海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「強硬派が北朝鮮の政策をコントロールしている」と題する『アルジャジーラ・ネット』の記事。

2006年10月31日 | 北朝鮮問題
国際関係の専門家達として、シ・インホンは、核爆弾を爆発させたという北朝鮮の発表がどれほど東北アジア地域にインパクトを与えたかについて、危機の解決を見出す見込みについてアルジャジーラ局と討論した。
アルジャジーラ・ネット:月曜日の爆発は東アジアの安全保証にどんな影響を持っていますか?
シ・インホン:非常に深刻な影響を持っています。第一に、それは北朝鮮とアメリカとの間の現在の対立を大いに増大します。米国が北朝鮮に対する行動や政策において遥かに厳しい路線を取るだろうという可能性があります。
米国は現在、北朝鮮に対する制裁措置をプッシュしています。米国とその同盟国、つまり日本は、彼らの個別的な制裁を集団的な国連の制裁へと拡大しようと試みています。
現在の状況は、また、日本の軍事力と自衛隊の派兵を拡大しようとしている日本のナショナリストを勇気づけるでしょう。
目下のところ、それは少数派の意見ですが、北朝鮮の行動は、日本における核の選択を議論しようと望んでいる人たちを力づけるでしょう。そして、これは韓国でも起こっています。韓国は「太陽政策」を放棄しなければならないかもしれません。
更に、中国と北朝鮮との関係は、両国に深刻な緊張がある点にまで到達しました。
過去においては、中国は、北朝鮮が責任ある行動をとるように励ましましたが、もし、関係が引き続き悪化するならば、それは北朝鮮の偏狭な行動に貢献するでしょう。
米国や日本の経済金融制裁だけでなく、中国と韓国からの制裁によって、北朝鮮は国際的孤立に直面するでしょう。そして、それは政権の機能麻痺や崩壊の機会を増すでしょう。
アルジャジーラ・ネット:このような地域の核武装のシナリオはどんなものになりますか?
シ・インホン:韓国や日本が短期間に核武装するとは私は思いません。しかし、長期的には、両国では、核武装に賛成する意見が増えるでしょう。
アルジャジーラ・ネット:北朝鮮はなぜ核実験をしたのでしょうか?
シ・インホン:第一の理由は、過去数ヶ月の間に、北朝鮮の国内政策は変化しました。米国が金融制裁を打ち出した後、彼らの政策の中の穏健な要素は終わったと思います。
アルジャジーラ:次のステップは何ですか?
シ・インホン:北朝鮮の非常に特殊な厄介な性格のせいで、また、関係諸国のことなる戦略的価値のせいで、問題は非常に難しくなりました。
制裁だけが問題を解決するとは私は思いません。過去に中国や韓国が採用したソフト路線も問題を解決するとは思いません。非核化された北朝鮮を手に入れる問題を解決する確実な道は、見えません。
アルジャジーラ:六者協議に復帰することは可能でしょうか?
シ。インホン:もし、われわれがリアリストであって、この状況がどれほど厳しいかを考えるなら、特に、米国が金融制裁を停止することが六者協議への復帰の条件だと北朝鮮が要求していることを考えるならば、近い将来における六者協議の再開が期待できるとは思いません。
[訳者の感想]中国の研究者の意見がどんなものか分かるインタービューだと思いました。
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「中国、アフリカで大ばくち」と題する『アルジャジーラ』局の記事。

2006年10月29日 | 国際政治
現在の中ア関係についての新聞論調を読むと、悲観的な論調が多い。近年、世界の貧困大陸での政治的経済的プレゼンスを非難して、中国は大量殺戮の非難を受けているスーダン政府の支持者として、攻撃の的になった。
中国は、また、中国が莫大な量を輸入している石油を含めて、天然資源をため込んでいるとアメリカに批判されている。
加えるに、中国の会社は、アフリカ諸国の政治家やメディアによって安全操業が貧困であるとこと中国人労働者を輸出していると非難されている。特に、アフリカ市場に安い中国製の商品を溢れさせることによって、数十万人の生計を脅かしていると非難されている。
しかし、ある解説者は、これは植民地時代の繰り返しだと示唆するが、他の解説者は少し違った評価をしている。
「中国のアフリカ政策」
