米国のギリシャは、カリフォルニアである。その財政状態は非常に悪いので、社会保障費を削られた市民達は、州の刑務所に入っている囚人達をうらやんでいる。「彼らは、私達よりましな社会保障を受けている」とロサンジェルス出身の版画家ジェームズ・ジャクソンは、ののしる。「刑務所に入ったほうがましだよ。」
これは勿論ちょっと行き過ぎているが、米国では、財政難は、カリフォルニア州の州民の手におえなくなっているという心配が増大している。「ヨーロッパの状況は、米国の状況との比較を迫っている」と「ゴルドマン・サックス」のアナリストのアレック・フィリップスは言う。
『ニューヨーク・タイムズ』は、既に「ギリシャの悲劇」に言及し、『ウオール・ストリート・ジャーナル』は、「ギリシャとカリフォルニアのどちらがはじめに債務支払い不能を宣言するか」という問いを出した。
昨年、人口が最も多いカリフォルニア州は、その巨大な財源不足を緊急地方債と80億ドルのワシントン政府からの資金援助で補った。シュヴァルツェンエッガー州知事と州議会は、数万人の学校教員の首を切り、社会保障費を削減し、国立公園を閉鎖し、税を増やした。だがもうすでに財政には次の穴があいている。財政赤字は、191億ドルから199億ドルに達する見込みだ。最近、シュヴァルツェンエッガー州知事はワシントン政府に国家援助を依頼した。同時にカリフルニア州は、土地税の増額に反対する決議を行った。それによって、収入を増やす可能性がなくなった。
勿論、日の良く当たる州は、ギリシャとは別の状況でゲームをやっている。経済的な総生産では、カリフルニア州は、ギリシャの7倍に達する。カリフォルニア州の赤字は、州民の総生産額の10%に過ぎない。これはギリシャに比べれば低い。ギリシャの赤字は、国民総生産の120%に達している。
他方で大きな共通点がある。
1)欧州連合の加盟国の国民総生産は、約14.5兆ドル(1,305兆円)あるが、米国の国民総生産は、14.3兆ドル(1,287兆円)である。
2)ユーロとドルは、長いこと殆ど等価値の基軸通貨だと見なされている。
3)債務危機の帰結は、両方の通貨圏において殆ど同時である。
それでは、ギリシャの財政危機がユーロを下落させたのに、なぜカリフルニアのような病気に罹っている州は、ドルをひきさげないのか?
その理由は、両者の間の決定的な違いにある。米国には強い中央政府があるのに、欧州連合には、それがないということだ。EUは、経済上、通貨上の連合であるが、政治的連合ではない。この点で、米国は欧州連合に対して巨大な長所をもっている。(後略)
これは勿論ちょっと行き過ぎているが、米国では、財政難は、カリフォルニア州の州民の手におえなくなっているという心配が増大している。「ヨーロッパの状況は、米国の状況との比較を迫っている」と「ゴルドマン・サックス」のアナリストのアレック・フィリップスは言う。
『ニューヨーク・タイムズ』は、既に「ギリシャの悲劇」に言及し、『ウオール・ストリート・ジャーナル』は、「ギリシャとカリフォルニアのどちらがはじめに債務支払い不能を宣言するか」という問いを出した。
昨年、人口が最も多いカリフォルニア州は、その巨大な財源不足を緊急地方債と80億ドルのワシントン政府からの資金援助で補った。シュヴァルツェンエッガー州知事と州議会は、数万人の学校教員の首を切り、社会保障費を削減し、国立公園を閉鎖し、税を増やした。だがもうすでに財政には次の穴があいている。財政赤字は、191億ドルから199億ドルに達する見込みだ。最近、シュヴァルツェンエッガー州知事はワシントン政府に国家援助を依頼した。同時にカリフルニア州は、土地税の増額に反対する決議を行った。それによって、収入を増やす可能性がなくなった。
勿論、日の良く当たる州は、ギリシャとは別の状況でゲームをやっている。経済的な総生産では、カリフルニア州は、ギリシャの7倍に達する。カリフォルニア州の赤字は、州民の総生産額の10%に過ぎない。これはギリシャに比べれば低い。ギリシャの赤字は、国民総生産の120%に達している。
他方で大きな共通点がある。
1)欧州連合の加盟国の国民総生産は、約14.5兆ドル(1,305兆円)あるが、米国の国民総生産は、14.3兆ドル(1,287兆円)である。
2)ユーロとドルは、長いこと殆ど等価値の基軸通貨だと見なされている。
3)債務危機の帰結は、両方の通貨圏において殆ど同時である。
それでは、ギリシャの財政危機がユーロを下落させたのに、なぜカリフルニアのような病気に罹っている州は、ドルをひきさげないのか?
その理由は、両者の間の決定的な違いにある。米国には強い中央政府があるのに、欧州連合には、それがないということだ。EUは、経済上、通貨上の連合であるが、政治的連合ではない。この点で、米国は欧州連合に対して巨大な長所をもっている。(後略)