海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「我が中国」と題する『オブザーバー』紙の9月18日の記事。

2005年09月23日 | 中国の政治・経済・社会
記事の筆者シンランは、文化大革命の間に中国で育ったジャーナリスト。
上海では、ビルは非常に速く建てられるので、私はコンピューター・ゲームの中にいるような気持ちになる。私は一年に二度中国を訪れるが、そのたびに、私は上海が劇的に変化しているのが分かる。最後に訪れた際、私が本当に中国人だったのかと疑った。
私は、1958年に北京に生まれた。文化大革命のとき、私の両親は、投獄され、私は孤児院に入れられた。私が中国国内を旅行し、見たものにショックを受けたのは、私が80年代にジャーナリストになったときだった。
今日でさえ、国民の78%は農民である。四月に、私はその生活が限られた食糧と彼らが栽培する野菜に依存している人々に会うために、北京の北へ車を走らせた。都市と田舎の生活には大きな開きがある。
中国の5千年の歴史で、私たちは、外国に開かれたことが二度ある。最初は、1840年のアヘン戦争のときで、次は、1980年代である。私がジャーナリストとして、旅行したとき、人々は西欧的なものを疑うことなく尊敬した。トップの知事でさえ外交官をマクドナルドに招待した。昨年彼らは紫禁城内にスターバックスを開いた。彼らはそれが西欧文化と中国文化の完全な統合だと考えたのだ。
20年のあいだにあなたは街路を西欧の金やアイデアで変えることができる。だが、あなたは、人々の心や歴史や文化をそう素早く変えることはできない。2003年に初めて許可がなくても、自由な旅行が認められた。それ以前には許可なく旅行すると逮捕されたのだ。多くの人々は、隣村で何が起こっているかさえ知らなかった。今や、彼らは自分の目で教育される。それは私たちが以前には持っていなかった自由である。
西欧は、数百年間自由と民主主義をもっていた。中国はもう二世代必要とする。しかし、私はすべては非常に肯定的な方向に進みつつあると考える。
原注:シン・ランは、『中国の善良な女』の著者である。彼女の最新作『空の埋葬』は、ヴィンテージ社から出版された。貧困の中で育っている中国の子供のための募金活動は、
www.motherbiridge.orgに見いだされる。
[訳者の感想]中国の民間人の意見はなかなか聞けないので、貴重な記事だと思い、訳しました。中国が開かれたのが二度だけだというのは過小評価だろうと思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アルカイダ、ロンドンテロを認める」と題する『シュピーゲル』紙の記事。

2005年09月20日 | テロリズム
テロ組織アルカイダのナンバーツーである、ザワヒリが組織の名前で、はっきりとロンドンテロ攻撃の責任を認めた。アラブ系のテレビ局「アル・ジャジーラ」が放映したビデオで彼は犯行を白状した。
カイロ発:「祝福されたロンドン征服は、アルカイダが傲慢な十字軍である英国に対して遂行する名誉を持つ征服戦争の一つである」とビデオの中でザワヒリは述べた。
彼は同時に、日曜日に行われたアフガニスタンでの議会選挙を批判した。「選挙は軍閥の監視の下で行われた」と彼は明らかにアフガンニスタン政府を当てこすった。アフガンニスタンでの選挙に対して言及していることから、このビデオテープがごく最近のものであると推測される。
これまでいくつかの集団がオサマ・ビン・ラディンの率いるアルカイダの名前で7月7日の地下鉄とバスに対するテロ攻撃を告白した。このテロ攻撃で、56人が死に、700人以上が負傷した。犯人は4人の英国生まれのイスラム教徒だと思われている。
アル・ジャジーラ放送局は、9月初めにテロリストの一人であるカーンの犯行を認めるビデオを放映した。この中でカーンは、アルカイダ組織に対する彼の賛嘆を言い表した。放送局の予告に反して、このテープでは、テロ組織自体の告白は、見られなかった。アルカイダと結びつきのある二つのグループが同様に犯行を認めた。警察は、テロ攻撃にはアルカイダ組織の影がちらつくと断言していた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国連サミットについての『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2005年09月18日 | 国連
