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海外のニュースより

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「ヘルクスハイムの人間屠殺者」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年12月08日 | 教育と科学技術
どうやって、牛は解体されるか?まず、骨から肉を切り取る。その上、鋭い刃物で関節の筋肉を切断する。すると、筋張った肉はうまく、上から下へとこそげ取られる。筋肉を取り除いた後で、まだ、多くの良いものが残っている。背骨や長い骨の奥には髄がある。おいしいものにありつくために、骨が粉砕され、髄が取り出されるか、熱湯の中に煮出される。残っているのは、掻き傷や掻き取り傷のついた骨の山と髄を含んだ頭蓋骨のかけらである。
まさに、こういう骨の巨大な山を考古学者たちはラインラント・プファルツ州ヘルクスハイムの中石器時代の住居を発掘した際に見つけた。牛の骨が問題なのではなかった。そうではなくて、研究者たちは、約500人の人間の肉を掻き取られた骨の残骸を見つけた。その際、発掘者たちはまだ、その場所の半分しか発掘していない。「私たちはこの二倍ぐらいの死体が出てくると予想している」とラインラント・プファルツ州文化遺産研究所シュパイアー出張所のプロジェクト指揮者アンドレア・ツェーブ=ランツは言う。
 これは、現在のヘルクスハイムにある石器時代住居のようなちっぽけな田舎にしては、多数の死者である。なぜならば、ここには、紀元前5千年から4950年までの帯状土器文化の最後の時期に、せいぜい10軒の家しか立っていなかった。死者は、土着の人間ではなく、ヨーロッパ全体からやってきた。今日のパリやモーゼル河畔や400キロ離れたエルベ峡谷からやってきた。このことを示しているのは、彼らのあばら骨の間に挟まっていた土器のかけらである。それはある人間集団全体にその名前を与えたいわゆる帯状土器である。それには、まだ湿っている粘土の表面に押し付けらた帯状模様が施されている。
よそ者は、故郷から非常に繊細な土器を持って来た。多くの場合、彼らが死者とともに墓に入れた土器よりももっと綺麗だ。だが、容器はこなごなに壊され、骨の間にばら撒かれている。乳鉢や石ナイフも同様に粉砕されて溝に埋められている。
考古学者のブルーノ・ブーレスティンは、骨を綿密に調べた。その際、彼が遺跡の複合の中で発見したものを、彼は同僚とともに、専門誌「古代」の中に発表した。それによると、10体の骨が1,906個に砕かれている。そのうち二体は、新生児あるいは、死産児であり、一体は、妊娠34週から36週の胎児、二体は、六歳と十五歳の子供、六体は成人である。
彼らはいずれも解体の専門家によって解体された。しかも切断面が示しているように、骨がまだ新鮮であるときに解体された。ブーレスティンにとっては、推理は明白である。これらの人骨は、された動物と同じ傷を示している。ヘルクスハイムの死者は、専門家によって、食べ物として用意されたのだ。骨に残る痕跡は、死体が鉄串に突き刺して炙られたことを推測させる。この点で彼は、肉は埋葬儀式の枠内で骨から切り取られたのであって食べられたのではないという他の研究者の推測に反対している。(以下略)

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