国連の「ミレニアム計画」の代表であるジェフリー・サックスは、8月に北京で講演を行い、中国の役割を「非常に積極的で重要である」と賞賛した。
貧困を減らし、基本的教育を改善するというこの計画の目標を推進するために、サックス教授は、中国のアフリカ政策がウイン・ウインの成果を上げていると示唆した。
国連主催の「中国・アフリカ・フォーラム」で講演した際、サックスは、「中国は、非常にプラグマッティックなアプローチをしている。中国は説教は少なく、より多くの援助を与えている。アフリカの指導者の圧倒的な感情は、中国の支持に対する感謝である」と述べた。
彼は、西欧の政府も中国の例をよく見て、学ぶことができると示唆した。
台頭する中国とどのように協調するかについてのグローバルな議論を反映して、中ア関係についての意見の二分は、この大陸で中国がどれほど影響を持ち始めているか、それが既存の利害関係に対してとのように挑戦しているかの尺度である。
冷戦の権力プレーの部分として、1970年代にアフリカへやってくることによって、中国の現在のサファリは、計算された商売人の本能に導かれていた。中国の官僚は、アフリカ大陸に、石油のような豊富な資源と安い中国製商品のための潜在的な消費者とを見ている。
高位の政治家は、訪問外交を繰り返している。温家宝首相は、六月にアフリカ諸国を訪問し、胡錦涛主席は、その2ヶ月前に訪問した。双方の貿易額は、中国商務省によれば、2001年には96億ドルであったが、2010年には千億ドルに達する予定である。
アフリカとの貿易関係におけるあらたなシフトが話題になっている。アフリカ大陸は、もはや、アフリカと発展した西欧諸国との間の伝統的な南北貿易パターンに依存しておらず、その代わりに、極東地域とインドとの関係に依存している。これはいわゆる南南関係である。
「アフリカの輸出」
先月発表された世界銀行の報告によると、グラフが示すところでは、アフリカの輸出の三分の一は、アジア向けである。2000年には、僅か14%にすぎなかった。同時にアジアの対アフリカ輸出は、一年に18%づつ増加している。世銀の報告書では、「新たなシルク・ロード」だと言われている。
「この新たなシルク・ロードは、世界中で最も貧困な3億人の人口を抱えたサハラ以南のアフリカに国際的統合と成長を急ぐ機会を与えた」と報告書は述べている。
「グローバルになれ」と北京政府に励まされて、中国の会社は、アフリカに広範に投資をしている。
しかし、ある西欧の政府とNGO及びアフリカのジャーナリスト達は、中国に貿易を超えて、広い社会的政治的争点、例えば良き統治や腐敗や人権などの争点を呼びかけるように頼んでいる。中国のアフリカ政策に対する批判は、このような政策が明らかに不在であることを理由にしている。
元国務次官補であるロバート・ゼリックの言葉を借りると、希望は責任ある関係者となりつつある中国に懸けられている。アフリカだけでなくイランや北朝鮮への行動に当てはまる言葉を使うと、中国が西欧の介入主義者モデルを受け入れことである。中国の外交を導こうとする試みにおいて、ブレア・英国首相は、彼のアフリカ委員会に中国代表を招待した。
北京のスーダンとの結びつきは、問題の一つである。この国の最大の外国投資家である中国は、スーダンの砂の中から、必要な石油の5%を得ており、ダルフール紛争に対して制裁を課そうとする国連の動議に拒否権を発動するぞと脅した。
中国には取引する際の透明性が欠けていることに対する憂慮も述べられている。『ニュー・ステーツマン』紙とのインタービューで、シェラ・レオネの「ナショナル・アカウンタビリティ・グループ」のザイナブ・バングラは、中国人は反汚職の仕事をむしばんでいると述べた。
「われわれは、汚職に反対する条約に15年間取り組んできた。中国がやってきて、彼らはそのどれにも署名をしなかった。アフリカ諸国の政府は、中国をG8に代わる国だと見るだろうと心配している。なぜなら、中国については、彼らは「良い統治」のことを心配する必要がないからだ。」
汚職監視グループの10月の報告によると、中国とインドとロシアは、海外で賄賂を送る傾向をもった最悪の共犯者にランクづけられた。(以下省略)
[訳者の感想]中国のアフリカ政策のどこに問題があるか鋭く指摘している記事だと思いました。