「ニューヨークの苦渋」と題する記事です。
国連サミットが始まった9月15日に、既に損失決算が出された。国連事務総長の野心的な改革案から出てきたのは、かき回された文書であったが、それはこの組織をあちこちで少しは前進させると思われる。
だが、この文書は、国連の効率と信頼性を推し進めないだろう。たとえ国連が不透明な出来事やスキャンダルや正当性の核心に達する不和の後で、そのような後押しを必要とするにしても。多分、妨害に協力した者達もいつか、安全保障と進歩と人権のための北と南の大取引が成立しなかったことを残念に思うだろう。
主役を演じようとしなかった国の一つは米国である。彼らは無数の変革の願望でもってますます小さくなる期待の否定的スパイラルを進めた。犯罪的な政府の下部委員会になって、評判を落とした人権委員会に替わるはずの新しい人権理事会の創設を妨害したパキスタンやエジプトのような国々の貢献は、恥ずべきである。改革の途中にある国々が弁護人になるだろうということは、間違った連帯性の表現であった。
疑いもなく、コフィ・アナンは、この日の負け組であった。初めて彼の管理能力が殆ど壊滅的な仕方で批判された。彼が国連の現実を次の点にもたらすならば、それは苦渋に満ち、しかも諦めがこもって聞こえる。国家は、豊かな国も、貧しい国も、強い国も、弱い国も、国連では自分たちの利害を追求して、空想的な全体の幸福などは追求していないといういうのだ。
更に、既に安全保障委員会の最前列にいて、広告をした国々もがっかりさせられれた。理事会は、拡大されず、抵抗は大きすぎた。時としてファナティズムと盲目性とが結びついたドイツ連邦共和国の理事会拡大の野心は、大きかったが、失敗は、大音響を立てた。
[訳者のコメント]安全保障理事会のメンバーになろうとするドイツも日本も今度は失敗しました。国連を殆ど頼りにしていないアメリカは、既得権だけは守りたいようで、日独の前途は多難なようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ニューディール政策ではない」と題するポール・クルーグマンの論説。

2005年09月17日 | アメリカの政治・経済・社会
ニューディール政策以来のアメリカの救援と復旧のプログラムが始まる。前兆は良くない。
イラクを保守主義の経済政策の実験場に変えようとしたブッシュ政府は、同じことをメキシコ湾岸でもやろうとしている。カール・ローブが政府の回復計画を展開するのを助けた「ヘリティジ財団」は、既にカトリーナ以後の政策についてマニフェストを公表した。それは、環境ルールに対する権利の放棄、キャピタルゲイン税の廃止、災害地域での公立学校の建物に対する私的所有を要求している。そして「カトリーナ」で殺された人のいくらかが、--大抵は貧しい人々であるが、--150万ドル(1億5千万円)の財産を持っていれば、ヘリティジ財団は、彼らの相続人に対して財産税を免除することを望んでいる。
更に、保守主義者でさえ規制緩和や減税や私有化だけでは十分ではないということを認めている。復旧には、多くの連邦政府の支出が必要である。財政赤字に対する影響はおくとして、イラク戦争と莫大な再建努力に直面して減税の大盤振る舞いを見るはずであるが、これはもう一つの問題を投げかける。つまり、どうしたら自由裁量可能な政府支出が、同様に大規模な腐敗を引き起こさないで、なされうるかという問題である。
フランクリン・ルーズヴェルト大統領が1930年代に証明し、連邦政府支出の拡大を管理したように、正直に巨額の支出をすることは可能である。けれども、ニューディール以前に腐敗していると見なされた公的救援のイメージは、実際、著しく改善された。
それはどのようにして起こったか。答えは、ニューディール政策は、潜在的な腐敗に対するそれ自身のプログラムを規制することから崇拝の対象を作った。特に、ルーズヴェルト大統領は、雇用促進局(WPA)における不正行為についての苦情を調査する強力な「促進調査部」を創設した。この部局は、非常に効率的であると分かったので、後の議会調査は、それが見逃した重大な不規則性を見つけることができなかったほどである。
