDが政権政党になってから10年経つ。本来は、SPDはそれを祝わなければならない。それどころか、創立145年目に、SPDは、国民政党としての生き残りを巡って戦わなければならない。
 ボトロップで開かれた地域党大会で議長のハンス・ペーター・グリムは、「CDUとFDP(自由民主党)とが地方選挙を「ヨーロッパの日」にしようというのは汚いやり方だ」と非難した。そうすると、投票参加者数は減るだろう。それはSPDにとっては不利だ。CDUとFDPがその計画を実行すると、社会民主党はひょっとするともっと地方行政を失うかもしれない。そうなると、ノルトライン・ヴェストファーレン州は、リュットガースの天下になるだろう。
[訳者の感想]SPDが政権党になって、10年経ち、最近、党内の意見対立がひどく、国民の支持をだいぶ失っているようです。秋の地方選でSPDは各州で多数党になることができでしょうか。
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「世界銀行、食糧危機に対する援助を声明」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年06月04日 | 貧困問題と食糧問題
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 世界的な食糧危機に対する戦いで、世銀は今週木曜日に、12億ドルの援助を申し出た。この新しいプログラムは、世界の最も必要としている人々に対する緊急援助に当てられる予定だと世界銀行総裁のロバート・ゼーリックは述べた。この措置がなければ、「高騰した食糧価格は、最貧の10億人をまもなく20億人にするだろう」と彼は述べた。新しい援助は、特に貧困な国々に対する2億ドルの緊急援助を含んでいる。人道援助組織は、この声明を歓迎した。新たな援助支出と並んで、世銀は、来年から、世界中の農業経済に対する援助を毎年60億ドルづつ増やすとゼーリックは、付け加えた。現在の状況は、「明確な行動計画を要求していると、世銀は来週ローマで開かれる食糧危機のためのサミットに先立って考えている。
昨年中の消費財価格の高騰は低開発国では、住民の貧困化を招いた。彼らは収入の大部分を食料のために支出しなければならない。かなり多くの国では、高騰した食糧価格の結果、飢饉による暴動が起こっている。多くの国は、自国の国民の食糧を確保するために、輸出制限を始めた。
新たな援助計画は、学校給食、種子や肥料の供給、給水施設の建設、最貧の人たちに対する食糧供給に当てられる。2億ドルの援助は、木曜日に、リベリア、ハイチ、ジブチに対して保証された。六月には、トーゴ、イェーメン、タジクスタンに保証されると世銀は述べている。
国際的な援助組織であるOxfamの報道官は、世銀の声明を歓迎した。「世銀は、過去の食糧危機に対して、指導的な役割を演じた」と述べた。
同様のより政治的な前進が、来週ローマで求められる。食糧保全のための国際会議は、火曜日から開かれる。
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「攻撃は、最善の防衛か」と題する『メルクーア』紙の論文。

2008年06月02日 | 国際政治
スターダスト・ランデヴー井上陽水・安全地帯LIVE AT 神宮
井上陽水・安全地帯,井上陽水,安全地帯,松井五郎,忌野清志郎
ユニバーサル インターナショナル

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(前略)
民主社会は、それ自身が攻撃されない場合、戦争遂行のために経済的社会的人道的費用を負担する用意がどれほどないかが新たに明らかになる。第一次大戦後、勝者も敗者も、自分たちの経済的社会的に崩壊した社会を再建しなければならないという問題に直面した。ヨーロッパの参戦国のどれも、それが戦争を始めたときのように戦争を終結することができなかった。英国の実質収入は、戦争開始時よりも10%から20%も低下した。フランスでは、収入は4分の1減った。民主主義の存立にとって本質的な中間層も、ヨーロッパの広い地域で経済的に貧困になり、政治的に過激なった。
民主制がはその習慣に反して、軍事的に攻撃的になると、少し後にそれはこのことを後悔する。フランスとイギリスは、1956年のスエズ危機でこの経験をした。パリとロンドンは、最終的に世界勢力の地位を失った。今日、アメリカ経済とドルがそうであるように、当時、英国の経済とポンドが下落し、第三世界での体面を失った。第三世界では、イギリスとフランスの植民地の残りが、独立運動を始めた。
 その10年後、イスラエルは、同様の経験をした。7日戦争の数ヶ月後、国防相だったモシェ・ダヤンは、ベトナムを訪問した。彼の結論は、「アメリカ人はここではすべてを手に入れた。戦争以外は。」というものだった。1967年6月にはイスラエルについて反対のことを言うことができた。「彼らが手に入れた唯一のものは、戦争だった。」占領した地域での住居の建設とともに、パレスチナ人難民問題と並んでそれ以上の政治的な問題が生じ、それが中近東を今日まで不安定にしている。土地と平和とを交換できるという希望は、これまで満たされなかった。反対である。あの戦史において例のない勝利の後40年以上経った現在、戦場でのイスラエル人の驚嘆すべき仕業のうちのいくらも残っていない。パレスチナ人の領土をイスラエルが占領して数十年の間に役割が入れ替わった。ダヴィデはゴリアテになってしまった。防衛する者は攻撃する者となり、イスラエルに対する連帯は、パレスチナ人に対する連帯に変わった。(後略)
[訳者のコメント]ボン大学講師で歴史家のトーマス・シュペックマンが書いた論説です。
戦争が果たして国家が望むことを達成するのかを疑っている論文です。
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「ギュンター・グラスが企画したロシアでの作家たちの集会」

2008年06月01日 | 人物
常務島耕作 6 (6) (モーニングKC)
弘兼 憲史
講談社

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 ある日、アレクサンダー・ヴァシリエヴィッチは女に変身した。彼はある写真館で自分の写真を撮らせた。初めは、酔っぱらって幾つかの写真を取り間違えた写真家のだらしなさだと思われたものは次には悪夢へと変わり、最後には否定できない事実だと判明した。アレクサンダーが実際、アレクサンドラ・ヴァシリエヴィッチになり、彼女は、最後に、あるロシアの核実験施設で放射能を浴びたために、インポテンツになった大佐によって結婚させられ、奇妙な性転換の幸福な果てにいくらか得ることができるという筋の小説。
カブトムシに変身したグレゴール・ザムザを巡るカフカの物語の変形を書いたのは、1963年カザフスタンに生まれたディミトリ・ゴルチェフである。彼は10年前からペテルスブルクに住んで、小説を書いている。グロテスクの程度を高め、少しも亜流には見えない物語は、明らかにギュンター・グラスの趣味に合っている。なぜなら、彼はゴルチェフのウイットと魅力をほめたからだ。その後で、自分のベルリンを舞台にした小説『意地悪の羊』を朗読したカチャ・ランゲ=ミュラーは、この不条理な物語の中に「オポチュニズム」の定式を発見し、ゴルチェフが彼女自身の読み方を超えて、テキストについての意味の権利を読者にゆだねているという理由で、ゴルチェフを賞賛した。
 グラスが2007年の夏にペテルスブルグで自分より幾つか年上で病気のために体が不自由になっているロシア人作家のダニエル・グラニンに逢い、共同でドイツとロシアの作家の出会いを考え出したとき、彼は明らかにこのような事態を予想していた。ペテルスブルグにある「ドイツ文化センター」の所長であるラルフ・エッペネーダーは、この計画を取り上げ、10ヶ月前から、ミュンヒェンの「ドイツ文化センター」本部からの応援を得て、モスクワ在住の作家立ちだけが問題視しているこの文学の中心での会合を立ち上げた。
[訳者のコメント]これがきっかけとなって、新しい現代のロシア人作家の作品がどんどんドイツ語に翻訳されることになるかもしれません。
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