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「幸福な爆弾は、われわれにとって、悪いニュースではない」と題する『ガーディアン』紙のコメント

2006年10月18日 | 北朝鮮問題
 北朝鮮の核実験とその第2回実験についての準備の噂は、吹き荒れる冷たい風をアジアに送り込んだ。平壌は、国際的な弾劾の嵐に注意を払っていない。平壌は、国連のギャングばりの制裁を戦争の宣言であると特徴づけた。そしてもし米国あるいは日本が北朝鮮の船舶の臨検を始めるならば、金正日の政権は報復すると予想されている。
だが、少なくともブッシュ政府にとっては、北朝鮮のいわゆる「幸福な爆弾」は、完全に悪いニュースだとは言えない。実験は、「悪者国家」と大量破壊兵器の拡散についての警告を劇的にした。米国の政策が問題を悪化させたにしても。ワシントンの見解では、それは地域的戦略バランスを形成し直す機会を作り出した。
 コンドリーザ・ライス国務長官は、日本・韓国・中国・ロシアへの明らかな開始を求めて主発した。「北東アジアの大国にとって、北朝鮮の振る舞いは、われわれが共有している戦略的利害を明確にした」と彼女は述べた。「この地域のどの国もわれわれの共通の安全保障の重荷と利益とを分け合わなければならない。」ライス女史のメッセージは、特に中国に向けられている。中国は、その新興の超大国という地位が含む責任を引き受けなければならない。ワシントンの立場からすると、それは中国が伝統的な非干渉と非同盟への執着を終わらせることを意味する。北京がその匹敵する者のない影響力を持っている北朝鮮の場合には、それは中国が主導権を握っていることを意味している。
 米国は、北朝鮮の爆発で窓を揺さぶられた日本や韓国との防衛同盟にてこ入れする機会だと見ている。
日本はそれ自身の核兵器を製造すべきだという東京の最近の示唆に反対しながら、ワシントンは、安部晋三首相の新しい政府が日本の軍事的能力を拡大するのを止めようとはしないだろう。
 米国はまた北に対する韓国の「太陽政策」がやりすぎだったという見解を推し進めるのにこの機会を利用するだろう。増大する反米主義にもかかわらず、北朝鮮の好戦性は韓国人が米国との同盟と自分自身の行動を新たに眺めるように促した。「実験がわれわれの参加政策を再考しなけらばならない状況を作り出したというのは本当だ」と盧武鉉大統領は先週述べた。
 にもかかわらず、危機はライス女史やボルトン国連大使が信じているほど戦略的な分水嶺であることを証明しないかもしれない。北朝鮮の攻勢がそれに変化を与えなければ、韓国はそのアプローチを根本的に変更しないだろう。韓国は、平和共存とうまくいけば再統一にコミットしたままである。状況がエスカレートした場合、直接の被害を蒙るのはソウルである。
 中国の観点では、日本の軍事力の再興と日米同盟の強化とは、平壌よりも北京を目標にしている。ロシアと同様、中国は、米国が望んでいる厳格さで制裁を強化するようには見えない。
 「カーネギー基金」のジョシュ・クランチックは、中国が米国のアメと鞭の政策とは重要な点で異なることをするために独自の道を展開していると指摘した。それは最終的にはもっと有効であるかもしれない。ワシントンがテロリズムとの戦闘に焦点を当てていた間、中国は「ソフトパワー」の新たな弁護人として台頭するように外交政策を完全に定位させたとクランチックは言う。その「ソフトパワー」とは、外交的活動と文化的魅力と経済力の組み合わせであって、それが他の国を中国の指導に従うように説得するのである。
[訳者の感想]米国、中国が今回の北朝鮮の核実験を巡って、どのような外交政策を取ろうとしているのか良く分かる論説だと思います。筆者は、『ガーディアン』にしばしば寄稿しているサイモン・ティスダルです。
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「部族はアルカイダをアンバル県から追い出そうと戦っている」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2006年10月03日 | イラク問題
イラクのアルカイダは、イラクの強力な部族と3日間戦った挙げ句、アンバル県の拠点から押し出されつつある。多くのアルカイダ戦士が殺されたが、その中にはサウディ・アラビア人やシリア人が含まれている。