この正直な政府への約束はルーズヴェルト大統領の個人的徳の印ではなかった。それは政治的命令を反映していた。ルーズヴェルトの大統領職の使命は、政府の能動主義が機能しているということを示すことであった。その使命が信頼できることを主張するために、彼は彼の政府の記録を清潔に保つことが必要だった。
だが、ジョージ・W・ブッシュは、ルーズヴェルトではない。実際、重大な点で、彼はルーズヴェルトの反対である。
ブッシュ大統領は、政府の能動主義に対立する政治哲学に賛成している。それが彼ができるところでは、常にプログラムを縮小し私有化しようと試みた理由である。彼は社会保険(それはルーズヴェルトの最も偉大な遺産なのだ)も私有化しようとしている。彼の政策の失敗でさえ、彼の支持者を困らせない。多くの保守主義者達は、カトリーナに対する間の抜けた反応を自分たちの政府に対する信念の不足の言い訳であると見ていて、ブッシュ氏に対する自分たちの信念を考え直す理由だとは見ていない。
良い政府が可能であることを示すのに何の関心もないブッシュ政府の特徴を示すことは、それ自身を研究することをいやがってきた点にある。反対に、ブッシュ政府は、腐敗調査を阻止してきたし、それ自身の調査官が彼らの仕事をしようとすると、彼らを処罰した。
これがブッシュ氏が昨夜、自分は「あらゆる支出を再吟味する検査官のチームを作るだろうと約束した理由なのだ。誰がこの検査官になるにせよ、彼らは、バンナティン・グリーンハウスの運命を思い出すべだろう。彼女は、陸軍工兵隊の非常に尊敬された会計検査官であったが、彼女がイラクにおけるハリバートン社の契約について質問を出した後で非常に貧弱な財務報告しか手に入れられなかった。彼女は、先月降格された。
州政府や地方政府に基金を譲渡することは、答えにはならない。ルーズヴェルト大統領は、実際、地方の政治家からコントロールを取り去ることを主張した。当時も今も、恩恵は地方政治に大きな役割を演じている。
ミシシッピ州やルイジアナ州の住民に対するわれわれの同情は、彼らの州の政治文化に対してわれわれを盲目にしてはならない。ニュースレター「企業犯罪報告」によると、昨年、州の住民一人頭の腐敗有罪判決の数によれば、ミシシッピ州がランク一位であり、ルイジアナ州は、第三位であった。
ブッシュ氏が正直な復旧プログラムを請け合う何らかの方法はあるのか。ある。彼は復旧費用支出についての決定を政治から切り離し、政治的に独立した人あるいは(良き信頼の印として)民主党員をヘッドにした自立的な管理局の手におくことである。
昨晩、彼はそれをしなかったし、多分しないだろう。メキシコ湾岸の再建が、失敗したイラクの再建と同様、縁故主義と腐敗によって深刻に傷つけられるだろうと信じる十分な理由がある。
[訳者のコメント]ブッシュ政権になってから、縁故主義がはびこり、無能な人物が要職について大きな損害を与える例が目につきます。クルーグマン先生の舌鋒はますます鋭さを加えてきたように思います。日本でもこれぐらい鋭い政治・経済の評論ができる人はいないのでしょうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「グローバルな企業、気候変動を鼻であしらう」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2005年09月15日 | 環境問題
世界の最も大きな企業の100社以上は、気候変動に対する企業態度についてのグローバルナな調査を鼻であしらった後で、地球温暖化に目を向けていないと非難された。
航空機製造会社の「ボーイング」社、コンピューターの巨人「アップル」社、オンライン小売業の「アマゾン」社、サンとタイムズを発行している「ニュース・コーポレーション」社が、「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」からの調査に応えなかった組織の一部である。この「プロジェクト」は昨日、ニューヨークでその調査結果についての報告を発表した。
ロンドンに本拠を持ち、11兆ポンド以上の連結評価を持つ機関投資家のために行動しているこのプロジェクトは、世界中の最大の企業500社の会長に対して、気候変動は、彼らの企業にどれほど大きなリスクを引き起こしたか、温室効果ガスを減らすために彼らが何をしているかを尋ねた。回答を寄せた354社の内、90%は気候変動が商業リスクあるいはビジネスチャンスを引き起こしたと答え、63%は彼らが温室効果ガスの排出を削減する処置をとったと答えた。
