海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「リンチは、自由を謳歌する道ではない」と題する雑誌Foreign Policyの記事

2013年07月02日 | イスラム問題
[前略]
「ピュー・リサーチ・センター」の調査によると、エジプト政府は、世界のどの国よりも宗教に関する制限の程度が高い。第2位のサウディ・アラビアや第3位のイランよりも厳しい。米国国務省は、先月公表した報告において、エジプトでは、宗教的自由に対する敬意は、「依然として乏しい」と述べた。米国の「宗教的自由に関する国際委員会」は、今年4月30日に、エジプトが宗教的自由に対する組織的で目に余る違反を見逃すことに特別の関心を持った国であるといわれるべきだと述べた。その上、「エジプトにおける人権」に関するいくつかのグループは、今年初めに、「モルシ大統領の下で、すべての人権に対する条件がムバラク大統領の時代よりもレベルが低くなった」述べた。
 過去数年間、コプト教会に属するキリスト教徒とその財産とは、イスラム過激派の攻撃に曝されてきたが、今年4月には、コプト教会の聖所である聖マルコ聖堂内部での前例のない攻撃が行われた。この攻撃の結果、7名のコプト系キリスト教徒と2名のイスラム教徒が死んだ。たいていの場合、政府は宗教的少数派を暴力から守ることに失敗するか、守ることが遅すぎた。過激派に責任があるとすることができなかったために、異教徒に暴力行為をすることは、罪がないという雰囲気を促進した。
 暴力行為を扇動したのは、サラフィ派の説教師や過激派で、彼らは無責任に扇動的で宗派的なレトリックを使用している。中傷されたグループにはキリスト教徒、シーア派のイスラム教徒やバハイ教徒が属している。今週初めには、ギゼーで5人のシーア派エジプト人がリンチされ、彼らは反シーア派的スローガンを叫ぶイスラム過激派たちによって、街頭をひきずり回された。シーア派が目標にされた理由は、彼らが宗教的な祝祭を祝うために特定の個人の家に集まっていたためである。これらの恥ずべき行為は、それが当たり前になり、少数派の宗教的行事に対する暴力的な抑圧の新しい章を開く前に、止めさせられねばならない。[後略]
[訳者の感想]モルシ大統領の1年間の統治の間に宗教的自由は極端に無視されてきたようです。反モルシ派の民主主義の要求には賛成するが、「民主主義は、宗教的自由を守ることを含まねばならない」というのがこの論説の筆者の意見のようです。筆者の名前がドワイト・バシルと書かれており、アラブ系の人のように見えます。
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