海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ケインズは、正しかった」と題するポール・クルーグマンの記事。

2011年12月31日 | 国際経済
「不況ではなくて好況こそ財政緊縮の好機だ」と1937年にジョン・メイナード・ケインズは断言した。ルーズベルト大統領でさえ、財政の均衡をあまりにすぐ取ることによって自分が正しいと証明しようとしていたときだ。だがそれによって、合衆国経済はひどい不況に陥った。経済が不景気のときに、政府支出をカットすれば、経済をいっそう不景気にする。緊縮財政は、強い回復が始まるまで待つべきだ。
不幸なことに、2010年末から2011年初めにかけて、西欧世界の多くの国の政治家たちや立法家たちは、自分たちの法がよく知っている、われわれは赤字に焦点を当てるべきで、就職口に焦点を当てるべきではないと思った。もっとも、われわれの経済は殆ど金融危機に続く不況から回復するかしないかだったのだが。反ケインズ的な信念に基づいて行動することによって、彼らは結局、ケインズがまたもや正しいといういうことを証明した。
ケインズ的経済政策が正しいと宣言することによって、私は、普通の智慧と食い違っている。特にワシントンでは、雇用の増大を生み出すためのオバマ大統領の刺激策は、政府支出が景気を改善しないということ証明したと見なされた。2009年度の回復・再投資法は、不況の深刻さに対しては、あまりに少なかった。そこで、われわれも政治的な反発が結果するだろうと予言した。
そういうわけで、ケインズ経済学の実際のテストは、経済を押し上げようとする連邦政府の気乗りのしない努力からは、出て来なかった。その努力は、州政府や地方のレベルでの削減によって、相殺された。そして、ギリシャやアイルランドのようなヨーロッパ諸国は、緊急貸し出しを受け取る代わりに緊縮財政を課された。それらの国々は、実質的GDPを二桁下げることによって、大恐慌レベルの経済不況を蒙った。[後略}

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