プロジェクトのコーディネーターであるポール・ディッキンソンは、次のように述べた。「投資家達は、気候変動が企業の財務成績に重大なインパクトを与えつつあるに関心を持っている。われわれを通じて、彼らは彼らが所有している企業に対して彼らが誰が勝ち組で誰が負け組であるかを決定するのに必要な情報をほしがっている。企業が返答しなかったので大変がっかりさせられた。このような企業は自分の態度に関していささか不注意であると言うことは筋が通っていると思う。
「モーガン・スタンレー」社、「タイム・ワーナー」社、「ハーレー・ダヴィッドソン」社、「ウオール・マート」社も調査に回答しなかったか、回答を断った。
「BスカイB」は、調査に対して、「気候変動と気候変動に対する政策の反応は、当社に商業リスクと商業チャンスを与える」と答えた。だが、「BスカイB」の株主である「ニューコーポレーション」社の広報担当は、「メディア企業には炭素問題はないと言うことは明白だと思う。あなたがたがわれわれのビジネスにとって関係のない問題でなぜわれわれを選び出したのか理由が分からない」と述べた。
「地球の友」と一緒に気候キャンペーンをしているキャサリン・パースは、次のように述べた。「これはショッキングで、時代遅れです。沢山の人たちの目には、こういう企業は、馬鹿げて見えるでしょう。彼らは彼らの周りで起こっていることを何度認めるのを拒むことができるのだろうか。」彼女は調査を歓迎しているが、回答が自己回答であることを指摘し、自分たちは行動をしていると言った企業が彼らの約束を守るかどうかチェックすることは難しいと指摘した。
[訳者のコメント]環境問題についての企業の取り組みは、まだまだ十分ではないようです。ISOの規準などはまだ余り重視されていないのでしょうか。メディア企業が、どの程度、炭素を排出しているのかどなたかご存じではありませんか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党の大勝についての英国『ガーディアン』紙の記事。

2005年09月12日 | 日本の政治と経済
タイトル:「最後のサムライは、政治を変革できた。」と題するサイモン・ティスドール記者の9月12日付けの記事です。
 小泉純一郎は、日本政治の「スドク・パズル」である。何も加わるようには見えない。だが、どういうわけか、最後にはうまく行くのだ。だが、昨日の衆議院議員選挙の地滑り的勝利は、彼を戦後最も長く政権を握った首相の候補にした。彼はポップ音楽のアイドルのように扱われ、「ライオン・キング」というあだ名が付いている。だが、彼の禁欲的な生活スタイルは、最後のサムライに似ている。
2001年に首相の座に着いて以来、小泉氏は、政治改革を行うのに失敗した。だが、郵政民営化法案が自民党内の反乱者によって参議院で否決された後で公示された選挙で彼は空前の改革の信任を得た。英国の用語を使うなら、これは「第四条項運動」である。そして、それは日本の政治を恒久的に変えることができた。
「小泉は、見破れない人物だ」とウオーウイック大学のクリストファー・ヒューズは言う。「だが、基本的に彼は彼自身の党の中の既得権や攻撃し、地元に利益をもたらす政策を止めることに関心をもつ政治改革者だ。」
「彼は自分の政治生命を犠牲にする危険を冒すほど、それについて真剣だ。多分チョッピリサムライだが、もっと『特攻隊』に似ている。『特攻隊』とは、文字通りには、炎の中に飛び込む覚悟のある『特別攻撃隊』のことだ。これが彼を非常にただならぬ政治家にしている」とヒューズは言った。
小泉氏は、現在、「大きな政府」を縮小する計画を加速し、自由市場政策を拡大し、年金を改革し、老齢化に対する健康保険を改革するだろうと期待されている。日本の戦後の社会契約を用いた潜在的な対立が、自民党をイデオロギー的に分裂させ、政治勢力の再編成をもたらした。
しかし、行政権力を常に集中することによって、小泉氏は、仕事のための道具を持っていると京都大学のマチドリ・サトシは、「ジャパン・エコー」の中で述べた。トニー・ブレアのように、彼は「大統領風の首相」として知られている。