 衝突が始まったのは、アンバル県の大多数の部族を代表する「アンバル救援会議」と名乗る新しいグループが彼らの県からテロリスト集団を掃討すると宣言した後であった。衝突は、部族指導者とヌリ・アル・マリキ首相が会談した後に起こった。先週、彼らはアルカイダに対して戦闘のために支持と武器を政府に要求した。
 イラク政府がアルカイダの新しい指導者であるアブ・アユブ・アル・マスリの逮捕が迫っていると信じると言ったときに、戦闘が始まった。この戦闘は、アンバル県に駐留しているアメリカ主導の連合軍に対する攻撃の数を減らさなかったけれども、いわゆる「スンニー三角地帯」での抗争ラインでの複雑な再秩序を指し示している。
 抗争の原因は、アルカイダ指導部からアブ・ムサブ・アル・ザルカウイに宛てた手紙の漏洩によって明らかになった。
 昨年12月に書かれ、ザルカウイが空爆で死んだ家の中で発見された手紙の中で、ザルカウイは、アルカイダの幹部に近いと言われているアリヤ・アブド・アル・ラーマンによって叱責されていた。ラーマンは「スンニー派の間で良い評判を得ている宗教指導者や部族指導者を殺す試みに反対する」と書いていた。ザルカウイは、他のスンニー派集団との関係を改善し、アルカイダの名称を慎重に使用するするように命じられ、場合によっては解任されると告げられた。
 アルカイダと部族との間の亀裂の中心にあったのはこの問題である。部族のメンバーの多くは民族的抵抗を支持している。
 アンバル県とイラク西部にいる部族指導者がアルカイダを歓迎した際には、アルカイダには安全な家と他のロジスティックの支持があった。
 喧嘩好きで悪名高いボウ・エイサ部族がアルカイダに反対したファルージャから、ボウ・マハル部族がアルカイダを追い出したカイムの町まで、アルカイダは、農村の多い西部から排除されつつある。
 イラク首相の部族に対する懇請は、現金贈与によって円滑にされ、部族長のある者には毎月5,000ドル(60万円)の給料が渡されている。部族戦士達は武器も頼んでいる。
 それは社会的宗教的政治的配慮によって行われる戦争である。部族指導者の伝統的な権力はアルカイダの首長によって傷つけられた。ある族長は、シーア派を狙ったアルカイダの攻撃に吐き気を催した。なぜなら、それらの攻撃は間違っているだけでなく、結局はスンニー派を傷つけるだろうと族長達は考えたからである。それは今年2月にサマラにあるシーア派の「黄金廟」への爆弾攻撃で頂点に達した問題である。
 戦闘は、カイムのような地域では何ヶ月も続いている。そこでは、ボウ・マハル部族がアルカイダを排除した。政府の食糧配給のトラックや水道設備や発電設備に対するアルカイダの攻撃に対する怒りが原因である。
 「彼らはアルカイダが嫌になったんだ」とあるアンバル県の住民は言う。「アルカイダは彼ら自身のチェックポイントを作り、財産や家を押収した。彼らは警察や軍を殺しただけでなく、彼らに賛成しない聖職者や部族指導者も殺した。」
 ラマディでは、ボウ・リシャ部族の若い族長であるシエイク・アブドル・サッタール・アル・リシャウイは、昨日、アルカイダがラマディの病院に侵入し、入院していた警官や兵士を虐殺したと非難した。彼はアルカイダが銀行強盗を行い、政府の給与を略奪し、ジャーナリストや人権ワーカーを殺害し、高速道路での強盗を行ったと非難した。
 「部族指導者は、プラグマッティックで、彼ら自身の利害に従っている」とある西欧の外交官は述べた。「アルカイダがやってきたとき、彼らは多くの金を持っていた。今は彼らは金を持っていない。ラマディのような町に多額の金を投じているのは政府だ。アルカイダ型は、誰でも殺すというイエデオロギーに染まる傾向がある。これは部族型の人たちが戦闘について考える仕方と合わない。要するにアルカイダは、排除されるのだ。」
[訳者の感想]部族指導者を味方にできれば、テロとの戦いは楽になりそうです。でも、アメリカ軍がやろうとしてもうまく行かないでしょう。その点ではイラク政府のほうがうまくやっていると思います。アメリカ軍が撤退した後、イラク政府は、部族指導者や宗教指導者を抱き込んでテロリストをイラク全土から排除できるかもしれません。
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