小泉氏の再選は、海外でも波紋を呼ぶだろう。中国と韓国は、彼の在職中に緊張が高まったので、彼の成功を歓迎しないだろう。「彼は実際はナショナリストではない。だが、彼は日本が大きな力として扱われることを望んでいる」とヒューズ教授は言う。「彼は反中国であることに関心はない。だが、私は彼が恐らく再び靖国神社を参拝するだろうと思う。」日本の戦時中の死者に対する参拝は、ペキンから猛然たる抗議を呼び起こした。
だが、日本がもっと広い地域の安全保障で大きな役割をはたすことを望んでいるワシントンは、この結果に喜んでいる。小泉氏は、ジョージ・ブッシュの再選を公然と支持し、イラクに非戦闘部隊を送った。
「小泉は、日本を普通の軍事力に変えるように憲法を改正すること、日本が米国あるいは台湾のような他の国をたすけることができることを意味する集団的自衛を可能にする新しい法律を支持している」とヒューズは言った。これは潜在的に国内においても海外においても爆発的である。
けれども、最後までパラドクシカルであるので、小泉氏は、彼の総裁の任期が切れる来年九月には、首相を辞任する。彼は規則を変えることはできるが、彼はそうしないだろうとこれまで言い張ってきた。これまた、小泉の謎の中の無数のパズルの一つだ。
[訳者のコメント]小泉首相は、海外の論調でも、かなり謎めいた人物だと受け取られているようです。さて後一年の任期中に果たして日本の政治はどうなるのか、国民としては非常に気になるところです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アフガニスタンで暗殺増える」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年09月11日 | アフガン問題
カブール発:アフガンの国防相ラヒム・ワルダクは、暗殺を生き延びた。彼がカブール空港でヘリコプターに乗り込もうとした際に、数名の男達が大臣の車列に銃弾を浴びせた。国防省のスポークスマンによると、9名のアフガン兵容疑者が逮捕された。
「これは国防相に対する暗殺の試みだった」と国防省のスポークスマンであるモハメド・サヘル・アシミは述べた。4発の銃弾が車列に当たったが、そのうち1発は、少し前に国防相が座っていた場所に当たった。車の一台に乗っていた国防省の職員の一人は、弾が当たって怪我をした。
暗殺の目的については、さしあたり、情報は寄せられていない。政府の高官によると、兵士の中には、給与について不満を持った者がいるとのことである。
9月18日に行われる議会選挙の候補者が、ヘラートで殺された。これまで既に6人の候補者が殺され、沢山の候補者が暗殺を免れた。金曜日に初めて、役所は、5人の遺体が見つかったと告知した。死者の一人は、選挙の候補者だった。
今年初めから、アフガニスタンでは、殺人行為が増大している。特に、南部と東部で増大している。1月以来、既に1,100人以上が殺された。昨年は1年間の暴力行為による死者は約850人であった。
[訳者の感想]最近、アフガニスタンで殺された2名の日本人はどうも強盗に会ったようですが、政治的な理由で行われる暗殺事件も増えているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「米国で40万家族が難民登録」と題するドイツの『ネット新聞』の記事。

2005年09月09日 | 災害と事故
ブッシュ大統領は、洪水犠牲者に官僚的でない援助を約束した。その間、約40万家族が「緊急事態管理庁」に「難民」として登録された。
ブッシュ大統領は、災害地から疎開された家族に2千ドルを即座の救援費として提供しようとしている。ブッシュによれば、既に40万世帯が「連邦緊急事態管理庁」に登録された。家を失った人たちが身分証明書を失い、衣服を取りかえることもできないでいる。
大統領によると、避難民は、「難民」として登録することができる。まだ、1万人の人間が把握されていない。
木曜日に、ブッシュは、チェイニー副大統領を災害地に派遣した。ミシシッピー州のガルフポート市に滞在中、彼は救済措置に大きな感銘を受けたと語った。
木曜日に公開された「ピュー研究センター」の世論調査によると、質問された人の3分の1は、ハリケーンの犠牲者をもっと素早く助けるために、ブッシュはもっと沢山しなければならなかったのにしなかった、と答えた。1000人の被質問者の内、40%はもっと大きなテロ攻撃に対する連邦政府の能力に対する信頼を失ったと答えた。
何ダースかのインターネットを利用した詐欺師が、カトリーナを種に一儲けをたくらんでいる。フロリダ州とミズーリ州の検事は、二人のインターネット詐欺師を告発した。寄付金を集めるという口実で、彼らは寄付申し出者にクレジット・カードの番号を聞き出した。別のウェッブサイトは、援助を申し出た訪問者を人種主義的組織へと誘導した。FBIの述べるところによると、ハリケーンについての情報と援助を提供するサイトの数は、2,300に達した。そのうち数ダースは怪しい。
ロシアも米国に人道的支援を送った。ロシアの災害防御省の輸送機2機がモスクワ近郊の飛行場から飛び立った。両方のイリューシン-76型機は、ハリケーン犠牲者に対する援助物資--テント、毛布、インスタント食品など--を搭載している。
両機は既に二日間滑走路で待機していた。アメリカ航空局は、どの空港が援助機を受け入れられるかを決定することができなかったのだとロシア災害防衛省は言っている。
アメリカ国務省によると、まだ880名の外国人が災害地域で行方不明になっている。その中には、数百人のフランス人や英国人がいる。在米ドイツ大使館によれば、僅かの例外を除いて、行方が分からなかったすべてのドイツ人の居場所が明らかになった。
公式の死者の数は、約300名である。しかし、ルイジアナ州の保健局によれば、この数字は、毎日急速に増えている。ニュー・オルリーンズの市長レイ・ネイガンは、死者の数を1万人と見積もっている。
木曜日に米国は、国連にヨーロッパからの援助を輸送する際に大きな役割を引き受けるように依頼した。それゆえ、昨年創設されたNATOの災害時介入軍が初めて、投入されることになるかもしれない。
[訳者のコメント]「避難民」が「難民」登録されたというは驚きです。まさか、NATOの介入軍の出動第一号がアメリカになるとは、創設当時には予想されていなかったと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「軽蔑による殺人」と題するクルーグマンの論説。

2005年09月06日 | アメリカの政治・経済・社会
カトリーナ以来、毎日、連邦政府の役人の致命的な愚かしさの証拠がもたらされている。私は州政府や地方の役人を無罪放免する気はないが、連邦政府の役人は、違いをもたらしたであろう資源に対するアクセスを持っていたのに、それを動員しなかったのだ。
ここに多数の例の一つがある。『シカゴ・トリビューン』紙によれば、「U.S.Sバターン病院」は、手術室6つ、数百のベッド、毎日10万ガロンの新鮮な水を作り出す能力があるのに、先週月曜日以来、一人の患者も迎えず、無為に過ごしていた。
専門家が言うには、自然災害後、最初の72時間が即座の行為が多くの命を救うことができる重要な窓である。けれども、カトリーナ後の行動は、即座どころではなかった。『ニューズ・ウイーク』誌の報道では、「奇妙な麻痺」がブッシュ行政府の中に起こり、彼らは何千にもの人たちが死にかけているのに、行動方針について議論していた。
一体、何が麻痺を引き起こしたのか?ブッシュ大統領は、確かに彼のテストに落第した。9.11以後、この国が彼から必要としたのは、演説だった。今度は、必要なのは行動だった。そして彼は行動しようとしなかったのだ。
だが、連邦政府の役人の致命的な愚かさは、ブッシュ氏の個人的不適切の結果ではなかった。それは公共の善のために政府を使うという考えそのものに対するイデオロギー的な敵意の結果だったのだ。25年間も、右派は、公共部門を軽蔑し、政府は常に問題であって、問題の解決ではないとわれわれに言い続けた。われわれが政府による解決を必要としたときに、それがすぐに間に合わなかったということに、われわれはなぜ驚かなければならないのか?
空港の安全を連邦政府の管理下に置くことを巡る闘争を誰か覚えているだろうか。9.11の後でも、行政府と議会の保守派は、空港の保安を民間会社の手に置いたままにしようとしたのだ。彼らは国民の安全にある致命的な穴をふさぐことよりも、連邦職員が増えることを心配したのだ。
勿論、空港の保安を私的にしておくことは、哲学に関わる問題ではなかった。それは私的利益を擁護する試みであった。政府に関するイデオロギー上のシニシズムは、政府の支出をあなたの友人に報いる一つの方法だと扱う用意に変形する。結局、政府は何も良いことをするとは信じないならば、なぜそう信じてはいけないのか?
この問いは、われわれを「連邦緊急時管理局」(FEMA)に連れて行く。前のコラムで、私は、ブッシュ行政府がFEMAの有効性を壊したかどうかを尋ねた。今、われわれはその答えを知っている。
FEMAの遺憾とする状態についての最近のニュースの分析は、管理局の無力化を国内安全省
編入したことのせいにした。後者の主たる関心は、テロリズムであって、自然災害ではない。だが、問題になっている変更は、事態の重要な部分ではない。
第一に、FEMAの弱体化は、ブッシュ大統領が職務に就くや否や始まった。災害に対応して管理局を指揮する専門家を選ぶ代わりに、ブッシュ氏は、政治上の側近であるジョセフ・アルボウを任命した。アルボウ氏は、素早くFEMAの緊急準備プログラムのいくつかを削除し始めた。
あなた方は、行政府が9.11以後、緊急準備に対する敵意を修正すると期待したかもしれない。結局、危機管理は、自然災害を追求する場合も、テロリスト攻撃の後においても重要である。多くの人々が気づいたように、カトリーナに対する対応の失敗が示しているのは、われわれが今日、四年前よりもテロリスト攻撃に対処する用意ができていないということである。
しかし、アルボウの後任として、マイケル・ブラウンが任命されたことで、FEMAの降格は続いている。
ブラウン氏は、アルボウと大学の寮の同室者であったという以外、はっきりした資格がない。だが、ブラウン氏は、FEMAの次官となった。『ボストン・ヘラルド』紙によれば、ホースショウを見ていたために、前職を逐われた。
アルボウが辞任したとき、ブラウンは、管理局の長官になった。この任命の粗末な縁故主義は、行政府が管理局に対して感じた軽蔑を示している。人は管理局のスタッフのモラルに対する影響を想像することができる。
この軽蔑は、善をなす力としての政府の役割に対する敵意を反映している。メキシコ湾岸に住むアメリカ人は、いま、あの敵意の結果を刈り取ったのだ。
行政府は、いつも9.11を善対悪についての教訓であると扱おうとしている。だが、災害には、それが悪人によって引き起こされたのではないとしても、対処しなければならない。今、われわれはなぜわれわれが役に立つ政府を必要としているか、なぜ献身的な公僕が尊敬に値するかについてもう一つの致命的な教訓を持っているのだ。われわれは聞く気はあるのだろうか?
[訳者のコメント]ハリケーン・カトリーナの災害に対するアメリカ政府の対策がどう見ても後手後手である理由が、「連邦緊急時管理局」を軽蔑したためであるとクルーグマンは指摘しています。二つ前に翻訳した論説と趣旨は同じですが、語調はさらに厳しくなっています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「不健康な生活をしている人は、薬代を自己負担すべきだ」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年09月04日 | 健康
小見出し:かなり多くの患者は、安逸のせいで生活態度を改めないで、安易に薬を飲んでいると医師会会長イェルク・ディートリヒ・ホッペが批判。
フランクフルト発:医師会会長イェルク・ディートリヒ・ホッペは、医薬費支払いの削減を要求した。「将来、生活習慣を変えることで、自分の病気をコントロールしようとしない被保険者に対して薬代を負担すべきではない」と連邦医師会会長は述べた。
ホッペは、かなり多くの患者が安逸のせいで、生活習慣を変えないで、例えば血圧を下げる薬を呑んでいるということを指摘した。生活習慣の変更には、運動、アルコール飲料、タバコなどを呑まない、自発性訓練などが含まれている。「薬信仰」は、ドイツではどこよりも強く示されている。いわば自助可能な患者に対して、保険庁が医薬費を負担することは、正当化されないとホッペは強調した。なぜなら、それは、もともと「自己責任」であるからである。
この医薬費の自己負担の前提となるのは、医師による詳しい診療と情報、教示である」とホッペ氏は述べた。「しかし、そういうものに対しては、保険庁は、金を支払おうとしない。」成功を収めるには、健康診断がはっきりと今より正当に評価されなければならない。「それは保険庁にも計算が合う。なぜなら、患者はその場合、もっと健康になり、薬はもっと少なくなるからだ。」
2005年度の前半に被保険者は、約3,800億円の追加支払いを必要とした。それは改革以前の2倍の額である。厚生省大臣ウラ・シュミットによれば、保険庁は、1月から6月までに130億円余計に支払わねばならいと推定している。
[訳者のコメント]ドイツでも医療費の自己負担の割合が大きくなり、国民の間に不満があるようです。この医師会長の意見に対して批判が続出しているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「できまへん政府」と題するポール・クルーグマンの論説。

2005年09月02日 | アメリカの政治・経済・社会
9.11以前に、「連邦緊急時管理局」(FEMA)は、アメリカが直面するもっともありそうな破局的災害のリストを作った。第一は、ニューヨークに対するテロ攻撃、第二は、サンフランシスコの大地震、第三は、ニューオルリーンズに対するハリケーン災害だった。『ヒューストン・クロニクル』紙は、「ニューオルリーンズのハリケーンのシナリオは、全部の中で最も致命的なものかもしれない」と書いた。それは現在起こっているのと非常に似たあり得べき破局を描いていた。
そうだとすると、なぜニューオルリーンズと我が国はこれほど準備ができていなかったのか?9.11の後で、難しい問題は、国民の統一の名で先延ばしされ、それから過失隠しの厚いコートの下に埋められた。今回は、誰に責任があるかの説明が必要だ。
第一の疑問。救助と保安はなぜ到着するのにこれほど長くかかったのか。ハリケーン「カトリーナ」が上陸したのは、5日前だ。そして、先週金曜日には、カトリーナが巨大な損害をメキシコ湾岸に与えることは明らかだった。けれどもわれわれが進んだ国に期待した反応は、決して起こらなかった。何千人ものアメリカ人が死んだか、死にかけている。その理由は彼らが疎開することを拒否したからではなく、彼らが余りに貧しくあるいは病んでいて、助けがなければ脱出できなかったからである。多くの人々がまだ何らかの援助を受けなければならない。
連邦政府と州政府の反応についての沢山の疑問がある。彼らは貧しい人たちや病人に対してもっとしてやれなかったのか?だが、証拠は、連邦政府の反応における準備と緊急の欠如を指摘している。
適切な場所にある軍関係の資源さえ実行に移されなかった。ミシシッピ州ビロクシで出ている『サン・ヘラルド』紙の社説によると、「水曜日に、ビロクシ中学校の避難所で死と生き残りについて恐ろしい話を聞いた記者は、アイリッシュ・ヒル通り越しに北を見た。すると空軍兵士がバスケットボールや美容体操をやっているのが見えた。」
多分、行政の役人は、州兵が秩序を保ち、救援を送ることができると思ったのだ。だが、州兵の多くとその装備は、車両とともにイラクにいた。「州兵は、国内の治安任務を支えるために、装備を取り戻さなければならない」とルイジアナ州の軍将校は数週間前に記者に言った。
第二の疑問。なぜもっと予防的な行動が取られなかったのか?2003年以後、陸軍工兵隊は、洪水コントロールの仕事を遅らせた。「工兵隊は、イラク戦争における支出圧力が引き締めの理由であるという事実を隠そうとしなかった」と論説記事は述べている。
2002年に工兵隊の司令官は、隊の洪水コントロールの費用を含めた予算削減を批判した後で、辞めた。
第三の疑問。ブッシュ行政府は、FEMAの有効性を壊したのか?行政は、FEMAを望まない継子のように扱って、経験のある専門家の転出を導いた。
クリントン時代に、管理局の指導で超党派的賞賛を得たジェイムズ・リー・ウイット氏は議会の公聴会で次のように言った。「災害に備え対応する国の能力が大きく崩壊していることを非常に憂慮しています。緊急時管理者や地方や州の指導者から聞いたところでは、彼らがよく知っていて、一緒に仕事をしたFEMAはいまや消滅しましたと。」
これが無能力のお話しであるとは思わない。軍がメキシコ湾岸に救援に駆けつけなかった理由も、バグダッド陥落の後の略奪を止めなかった理由と同じである。イラクにいる部隊が適切な武装をしていないのと同じ理由で、洪水のコントロールは無視されたのだ。
基本的なレベルで、われわれの現在の政府は、政府の本質的な機能のいくつかに関して真剣でないと私は主張する。彼らは戦争をするのが好きだ。だが、彼らは安全を与えたり、困っている人を助けたり、予防的措置のために支出することは好きでない。そして彼らは国民に犠牲を共有してくれとは頼まない。
昨日、ブッシュ氏は、「誰も土手が壊れるとは予想しなかった」という全く度はずれた主張をした。事実は、まさにそのリスクについて繰り返し警告されていたのだ。
かって「なんでもできる」という態度で有名だったアメリカは、いまや「できまへん政府」を持っており、それはその当然の仕事をする代わりに言い訳をするのである。政府が言い訳をしている間に、アメリカ人は死にかけている。
[訳者のコメント]9月2日付けの『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載された論説です。金持ち優遇のための減税をやったせいで、財政赤字に陥り、軍隊に十分な装備もできず、災害の予防対策もやれないアメリカ政府を手厳しく非難する論説です。日本の政治家が唱える「小さな政府」も、多分「できまへん政府」になるのだろうと思います。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする